385話 もちろん断らない
……なるほど、そういうことか。確かダクディアは進化の極致に到達できないことがわかったからユグドラシルの神樹の攻略を諦めたんだったよな。あの化け物たちとは戦えないと思い知って。
だが他のメンバーは違ったと。アクマイドはマーモルガナに進化できたし、トップ……つまりキュビクスはホーリィエンに進化できた。条件こそ厳しいものの進化が不可能ではなかったからこそできたことだろうな。
そしてそうなればトップ自身はユグドラシルの神樹の攻略を諦める必要がなくなる。だが肝心のリーダーは進化できていない。だから冒険隊として攻略はしない。第一もう解散してるっぽいしね。
となると次の可能性は挑戦しようとする冒険隊に同行させてもらうことか。確かにそれは合理的ではある。
そして目の前で進化して見せたのは言ってみればパフォーマンスだな。自分が進化の極致に到達したことは確かによく伝わってくる。……ま、俺たちの場合断る選択肢は無いんだがな。
「もちろんさ」
「……構わないかい?」
「断る理由がないだろ。ギルドのトップが同行してくれるなんて、こんなに心強いことはないぜ」
「ありがとう……。こうしてはいられないな。それでは早速宝玉の間に向かおうか」
あ、予想通り強制イベントなのね。まあ準備自体はできてるし問題ないかな。
――
宝玉の間
――
ヒナタたちは宝玉の間へとやって来ていた。ヒナタにとってはかつて一度訪れてはいる場所ではある。随分と昔に建てられたであろう神殿のようなそのいでたちは記憶の通りである。
「……やはり何度来てもここは静かな場所だな」
「確かにな。迷いの森自体も静かな場所ではあるがここは別格に静かだ」
「それはこの森が役目を果たすために音を立てないようにしているからに違いない。まったく自然というものは凄まじい力をもっているものだよ」
「役目を果たす……?」
「そう、役目。聞こえてくるべき音が聞こえなければ何の意味もないからね」
そう言いながらトップはゆっくりと宝玉の間の丘へと歩いていった。道すがら時々踏まれる落ち葉からクシャリと音がする。何も声を出していなければその音はどこまでも届きそうなほど周囲は静かである。少しばかりの緊張感がヒナタたちに漂っていた。
「さて、到着したよ。龍の掌像が複数で密接して置かれている場所はここしかない。オーブがあるべき場所とはここのことだ。……まあ、それは君たちも知っているだろうけどね」
tips:
オーブにはあるべき場所が設定されている。




