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36話 弱点なしはありえない


――

潮騒の洞穴 地下2階層

――


 ……また見たことのない奴がいるな。ハリセンボンみたいに針がからだいっぱいに付いてる。……嫌だなぁ、あれ絶対飛んでくる奴じゃん。


 地下2階層へと降りたヒナタたちが目にしたものはピンク色のハリセンボンに似たモンスターの姿である。名をトゲボンと言い、ヒナタの予想通り、からだのトゲを飛ばして戦う水属性のモンスターである。

 直線攻撃を嫌ったヒナタはいつも通りのL字型に待ち構える形を崩し、正面を出来るだけ避ける形で距離を詰めた。結果としてその判断は正しかったと言えるだろう。なにせトゲボンの持つスキルはニードル。直線攻撃ではなく周囲への範囲攻撃なのだ。


『トゲボンのニードル ヒナタに7のダメージ』


 ……結構痛い攻撃だな。エフェクトが周囲に広がったことを考えると範囲攻撃ってことか? だとしたら厄介極まりないぞ。体力が少なくなれば遠慮なくこんがりクロワッサンで回復する必要がありそうだ。


『ヒナタのバイト トゲボンに10のダメージ』

『トゲボンのニードル ヒナタに7のダメージ』


 まあまあ良いダメージが入ったな。次もバイトで倒せそうだが、体力が心許ない。残り体力が分かれば素直にバイトで倒しにいくんだがな。

 今のところニードル以外のトゲボンのスキルを見てなくて、このトゲボンがどれくらいのダメージを喰らわせてくるのかの予想がしづらいんだよな。範囲攻撃って時に威力が低かったりするからね。……まあ他のスキルも多分同じくらいのダメージだとは思うけどさ。


 今俺の残り体力は8しかないから一旦退くか。背後に戻りたいんだけど、このマスって一回踏んでたっけ? ……覚えてないな。アクアと位置を入れ替えるか? いや、やめとこう。多分見た感じトゲボンは水属性っぽくてちょっとダメージを喰らいすぎるような気がするんだよな。だったらひとまずこれでいこうか。


 散々悩んだヒナタが出した結論は定数ダメージである。石ころを使い切ってしまうのはややもったいないが、不慮の事故を防ぐにはこれが一番手っ取り早いのである。……もっともこの戦法にも弱点は存在しているのだが。


『ヒナタは石ころを投げた トゲボンは素早く回避した』


 ……へ?


『トゲボンのニードル ヒナタに8のダメージ』

『ヒナタは力尽きた』


 石ころは確定ダメージだと、……思っていた。


――

冒険の結果


ヒナタは潮騒の洞穴 地下2階層でトゲボンの攻撃を受けて力尽きた

――


「……残念、今日のところは諦めて、また明日出直そう」


 相変わらずけたましく鳴る目覚ましを止めヒナタはベッドから起き上がった。その表情が苦々しいものになっているのは目覚ましのせいだけではない。確実と思った作戦が脆くも崩れさったことにまだ収まりがついていないだけなのだ。


tips:

飛び道具

主に投げて当てることで定数ダメージをモンスターに与える道具のこと。確率で失敗する。

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