77話 食べられるものは……
「ふふ、良い顔をしている。だが、まだ足りない。君たちは果てなき森へ挑むためにまずその入り口までたどり着かなければならない」
「……ガタガタ林道」
「君たちならきっとすぐに踏破できる。……さ、ギルドへ帰ろうか」
そう言うとフラワは満足そうに微笑んで転移ポータルに向けて歩き始めた。フラワとしてはもうこの場所に用はない。それ故にそう言ったのだが、ヒナタたちは違う。ヒナタたちの目的は迷いの森の踏破ではない。迷いの森の奥底であるものを手に入れ依頼を達成することが目的なのだから。
「ちょっと待って! ……秘密の食材ってのはどこに?」
「秘密の食材? ……あぁ、そうか。君たちはここに依頼で来たんだったね」
「ああ、俺たちは依頼でこの場所に眠ってると噂の秘密の食材を探しているんだ」
「秘密の食材か……。でもここには何か食べられるといったものは無いかな。それにそんな食材があるとは聞いたことがない。……何かの間違いじゃないかな?」
フラワは少し悩んでそう答えた。その表情は嘘を言っているようには見えない。そしてヒナタにもこの場所に何か食材があるようには見えなかった。
思い返せばペロリンは迷いの森の奥底に秘密の食材があるという噂だと言っていた。ヒナタたちが今いるこの場所は宝玉の間。すなわち迷いの森の奥底と言える。この場所に何も無いのならその噂は間違い、デマだったと思われる。そう報告すればペロリンも納得するだろう。
そう結論づけたヒナタは宝玉の間の転移ポータルの上に乗った。こうしてヒナタたちは3つ目のダンジョン”迷いの森”を後にしたのである。
「ヒナタお疲れ様。今日はもう寝てまた明日頑張ろうね」
鳴り響く賑やかな音でヒナタは目を覚ました。目覚ましを止めてベッドから起き上がる。この一連の流れの中でヒナタは今日自分が何をしなければいけないのかを整理していた。
まずすべきことはペロリンへの報告だろう。秘密の食材が手に入らなかったという報告をするのはやや心苦しいがやるしかないのだ。そしてその後はガタガタ林道攻略の準備である。
「……それでは解散」
よし、朝礼が終わったな。それじゃあペロリンへ報告しに行くか。……そういやペロリンってどこにいるんだろう? ……とりあえず建物の外にいることは間違いないな。それじゃあ探しに行くか。
ヒントもなく探すのって結構難しいんだよね。ギルドの建物の外って言ったってそこまで範囲は狭くないからなぁ……。探すのは結構時間がかか……あ、いたな。普通に歩いてたわ。
tips:
転移ポータルの使用により宝玉の間への通行が可能となった。オーブを見つけたらまたここへ戻ってこよう。




