386話 正しい配置
ヒナタたちは転移ポータルがある場所にたどり着いていた。そしてそこは龍の掌像が乱立している場所でもある。乱立といっても法則性が無いわけではない。その配置は円を描くように6個と、中心に1個の合計7個である。そして中心の掌像には既に緑色に輝く宝玉が収まっていた。
「ここにオーブを収めれば……」
「あぁ、ユグドラシルの神樹へと道が開く。……と言っても正しい配置でないと開かないけどね」
……正しい配置だと? つまり色ごとに決まった配置があるってことか? 面倒だな。しかもこれ正しいかどうか分からないのが最高に面倒。6種類の並び替えだから……、720通り? 果てしねぇ……。ハァ、とりあえず総当たりしていくか。悩んだって答えは出ないだろうしね。
それじゃあとりあえず一番手前から収めていくか。置くべきオーブは6個。一周すれば戻って来れるからな。ええと、とりあえず青系から攻めるか。
……この場所ちょっと暗いから青と藍の違いがイマイチ分からん。これが青でこれが藍かな。次に紫を置いて、その後は赤かな。そんで次は、……黄色とかにしておくか。次はどの色にしようかな。……ん?
ヒナタがイエローオーブを収めたその瞬間。オーブから謎の光が出始めたのである。その光はまるでオーブ同士を繋げているかのように中央のグリーンオーブと繋がっていた。4個目にして初めての反応である。
……これはもしかして正解って意味かな。そしてそうなると今までのオーブは全部違うということになる。ちょっとだけ……悲し、くはないな。むしろこれは嬉しい現象だ。総当たりなんて気が遠くてやってられなかったからな。
こうなると完成は早いんじゃないか? 光が繋がるように配置すればいいんだろ? レッドオーブじゃなくて、……オレンジオーブとか? お! 繋がった! やっぱりこれは正しい配置であることを示してくれてるんだよ。
確信したヒナタは龍の掌像にオーブを収めては外しを繰り返し、そして最後に残ったパープルオーブを龍の掌像に収めた。こうして全ての光を繋げたのである。
その瞬間、地響きと共に転移ポータルが光を放った。光は何者かの強い力を受け形を変え、そして定まった。光は階段の形をしていた。どうやら実体があるようである。
「ここからユグドラシルの神樹を目指す。この光の階段を使ってね」
「……これ登れるんだよな?」
「もちろん。少し長い階段だが、なあに君たちならすぐに到着するさ」
そう言うとトップは微笑みを浮かべ、階段へと歩いていったのである。ひとまずついていく他ない。ヒナタたちは慌ててその後を追うのであった。
tips:
オーブを正しい配置に並べると光が繋がる。繋がった光はSの字になっている。SはスケリラールのSであるとか。




