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379話 よく似ている


「……たどり着く?」

「ユグドラシルの神樹へ……だよ。まあ攻略難易度が高いのは分かりきった話。今更それを口にしたって何にも変わらないさ。……それより今はたどり着いたっていう達成感の方が強いかな。嬉しい気持ちだよ」


 達成感からかヒナタは少しだけ表情を緩めていた。それはオーブを全て手に入れた達成感からか、それとも難敵マーモルガナを倒したという安堵感からかは分からない。ただ確かにヒナタは表情を少し緩めていたのだ。これから向かうであろう高難易度のダンジョンの存在を分かっているにも関わらず。

 そしてその様子を見てマーモルガナは眉をひそめていたが、何かを思い出したかのような表情を浮かべた後、顔全体で微笑みを浮かべたのである。その表情は何か懐かしいものを見たかのようであった。


「……なるほどな、君たちがあいつの身内だってのがよく理解できたよ。似てるんだな、……根本のところで」

「似ている?」

「私のよく知る男は、難易度が上がれば上がるほど表情を緩めるのさ。……高揚感でもあるんだろうかね? かつての私たちがモチベーションを高く保てていた要因のひとつに、あいつの存在が大きかったのかもしれない」

「……」

「ふふ、今のあいつを見てそれが想像できないかい? 大丈夫。今でもあいつは変わらないさ。あいつはいつだって全ての可能性を捨てない。諦めの悪い男だよ。……ふふ、君たちも恐らくそうなんだろうね。君たちが良い結果をもたらしてくれるのを私はここで待っているよ。さ、早く拠点に戻るといい。その位置からなら少し進めば転移ポータルが見えるようになるだろう」


 そう言うとマーモルガナはヒナタのさらに先を指で示した。何もないようにしか見えないが彼女にはやはり何かが見えているらしい。少しばかり首を傾げながらヒナタがそちらに歩みを進めると、確かに転移ポータルらしきものの一部が見え始めた。そのことを伝えようと振り返ると、……そこには誰もいなかったのである。


 恐らく今歩いてきた道を戻ればまた見えるようになるのだろう。確かにそこにマーモルガナは存在していたのだから。だがそんなことは何の意味も無いのである。最早ここには用はない。ヒナタは見え始めた転移ポータルをしっかりと見定め、天へと続く塔を後にしたのである。


「ヒナタお疲れ様。今日はもう寝てまた明日頑張ろうね」


tips:

ヒナタたちを見てマーモルガナはかつての誰かを思い出しているようだ。

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