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11.辺境の街の冒険者ギルド支部


街が見えてきた。

やはりヨーロッパ風で、城壁がある。


どうもテレビで見た「中世ヨーロッパ建築の秘密、○○城大公開」にそっくりだ。


「怜樹殿、よく見ているな」


城壁って、本当に黄色っぽいレンガでできているんだぁ~。


俺がしげしげ見ていると。


「やはり、城壁に巡らせてある魔力障壁に気づかれたか」


え? 魔力障壁?


ああ……レンガ自体は白っぽいもので、表面に揺らめいている黄色の土魔法がそれか。


変に口に出さなくて良かったぜ。ふう。



「ここがレクサの街だ。ここで2泊する」


「「はい!」」


「ミラビリス殿、俺たちは自由行動でいいっすか~?」


「宿は同じにする。食事も出す。それ以外は、きみたちパーティーで自由にしてよい」


「よっしゃあ!」


「もしも何かあったら、これを騎士に見せてくれ」


ミラビリスはポケットから楕円形のメダルを取り出した。


「我が家の紋章と、我の名が書いてある。これがあれば、我がきみたちを支援しているとわかる」


「できれば冒険者ギルドがあれば、登録してきたいのだが」


「この街では冒険者ギルドの支部があるな。小さい所だが、そうだな、登録はしたほうがいいだろう」


「宿に門限はあるの?」


「あるけど、飲み屋併設だから遅いよ~。あ、でも閉まっててもベルを鳴らしてメダルを見せれば大丈夫だよ」


「了解~。じゃあ、あとでな」


そう言ってから俺たちは、ギルドまで歩き出したのだった。




~冒険者ギルド・レクサ支部~

~とある新米ドジっ娘ギルド受付の視点より~


「いらっしゃいませ~。(見慣れない顔だわ)ここは初めての方ですね? 冒険者証をお見せください」


「実は今日は登録をしに来たんだ。身分証の代わりは……このメダルの提示でいいかな?」


「はい、大丈夫です! (あ、あのミラビリス様のお客人!? やばい、やばい、やばい)登録に必要な手数料もいただきますね」


「2万ロルでいいのかな?」


「はい!」


ジャララ……。


アロニアが袋から小銭を出して机に広げる。


「これでいいか?」


えっ、エリクス魔道国鋳造のロル銀貨……。


エリクスといえば、最近、指名手配書が魔熱伝紙(※ファックスみたいなもの。死語かな?)で来ていたはず。


チラ見してみよう。


『モノマスの若手魔術師、リンクス・アロー。種族・ハーフエルフ。生け捕り希望。報償金500万ロル。備考・供の女性がおり、脱獄と関所破りの嫌疑』


ただの脱獄と関所破りでこの高額の報奨はないよな……。


エルフ耳なので、かなりこの男は怪しい。でも。


ひとまず適性とレベルを見させてもらおう。悩むならそれからだ!


「では、お一人が鑑定を受けている間に、もう一人は登録申請書に記入をお願いします。文字は書けますか?」


「大丈夫です」


と女性が言った。


「あの……俺は、文字が書けません」


なんと!


「で、では、お兄さんは先に鑑定に……」


声が震えてしまった。順番が狂ってしまった。


「水晶?」


「水晶は使わないわ?(この男、変なことを聞くなあ)ほら、その机の上に腕を出して、見せて?」


「ほい」


受付を兼ねている私の本職ジョブは鑑定師だ。

この男のステータスは……。


「ほら、申請書を書き終えたぞ。おいらも鑑定させてくれ」


なんだこのノイズは。

連れの女が、鑑定阻害の魔法をかけてきている?


「はい、ハーフエルフのレイジュ・ナカタさん。4大魔法・治癒魔法に適性『超大』(うわあ~!)、武術『中』、剣術『大』、レベルは、えーと11? (??ええ~?) ジョブは光魔法使い? 年齢は大丈夫ね」


「レベル11てまずいのか?」


男本人も鑑定結果と私の驚愕の表情に気づいて、聞いてきた。


私はプロ受付・鑑定師だから、どんなことがあっても笑顔必須で、それ以外は顔に出ちゃダメなのに……。


「普通は冒険者登録しようとする15歳の成人でレベル10はあるのよ。その歳の割には……低いのね」


「俺、ある意味、生まれたてだからなあ」


はあ?


「じゃあ、次はお姉さんね。手を出してくださいね」


すごい鑑定阻害だ。ビリビリ来て、霧の中にいるようだ。


「人種不明? え? 名前はアロニア・ワンオーセブン、4大魔法は『大』、武術『大』、剣術『中』、レベル50、ジョブは錬金術師……年齢は3歳、はあ?」


突っ込みどころが多すぎる。てか3歳って何? どう見ても妙齢のお姉さんじゃない? 発達しているところはもりもりに発達してるよ? あと、錬金術師なのに戦闘力高すぎない?


「すみませんが、冒険者にはレイジュ・ナカタさんしかなれません。アロニアさんは年齢不足です」


「そっかあ~。残念~」


「レイジュさんの冒険者証はアイアン級です」


「アイアン? どのくらい強いの?」


「SABCDで分ける国もありますね、D級相当です。ちなみにもしもアロニアさんが年齢をクリアしてれば、アロニアさんはA、つまりゴールド級相当です」


「あのさ、未成年者をパーティーに入れてはいけないの?」


「おすすめはしませんが、罰則もありません。ただし、保護者にあたるレイジュさんには、互助会に入ってもらう必要がありますが」


「互助会?」


「配偶者を持たれたり、未成年者を扶養している冒険者の方が互助会に入ることで、もしもの死亡後も配偶者や未成年者の生活を保証する仕組みです」


「それ良いな……保険みたいなものか」


「なので、妻帯される時にはギルドに報告して認めてもらうのが良いです!」


「おおっ!」


「冒険者なりたての時の死亡率は高いので……互助会加入費用は高額なのですが……」


「後で入ってもいいの?」


「はい、もちろんです!」


良いカモだ。


どう考えてもA級相当のアロニアを盾にして、自分の超大級の治癒魔法を使えば、死にはしないだろうに。


慎重な性格の持ち主なのか?


「怜樹、申請書は代筆してやるよ。だけどサインは書けよ?」


「ありがとう」


「まさか字が書けないとはな……」


「なぜだか読めるんだけどね……」


「ええっ?」


「え」


「ほら、サインしな」


「応……なるほど、こう書けばいいんだな」


本当に「レイジュ・ナカタ」と記入して、提出してきたよ。


どうしよう?


懸賞首のリンクス・アローだと立証できない。

私の鑑定眼が嘘を付くわけがないから、余計に、なぜだか震えてくる。


確かに連れの女は年齢をごまかそうと鑑定阻害をかけてきた。それでも私は破ったのだ。


怜樹のほうは本人がまったく隠す素振りがなかった。


なのに。


鑑定は別人だと言っている。



「はあ……ダメだわ」


降参だ。


「何?」


「お二人に忠告しておきます。お二人は懸賞がかけられているエリクスの魔術師リンクス・アローとその供に、非常に姿が似ておられます。気をつけてください」


「わかった。……ご忠告、ありがとう」


気にしてないように、怜樹は言うと、なぜかとろけてしまいそうなキラキラした笑顔を向けてきた。


やばい、イケメン……


「ところで、駆け出し冒険者にもこなせそうな依頼って来ていないかなあ? ちょっと金が入り用でね」


「はい! この箱の中にあります!」


頭の中に押し寄せてくる疑問をごまかしながら私は案内をはじめた。



~討伐が完了して報告するために戻ってきたら、支部長が出てきて、怜樹たちは再鑑定されたのである。~






とうとう召喚者のエルゼパル側に手配されてしまったよ!


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