30話 ペロリンに呼ばれて
……ふぅ、うるさかった。まさか帰還してから朝まで自動とは思わなかったな。コレってつまり目覚ましが買えるだけのお金を持ち帰ったとしても最低一回は目覚ましの音を聞かなければならないってことになるんだよな。
……依頼の報酬と持ち帰ったお金全部合わせても800Gにはならないよなぁ。とりあえず確認だけしておくか。
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スキル
カバン
ステータス
設定
ヒナタ 19/19 スタミナ 100/100 天候:晴れ
アクア 20/20 所持金 579G
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スライスの巻き物
石ころ(2)
こんがりクロワッサン
(1/1)
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だよね。579Gじゃあ普通の目覚まししか買えない。そして普通の目覚ましは今使っているものと同じもの。つまり買う意味がゼロだ。
買い替えるからこいつを下取りに出すってのは足りないお金を工面する上で有効な手段だけど、こいつを動かす手段が無さそうなんだよな。……ちなみに、ルームメーカーを使えばいけたりしない?
ヒナタはルームメーカーの存在を思い出した。ルームメーカーはショップに行った際にミセミセからもらった模様替え用のアイテムである。
コレを使えば簡単に模様替えができるとミセミセは言っていた。ならばコレを使って設置された普通の目覚ましを取り外すことができるのではないか。そうヒナタは考えたのだ。
それが出来れば普通の目覚ましを下取りにすることでレトロな目覚ましの値段である800Gのお金を手に入れることができる。確かに有効な考えなのかもしれない。……もっともそれは不可能なことなのだが。
……ダメか。目覚ましとベッドは取り外し不可になってる。新しいものと取り替える以外で取り外すことは不可能。まあ、確かに目覚ましもベッドも進行に関わるものだから仕方ないか。
これはちょっと今日中に目覚ましを替えられなさそうだな。……とりあえずそろそろ朝礼に行くか。
「……それでは解散」
よし、朝礼が終わったな。ひとまず依頼を確認してからショップに行こ……。ん? 今名前を呼ばれた?
名前を呼ばれた気がしてヒナタが後ろを振り返ると、こちらを見ながらニヤリと笑っているヒショの姿が目に入った。彼はヒナタたちに向かって手招きをしている。どうやら声をかけてきたのはヒショのようだ。
「お前たちちょっとこっちへ来い」
「なんだ?」
「昨日初めて依頼を達成したんじゃないか?」
「そうだな」
「依頼主も喜んでいたぞ」
「そりゃ嬉しいね」
「おっとまだ話は終わりじゃない。依頼主のペロリンさんだが、どうやらまだ悩み事があるらしい。お前たちを気に入っておられるようだからお前たちがその悩み事を解決してくれ」
最初の依頼を達成してから同じ依頼主で次の依頼に繋がったのか。なるほど、シナリオが進行した感じだな。
「ペロリンはどこに?」
「ギルドのすぐ近くで待っておいでだ。分かったら早く行きたまえ」
これは早く行った方が良いか。掲示板とかショップとか確認したかったんだけどな。ま、仕方ない。あんまり待たしてもよくないよね。それじゃあまずペロリンのところへ行こうか。……お、いたね。
「やあ! 君たち昨日はありがとうね。おかげで助かったよ」
「そりゃどうも。……ところで何か悩み事があるとか」
「そうなんだ。君たち迷いの森を知っているかい?」
tips:
シナリオ進行
条件を満たせばシナリオが進行する。何をすれば良いのか情報収集に努めよう!