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21.急いでケリー領へ


馬に身体強化魔法を掛けながら、休みなく走り続けて四日。

ケリー侯爵領に入る手前の山間の関所に到着すると、門が閉じられていた。

サザギミ王国軍の侵攻を防ぐ為に、ケリー侯爵が指示を下したらしい。

そこより南の方にも、もう一つ山間の関所があり、そちらも封鎖されているとの事。

門を開けて通して欲しいと願い出るも、一度は断られてしまった。

しかし、関所に常駐していた騎士団の中に顔見知りが居た事が幸いして、二度目の頼み込みで関所を越えられる事になった。

勇が乗って来た軍馬が限界である事に気がついた顔見知りの騎士が、新しい馬を用意してくれて、礼を言いながら急いで乗り込む。

関所を抜けた勇は、更に急いでケリー侯爵邸がある街・ミモマへ向かった。

そして、三日後。

通常、首都アルベロからケリー侯爵邸まで、十日掛かる距離を

七日で走破し、ケリー侯爵の行方を知る為、勇は侯爵邸へ向かった。

侯爵邸の敷地内に入ると傷付いた領民たちが避難して来ていた。

それを横目に勇は屋敷前まで馬で走り抜け、見知った顔が目に入って呼び掛ける。

「エディ!」

「! カ、カジロ様……!?」

勇が突如現れ、執事長のエディは血相を変えて走り寄って来た。

「な、何故、カジロ様がこちらに!?カ、カトレアお嬢様は……!?」

エディの問いに対し、勇は馬から降りて答える。

「カトレアは首都の別邸に居る。先に俺だけ戻って来た。エディ、ケリー侯爵は何処に居る?」

問いに答えた後、ケリーの場所をエディに問うと、エディは苦しげな表情を浮かべて、書斎に居ると答えた。

答えを聞くと同時に勇は書斎に向かって走り出し、その勢いのまま書斎の扉を開ける。

「ケリー侯爵!!」

書斎の扉を開けた勇の目に入って来たのは。

「……。イサム?」

頭や胴体、腕に至るまで包帯が巻かれたケリー侯爵だった。

「お前が、どうしてここに居る?」

勇の登場に目を丸くして心底驚いている。

巻かれた包帯から、痛々しく血が滲んでいるものの、生きている事を確認して勇は深い溜息を吐いた。

心の何処かで、ジアンダ家の時の様に間に合わないのではないかと肝を冷やしていただけに、勇の安堵は計り知れなかった。

しかし、今は生きての再会を喜んでいる場合ではない。

気を取り直した勇はケリーに近付きながら事情を話す。

「首都アルベロに到着して二日後に、北方……ジアンダ領の海岸から

サザギミ軍が首都アルベロを狙って、侵攻して来たと言う知らせが入り、俺単独でジアンダ家救援に向かったが、到着した時には既にジアンダ家は壊滅していた。それでもサザギミ軍の侵攻は食い止められたが、奴らの本当の狙いはケリー領含む西方だった事が分かって、俺だけ先に戻って来た。騎士団の大部分が、北方と首都アルベロに配置されたため、こちらへの支援はあと一週間は遅れる見込みだ。……こちらの状況は?」

勇から詳細な報告を受け、ケリーは驚きながらも直ぐに事情を飲み込んだ。

そして、ケリーは冷静に現況を説明した。

「サザギミ王国軍の侵攻から二週間ほど経ち、ケリー領内の海街二つが奴らの手に落ちた。恐らく隣の伯爵領の海街も陥落したと思われ、現在北西南の三方向から、この街に向かって進撃中……って所だろうな」

「なっ……!?」

八方塞がりな状況を聞き、勇は驚き声を上げた。

そんな状況に対し、ケリーは実に淡々としており、その様子に勇は二重に驚く。

「街の住民達は避難させている最中だ。海街から避難して来た住民も居るが、怪我が酷く直ぐに避難出来そうにないため、ここで匿っている。それ以外は騎士団に護衛させて関所へ向かっているだろう」

屋敷前まで来る時に見た怪我人達は、それらだったのか。

しかし、北西南の三方向から侵攻される事になれば、ここに避難して来た領民達は確実に巻き込まれる。

直ぐにここを脱出させた方が良いが、怪我人多数で迅速に動けないとなると、東側に回り込まれて攻められれば、当然逃げ場ない。

つまりは、この土地で死守する他ないのだ。

「……侵攻してくるサザギミ軍の推定数は?」

「恐らく、五千近くになるだろうな」

街一つ潰すのに、五千の兵力を投入してくるのか。

いや、違う。

アロウティ神国随一の騎士、ケリー侯爵を潰す為に半数の兵力を投入してくると考えた方が正しいのだろう。

北方攻めの時の全体数よりも多い兵力から、ケリー侯爵に対する警戒心が見て取れた。

しかし、ここまで警戒されているケリー侯爵も無傷では済んでいない。

それを改めて認識すると、絶望的な状況が更に暗く淀む。

だが。


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