勇者学校トップ ロゼ
前回。3rdランクカルテとの戦闘にて圧倒されるロゼは、多くのスキルを発動した。セリアが付与した【セリアリンク】を纏ったロゼは、カルテの右手を吹き飛ばした。
才能とは無情である
有る者は期待が降り注ぎ、無い者は壁に阻まれる。
……彼は有る者だった。
産まれた時。マナと繋がり、スキルを授かった。
…そしてまた1人。
彼の道として成り下がる。
「……ふざけ…んなよ」
「見下すのは好きなのに、見下されるのは嫌なのか?」
右腕を抑え、汗を垂らしながらカルテは見上げる
圧倒的才能
鋭く見下す冷たい眼に、見覚えがあった。
五代魔王の一人【アルテミス】
現第三魔王軍統括にして、第一魔王軍設立に関わった最強の一人。
努力しなくても……最強
……ふざけんな
こんな不平等があってたまるか…
同じ生き物として、生命として、何人たりとも順位付けされる権利は無い
たかが評価、たかがランク。
だから俺は、主役が目もあてない仲間の力を借りて強くなる
「……間違いを正そうか…少年。」
「?」
「見下す目は、才能を持つ者に与えられた特権。俺のは嫉妬と憎しみの目だ。」
「だからなんだ?」
「……感情論は嫌いか?」
「…いや?俺も不快感には悩まされた。感情の有無は人一倍大きいと思う。…で?話は終わりか?」
「…あぁ」
「そうか」
風が吹き、息が詰まるほど強くなる。
恐らくこの風は、さらに鋭さを増し、身体を跡形もなく消し去るのだろう。
「油断しちまったなぁ」
目を瞑り少し微笑む。仲間を殺され、才能に埋まる。
「…」
マナが膨れ上がり、血の気が引く。暴風は音を消し去り、凶暴性を増す。
「少年」
瞬間。ロゼの胴体が後ろに吹き飛び地面に倒れた。
「…?!」
何が起こったのか分からない。戦意喪失した敵にトドメを刺そうとした瞬間自身が吹き飛んだ。
身体をあげようとするが、下半身の感覚がない。
それもそのはず。顔を上げ朦朧とする意識の中で、自身の瞳に自分の下半身を映した。
「…油断した」
認識した直後。耐え難い痛みが襲う。感覚の無い下半身からは、何故か熱さすら感じる。
「…く……そ…」
「…タイミングを合わせれば、コンマ。【データ】に映るスキルは見分けつかんだろ。…胴体が消し飛ばなかったのは【バリアリンク】か。」
「……」
「…経験の勝利だ。少年。…さて」
近ずき、血を奪う為に屈む。心臓の止まった少年の体を触り、血に触れる。
「…これで。お前の才能は俺の物だ。」
口に近ずけ、【血飲】を発動する。
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「……」
「…かのだん死」
辺りを見渡し、瞬きをする。
真っ暗な暗闇に視界を奪われ下を向く。
「…いなはい悔」
やりたい事をして、やれる事をした。
でも
「とっも」
楽しい人生を送りたかった。
友達が出来て、遊んで
悩み事を、相談したりして
好きな人が出来たりして
「…」
友達が…出来て……
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「何してるの?」
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悩み事を…相談したり…
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「私も友達出来たことないし…」
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好きな人が…出来たりして…
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「話してくれるロゼ君が大好き。」
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……
「そっか」
何度説いても【矛盾】が生じる。
彼女の好きに…息が詰まる。
「…僕。」
【ロゼ君って不思議だよね】
「彼女の事が…」
【ふふん!!】
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【大丈夫だよ。私が守るから。】
「ぁ…」
目を開け、涙が流れる。身体を起こし、辺りを見渡し枯れ果てた大地に風が吹く。
「僕は…」
混乱する俺の視界に、【データ】は情報を与えた。
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【セリアリンク】発動
▶︎対象の切り替え
ロゼ▶︎セリア
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頭が真っ白になり、体を触る。下半身、肩、左腕。全てが修復されていた。
死すらも。
対象の切り替え
それがもし
生命の停止だとしたら
「【セリア】」
ふと呟いた。しかし、何も起こらない。静寂の大地に、ノイズが響く。
「あ#あ##ぁ##」
俺の代わりに。セリアが死んだ。
次回「崩壊」
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