382話 何も言わずについてきたまえ
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ショップ
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「「やあ!ミセミセのショップへようこそ♪」」
「これを売りたいんだ」
「「普通の目覚ましを売るんだね? 80Gで買い取るよ。それでいいかい?」」
「……もちろん」
……やっす。あ、そんなに安いんだこれ。まあ売るんだけどさ。ひとまずこれで所持金が338Gになった。ええとカバンの枠が残り6個だから、そんなに量は買えないか。スイートメープルが2個でげきにがじるは1個にしよう。……それなら普通の目覚ましは売らなくてよかったな。
「これらを買いたい」
「「スイートメープルが2個に、げきにがじるが1個だね? 合計240Gだよ」」
「……これで」
「「ちょうどだね、ありがとう♪」」
何はともあれ、これで準備は完了だな。倉庫にいっぱいこんがりクロワッサンがあって良かったよ。……しかしトップの話って何だろうな。想像もつかないや。ま、いくら想像したとして当たらないんだけどね。それじゃあ準備もできたことだしそろそろ行こうか。
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トップの部屋
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「おや、君たちか」
「話があると聞いたけど」
「そう、君たちに話があるんだ。でもその前にひとつ確認させてくれ。……君たちはオーブを全て集めきっている、で間違いないな?」
トップはまっすぐにヒナタを見つめ、念を押すようにそう聞いた。やはり話とは少なくともオーブと関係しているようだ。トップの言う全てとヒナタの思う全てが一致してるかは定かではないが、ヒナタとしては集めきったつもりである。故に力強くその問いに頷いた。そしてそれを見たトップはほっと胸を撫で下ろしたのである。
「……そうか。間に合ってよかった」
「間に合う?」
「ここで説明してもいいが、もっと良い場所がある。何も言わずについてきたまえ」
そう言うとトップはゆっくりと部屋を後にした。どこへ行けばいいのか分からないヒナタは首を傾げたが、やがて正面を向いて歩き始めた。歩き始めたというと語弊があるかもしれない。ヒナタは意思を持って歩いているのではない。何も操作していないのに動いているのである。どうやら自動で目的地まで歩いてくれるようだ。
どうせ自動でたどり着くのだ。いっそ目を閉じてみてはどうだろうか。目を閉じてヒナタは感覚を研ぎ澄ませた。幾度となく冒険してきた彼にとって今どこにいるのかは見なくても分かる。拠点を出た彼は転移ポータルを使うようだ。少し浮くような感覚を味わい転移が完了した。BGMが変わる。……ここは、進化の祠?
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進化の祠
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tips:
一部のモンスターだけが進化の極致に至ることができる。




