34話 いざ潮騒の洞穴へ
想像以上に安くて驚いたぞ。店頭に並んでるこんがりクロワッサンが50Gだったからてっきり半値とかで買い取ってくれるのかと思ったよ。10分の1……か、辛いな。
そしてここからスライスの巻き物の値段も想像できる。つまり、……3000Gってことだ。ダンジョンで手に入るお金のペースから考えても相当な値段であることは間違いない。この世界ではかなり貴重なアイテムということか。何にも考えずに売っちまったよ。……まあ、持っていたところで使えないんだから売る他無いんだけどね。
よし、それじゃあ次行ってみよう。
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金庫
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ヒナタの次なる目的地は金庫である。せっかく手に入ったお金をデスペナルティで失うわけにはいかない。早く目覚ましを違うものにするためにもお金を厳重に保管することは大切なことなのだ。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「お金を預けたい」
「一部をお預けになられますか? それとも全額お預けになられますか?」
「全額で」
「かしこまりました。確かに全額お預かりいたしました。ヒナタ様の預金は879Gでございます。またのご利用をお待ちしております」
よし、これでお金は無くなる心配は無いな。あとはアイテムを倉庫に……、それはまあ良いか。どうせこんがりクロワッサンと石ころしか無いしね。それじゃあ、……行ってみるか。
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潮騒の洞穴
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ギルドから海岸の岩場の入り口を横切って砂浜を歩いた先にダンジョン潮騒の洞穴の入り口がある。まるでそこに挑むものを呑み込むかのようにその入り口は大きく開かれていた。
「ここが潮騒の洞穴……か」
「今回は特に依頼も無い。頑張って攻略しよう」
「ああ、行ってみよう」
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潮騒の洞穴 地下1階層
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さて、ここが潮騒の洞穴だな。海岸の岩場と比べると暗くて視界が少し狭いな。フロアの奥まで見通せない。それと海岸の岩場同様、水路があるな。……予期せぬ場所から攻撃が来るかもしれないし、十分注意しておく必要があるね。
今回の目的は攻略にあるってのがまあ第一なんだが、それ以上に経験を積むことが目的となる。どうせ力尽きたらアイテムロストするんだから、出来る限り出し惜しみせず経験値を貯めておきたいところだ。
『イカスミトラップ発動 ヒナタの命中が少し下がった』
あぁ、頭から消えてたわ。そうか罠もあったか。前回は確かイガイガトラップだったっけ? イガイガトラップも面倒くさいけどイカスミトラップも面倒くさいな。まだ何の戦闘もしてないのに命中が下がった状態になっちゃったよ。
……ま、なったものは仕方ないしひとまずは階段目指して頑張ろうか。お、あれオトシゴンだな。とりあえず石ころを投げるか。
『ヒナタは石ころを投げた オトシゴンに10のダメージ』
『ヒナタのバイト オトシゴンに9のダメージ』
『オトシゴンを倒した 経験値を22手に入れた』
tips:
階段
ダンジョンによって上に進むか地下に進むかが変わる。噂では進む階段が2種類あるダンジョンもあるらしい……?