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342話 既に会っている


 怪訝な表情を浮かべているがトップはヒナタたちの言うモンスターのことに思い至ったようだ。どうしてそんな表情なのかはまったくわからなかったが、とにかくヒナタたちが知りたいのはそのモンスターについてである。そのモンスターは今どこで何をしているのだろうか?


「ああ。そのモンスターだよ」

「……そのモンスターなら君たちは既にもう出会ってると思うけど」

「??」

「まあギルド内ではコードネームでやり取りをする分種族名はあまり意識しないから無理もないか。それじゃあ案内しよう。……君たちの言うモンスターのところにね」


 そう言うとトップはゆっくりと部屋から出て歩き始めた。ヒナタたちも無言でその後を追う。やがてトップはとある場所で立ち止まった。その場所には年老いたモンスターとその後ろにとても大きな倉庫が置かれていた。


「おや、あんたか。……ん? これはこれはトップも来られたのですか。皆さんお揃いでいったい何用ですかな?」

「紹介しよう。ギルドで倉庫番をしているジイヤだ。種族目はクレキャッツという。……これで君たちの質問には答えられたかな?」


 倉庫へ連れてこられた。その意味を理解しているつもりではある。


 だが改めて今まで倉庫番として接してきたジイヤが進化の極致へ到達したものだと言われると信じられないという思いの方が強い。なにせヒナタたちから見たジイヤは歴戦のモンスターではなくただの倉庫番のおじいちゃんなのだから。


「……ジイヤが進化の極致に到達している?」

「ふむ、久しぶりにその概念を聞いたの。……それこそトップにお会いした頃ではなかったですかな」

「ええ、恐らくは」


 トップとジイヤ。この2匹には想像しているよりもずっと長い親交があるようだ。この短い会話でさえそれを感じさせるには充分である。そしてそれはトップやダクディアが言っていたモンスターがジイヤであることを信じさせるのに何の支障もなかったのである。


「……ふむ、見たところあんたたちもまた到達したと見える。違うか?」

「……まあ、そうだな」

「ふむ、大変良いことではありませんか。あなたと同じ志のものがこんなに近くにいたとは」

「……ああ、彼らは本当によくやってくれている。私とは大違いだ」

「ご謙遜を。あなたも諦めた訳ではないだろうに」


 そう言ってジイヤはトップを見て笑みを浮かべた。その顔は呆れたようにも、あなたを理解しているというメッセージにも見えた。ただ、それが何を意味しているのかはヒナタにはさっぱりわからなかった。

tips:

クレキャッツ

歴戦の猫型モンスター。その髭の長さは長く生き抜いた歴史の証明。

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