5話 コードネームを決めよう
「ああ、コードネームだよ。君はモノアイで俺はクラムスだが、種族名で呼び合うのは味気ないだろ? だから冒険家たちは自分たちの仲間をコードネームで呼び合うのさ」
なるほど、コードネームか。モノアイってのはさっき見たステータス画面に書いてあったな。だから種族名ってのは本当だろう。ということはあのステータスの表記的に考えれば、俺のコードネームはもう決まっているみたいだな。
「……俺のコードネームはヒナタだ」
「ヒナタか、いい名前だ。ついでに俺のコードネームも考えてくれないか? 君なら良い名前を考えてくれそうだ」
……マジか。そもそも目の前のこのモンスターをよく知らないんだよな。種族名がクラムスってのもさっき知ったし。……あんまり凝るのもよくないよね。聞く限り仲間はさらに増えるような気がするし。
「……アクアってのはどうだい?」
「アクア。……良い名前だ。よし、それじゃあ俺はたった今からアクアだ。ヒナタ、よろしく!」
まったく無邪気な笑顔を浮かべているぜ。思いつきの結構適当な名前なんだけどな。ま、これだけ喜んでくれるなら俺も嬉しいかな。
「それで? そのギルドってのはどこに?」
「キュビクスのギルドというのがかなり近くにある。かなり厳しいとも言われるけど、冒険者になるならうってつけの場所だよ」
「ならそこを案内してくれ」
「了解! それじゃあついて来てよ」
……キュビクスのギルドか。キュビクスってのはモンスターの名前なんだろうか? それとも何かの名前なんだろうか? まあ、今ここで考えてもしょうがないことなんだけど、ちょっと気になるね。……しかしこのでっかい樹がダンジョンだとはね。ふふ、俺もいつかは行ってみたいもんだ。
……しっかし、本当にかなり近いところにあるんだなそのキュビクスのギルドって奴は。レンガで出来た建物の上にキツネらしきモンスターの顔岩があって、建物の前にはアフロが寝ている。……アフロ⁈
ヒナタがアフロが寝ているその光景に驚いていると突然目の前の冒険隊ギルドの扉が開き、中から巨大な口が現れたのである。個性的なモンスターの数々にヒナタは思わず口をぽかんと開けていた。
「……おい︎! 何寝てやがる!」
「……んあ? あ、先輩。遅かったですねぇ。日差しがあったかくてつい……眠た……スヤァ」
「もう一度寝ようとするな‼︎」
「冗談ですよぉ。でも先輩の声が大きいから周りに迷惑になってません? ほら、あそこにいる方たちに見られてますよ?」
…………ん? それって俺の話か? ヤバい……近づいて来た。
「悪いな、大きな声を出しちまってよ。迷惑だったか?」
「いや、そんなことは」
「ありがとよ。あんちゃん優しいモンスターだな」
……なんとか誤魔化せたか。……いや、そうじゃなくて
「ちょっと待ってくれ!」
「ん?」
tips:
コードネーム
仲間になったモンスターにはコードネームを付けることができる。一度決めた名前は変更できないので注意。