文化部忘年会3
久しぶりの更新です
「美花のとこか...。なんか行きづらいな。」
「えっ、毎晩一緒にゲームしてるのに??」
美月が驚く。美花は少し説明したかもしれないが、現女子ダンス部の副部長でこの1年生の中で恋と並んでトップの人気生徒だ。
恋がツーンとした性格で人気なのに対し美花は明るく癖もなく誰に対しても優しいという理由で人気だ。しかし特に恋と違うのは恋は男達に特に人気なのに対し、美花は可愛くもあるが、ダンスをしている時などとにかくかっこよく女子から人気だ。
そもそも…
「そもそも、俺と美花とでは住む世界が全然違う。あっちは日本トップクラスのダンサーで俺は一般人。あっちはいわゆる陽キャで俺は陰キャ。」
「はいはい。言い訳しなくていいですよー。本音は?」
「すんません。可愛すぎて大勢の前で話しかけに行くのは厳しいです。」
「素直でよろしい。はー…。美花ちゃんはこんな高雅のどこを気に入ったんだか...。」
長いため息をつく美月。多分昔は行けたんだが、もう無理かな。ちらっと美花がどこにいるのか探してみる。
するとステージの方でラブや他の女子生徒と笑顔で話している美花の姿が見えた。薄紫?藤色と言うらしいが、その色の腰まである長いウェーブヘア。前髪に黒いメッシュが入っている。俺とは幼馴染という訳ではないが、小学校から中学、高校までずっと同じところに通っているわりと昔からの友達である。
中学生の時から学校のマドンナのような存在だった美花。だから中学生の時、美花の方から貴方の事をもっと知りたいの。と言ってくれた時は本当に嬉しかった。けど、あの頃の美花はちょっと怖かった。
で、結局忘年会はそれから2時間ちょっと続き、俺はその間美月と結局合流した恋と3人でのんびり話しながら時を過ごした。恋が合流した際にナポリタンを全部食べ終えていたので、
「うそ…。あれ全部食べきったんだ...。やるじゃない!」
とかなり驚いていた。実は美月が更に食べてくれたので実質そこまでは食べていないのは秘密だった。
文化ホールの片付けが終わり最終的に16:00。恋と美月と共に俺はたわいもない会話をしながら正門付近へと着いた。そういえば、ラブが一緒に帰りたいと言っていたな...。なので、2人に、
「悪い、俺ラブと待ち合わせてるからここでお別れな。」
「またラブちゃん?あんたラブちゃん好きね…。」
恋がため息をつく。小声で私とは2人っきりになろうとはしないのに...。と言う恋の呟きが聞こえたが聞かなかった事にする。
「はいはい。恋ちゃんいいじゃないですかー。ラブちゃんはいつか元の世界に戻らないといけない時が来るかもしれないでしょ?今は譲ってあげてくださいなー。」
美月が恋の背中を押して帰ろうとする。
「わっ、美月!押さないでよ!私別にラブちゃんに嫉妬とかしてないし!譲るとか譲らないとかそういう問題じゃないから!」
「わかりましたよーだ。帰るよー。じゃあね、高雅。」
「ああ。またな。」
なんかごちゃごちゃ言ってる恋をなだめるように美月は恋の頭を撫でながら2人で帰っていく。
仲良く帰っていく2人を見送りながら俺はふと思った。
(あれ?俺ってラブと待ち合わせ場所とかの話ってしたっけ??してねーよな…)
あちゃー。と頭に手をやる。恋や美月なら何かしら連絡手段をもってたかもしれないが今更追いかけていくのもな...。となるとさっき一緒にいたのは...。
(美花か...。連絡してみるか...。)
携帯を取り出し、連絡アプリのなかにある俺の数少ない登録先の1つ『みかみか』に電話をかける。すると、待っていたかのようにワンコールで繋がり、明るい声が聞こえてくる。
「高雅くん!なぁにー??呼んだ?」
「あ、美花…。」
携帯越しに色んな声が聞こえてくる。どうやらまだみんなと楽しんでいるらしい。
「ねえ…なんで話しかけに来てくれなかったの?わたし、高雅くんが来てくれるのずっと待ってたんだよ?」
「いや…あれだけ人がいたら、無理だ。俺にはできない。」
「そう〜?昔だったら来てたじゃんね。なんかほんとに変わっちゃったんだね…。」
携帯越しの美花の声がしんみりしているのがわかる。
「そういえば、どうしたの?高雅くんから電話してくれて嬉しいけど、何かあったの??」
「あ、いや、そこにラブはいるか?」
「ラブちゃん?いるよっ!変わるねっ!」
美花がラブちゃーんと呼ぶ声が携帯越しに聞こえ、その数秒後に
「タカマサ?あたし、ラブ。」
とラブが変わりに電話に出てくる。
「あ、ラブか。そういえばどこで待ち合わせるかとか全然話してなかったなと思って。」
「あっ...。そういえばそうね。今どこにいるのかしら?」
「正門だ。」
「わかったわ。そっちに行くわ。ちなみにレンは??」
「美月と先に帰ったぞ。」
「おっけー。ならレンが無防備になるのを待って帰りましょ。」
「おいおい…。」
俺はマジかとため息をつく。ラブがいいかもしれないが、俺は絶対恋に激怒されるだろう...。
「そこ行くから待ってて。」
といって通話が終了する。その通話から2分経ったくらいでラブと美花の姿が見えた。俺の姿がわかったのか、美花が手を顔の横で小さく振りながら小走りで駆け寄ってきた。
「やっほー!やっと直接お話しできるねっ! 電話でも言ったけど待ってたよ!」
「ああ…。俺もだ。」
美花の眩しい笑顔を直視できず目を背けてしまう。それを見ていたラブが
「タカマサ…。あんたその程度だったの??呆れたわ。」
と、低い声で言う。ラブの鋭い視線をチクチクと感じる...。だが、昔なら平気だったが、今の俺には無理だ。
「ねえねえ、今日高雅くんの家に泊まってい?私、みかんゼリー作ったんだよ!食べてほしいな♪」
「あの美味しいやつか!めっちゃ嬉しいな。」
「今日はダメよ。タカマサうちに泊まるんだもの。」
「はい?」
ラブは何を言ってるんだ?いつ俺がラブの家に泊まると言った??ラブの返事に美花は肩を落とす。頭のてっぺんから可愛く生えているハート型のアホ毛も元気をなくし弱々しく倒れる。
「そっか…。でも、今年も高雅くんと一緒に年越ししたかったな...。」
わかりやすく落ち込む美花。中2で美花と仲良くなって以降、まあまあ家が近いということもあり、美花は毎年年末うちに来ては一緒に年越しを迎えていた。家族と仲が悪いという訳ではないらしいが、居づらいらしい。詳しくは教えてくれないのだが、美花の家は色々問題があるようだ。
「わかった。なら今日は遊べないね…。」
美花が肩を落としてすごく残念がっている。いちいち動作があざとく可愛い。
「なあラブ。美花も呼んだらだめなのか?」
「んー…。ならミカも来る??あたしは別にいいわよ。レンは怒るかもだけれど、別にあたしの知ったことではないもの。だってあたしが呼んだわけだし。」
「おいおい…それでいいのか?」
「えっ?!みかも誘ってくれるの?んー...。ありがとっ!なら一緒にお邪魔してもいいかな??」
美花が目をキラキラさせて喜ぶ。やったー!と両腕を広げクルリとその場で一回転する。慣れてはいるが、いつ見ても右手首に巻いてある包帯に違和感しか感じない。
「じゃあ、わたし、着替えとか準備しないとだから家にちょっと寄ってから行くねっ!さっきラブちゃんと話してる時に家は教えてもらってるからっ!」
と手を振り走り去っていく。魔族のラブほどではないかもしれないが美花は運動神経が抜群で足も早い。そして、怒らせたらかなり怖く強かったため、中学校の頃のあだ名は藤色の髪に黒いメッシュから来て、【藤虎】だった。というか、ラブや美花に限らず、恋も美月も運動神経は良いのだ。
「嵐みたいな子ね。あたしあの子結構好きよ。じゃあ、行きましょ。タカマサ。」
ラブがまた俺の手を握り歩き出す。
「おいおい、手は繋がなくていいぞ...。」
「そう?寂しい事言うわね。まあ、タカマサが嫌なら手は繋がないわ。」
「いや、別に嫌って言う訳ではないんだが...。」
別に嫌ではないのだが、やっぱり恥ずかしい。まだ周りに他の部員もいてくすくす笑われていた。
「ラブ、ちょっと待っててほしい。自転車取ってきていいか?」
「ええ。待ってるわ。」
自転車の存在を忘れていたのでラブをあまり待たせないように急いで自転車を取りに行った。




