384話 トップの頼みごと
「そう、頼みごとだ。以前君たちにも言ったと思うが、オーブをあるべき場所に戻しただけではユグドラシルの神樹のもとにはたどり着けない。その先であることをしなければならないんだ。……覚えているかい?」
オーブだけではユグドラシルの神樹のもとに行けない? ええと、何か追加の条件なんてあったかな。あまり記憶にないけど、他にアイテムが必要だっていう話あったか?
トップがその話をしたんだよな。といってもトップと俺たちが話したタイミングなんて限られてるしな。…………ん、待てよ。あれか?
「……古びたハープ?」
「そう、それだ。そしてそのハープをどう演奏すればいいかは私がよく知っている。何しろあの時ユグドラシルの神樹への道を開けたのは私だからね」
「なるほど」
「君たちがユグドラシルの神樹へ向かうために宝玉の間の先へ向かうならば、私はトップとして喜んで古びたハープの演奏を引き受けよう」
……これはもしかして、宝玉の間までトップがついてきてくれるってことか? 確かに古びたハープの演奏に関しては何の情報もないし、ありがたい話ではある。
だが、進化する必要ってあるのか? そもそも宝玉の間に行くのは転移ポータルで一瞬。そのためにダンジョンを攻略する必要はない。それに今迷いの森を攻略するのは、少なくとも宝玉の間までなら簡単だ。何の手助けも要らない。……ちょっと探りを入れてみるか。
「……ちなみに聞くんだが、宝玉の間とユグドラシルの神樹との間。つまり古びたハープを演奏する場所まで行くのに何か難関ダンジョンでもあるのか?」
「いや、そこまでにはダンジョンはない。演奏した後攻略しなければならないダンジョンはあるけどね」
なるほど、よくわからん。探りを入れても状況が変わる訳ではないことしか分からなかったな。こういう時は、……ストレートに聞くのが一番早いや。
「……それじゃあなんで俺たちをわざわざここに呼んで目の前で進化を?」
「もちろんそれが必要だと思っているからだよ。私の頼みごとを聞いてもらうためにね」
「そうだ。まだ頼みごとが何なのか聞いてないな」
「私の頼みごとはひとつ。……これから君たちは宝玉の間からユグドラシルの神樹を目指すだろう。その冒険に私も同行させて欲しい。目の前で進化して見せたのもそれが理由だ」
tips:
どうやらトップはユグドラシルの神樹の攻略を諦めてはいなかったようだ。




