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59話 煮え切らない答え


「配達してくれてありがとう。本当に助かったよ。是非この報酬を受け取ってくれ」


『ヒナタたちは報酬として500G受け取った』

『依頼達成によりランクポイントを10手に入れた』


「ヒナタお疲れ様。今日はもう寝てまた明日頑張ろうね」


 ヒナタの横で目覚ましの賑やかな音が鳴り響く。目覚ましを止めてベッドから起き上がる。単純な動作ではあるがヒナタは随分とこの流れにも慣れたような気がしていた。普段目覚ましは一切使っていないがこれなら現実でも使っても良いかもしれない。そんなことを考えながらヒナタは微笑みを浮かべた。





「……それでは解散」


 よし、朝礼が終わったな。今日することはいっぱいあるけど、まずは報告からかな。ヒショから出された条件がやっと達成できたからね。


「どうした? 何かあったのか?」

「ビギナーランクへの昇格と潮騒の洞穴の踏破。……両方達成したぞ」


 ヒショは小さい目を少し大きく見開いた。どうやら多少は驚いているようである。恐らく条件達成の早さに驚いたのだろう。みくびってもらっては困る。むしろこれで遅い方だと思っていたくらいだ。そう言いたげにヒナタは少しばかり胸を張った。


「素晴らしい。思っていた以上だ」

「そりゃどうも。これで迷いの森への挑戦を認めてくれるかい?」

「……いや、それはまだだ」

「ん?」

「迷いの森はそれだけ難易度の高いダンジョンなのだよ。確かにお前たちは私の出した条件はクリアしたが、それだけではまだ無謀なことには変わりない」


 なんだか煮え切らない答えである。出された条件を達成したにも関わらず、手放しに挑戦を認めないヒショは何を考えているのだろう。それに迷いの森の攻略はペロリンからの依頼でもある。もう随分と待たせているのだ。

 そんな不満をヒナタは今にも言葉に出そうとしたその瞬間ヒナタの近くに誰かが現れたのだ。


「……お呼びですか?」


 現れたのはフラワ。冒険隊アルラウネのリーダーである。ヒナタはもちろんアクアも彼女を呼んではいない。ならば呼んだのはヒショである。ヒナタは顔を正面に戻しヒショの様子をうかがった。彼はニヤリとした笑みを浮かべていた。


「ちょうど君の話をしようとしていたところだ」

「……私の? 何の話です?」

「君にひとつ頼みごとをしたい。……彼らのことはもう知っているね?」

「ええ、もちろん」

「彼ら……冒険隊ユグドラシルは今指名依頼で迷いの森の踏破を依頼されている。……だが、知っての通り迷いの森はかなり難易度が高いダンジョン。そう簡単に行ってこいとは言えない。……そこで」


 そこまで言ってヒショは一度口を閉ざした。フラワの方を見ていた視線をヒナタに向けた。なぜヒショが視線を自分に向けたのかは分からなかった。だがヒナタは彼が何を言いたいのかは何となくだが分かるような気がした。


「フラワ、君に彼らの付き添いを頼みたい」

「……なるほど、そういうことですか。……私でよければ喜んでお受けしましょう」



tips:

同行者

ダンジョンの攻略にギルドの仲間が同行する時がある。先輩の力を借りてダンジョン攻略を有利に進めよう。

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