表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
389/389

387話 神樹への道

――

神樹への道

――


 少しばかりの間光り輝く階段を登っていくとヒナタたちの目にも目的地が見えて来た。それはそらにぽかりと存在している浮島である。浮島と言ってもハリボテのように生い茂る草とひとつを除いて何も存在していない。

 そして降り立って見てみるとよくわかるがその浮島の形はやや歪のようだ。唯一ある祠のすぐ後ろは切り立った崖のようになっている。それはまるで何かがかつてあったような見た目をしていた。

 どこか味気ない空間ではあるが特別な場所であることはそこに降り立った瞬間から感じる張り詰めた空気で何となく分かった。そしてそれは隣を歩くトップの表情からも。


「……ここは?」

「ここは神樹への道と呼ばれる場所。オーブを全て集め正しく収めたものたちにだけ足を踏み入れることが許される神聖な場所だ」

「オーブを……、と言うことは前に言っていた古びたハープを弾く場所ってのはここか?」

「理解が早いな。まさにその通り。……ここでこの古びたハープを弾き、優しきものであることを示した時ユグドラシルの神樹への道が開かれる」


 トップはまっすぐ祠を見つめた。祠には石碑が建っている。その石碑の前にまっすぐ立つとトップは古びたハープを取り出した。いよいよそれを弾く時のようである。


「ふふ、思い出すよ。またこの場所で弾くことができるとはね……」


 微笑みを浮かべトップはそう呟き、古びたハープに手をかけた。美しい音色が聞こえる。やや聞き覚えのあるメロディにヒナタは少し考えた。

 そしてそれがオープニングで流れたメインテーマであることを思い出したその時、石碑の後ろが光を放ち始めた。その強い光は石碑を飲み込もうとするほど大きく膨れ上がり、霞のように消え去った。

 そして残されたのはツタのようなもので作られた道である。先程までは切り立った崖であったはず。つまりこれらハープの音色によって開かれた道とみて良さそうだ。そしてどうやらここから先に進めるらしい。


「さあ、ユグドラシルの神樹へ向かおう。目的地はすぐそこだよ」


 目的地というのはユグドラシルの神樹のことに違いない。すぐそこと言う割にはヒナタにはユグドラシルの神樹への入り口は見えない。

 ここから少し歩くのかな。なんてつまらないことを考えながら石碑を通り過ぎて進もうとしたその時、近くに気配を感じたヒナタは慌てて周囲を見渡した。そして振り返ったのである。

 そこには今までは確かにいなかったはずのモンスターの姿があった。しかもヒナタはそのモンスターを見たことがあるのである。


「……ジイヤ?」

「ふむ、気付いたようじゃの。……誰のことを言っているかは知らんがな」

tips:

神樹への道に置かれた石碑に刻まれた楽譜は、かつてスケリラールが好んで演奏していた曲であると伝わっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ