2話 いきなりピンチ
まったくいきなり戦闘になるとはな。このゲームはターン制のダンジョンRPG。俺が動くまでターンが進むことは無い。この時間を使ってゆっくり状況を整理しようか。
今ここは5×5マスのフロア。俺のすぐ右は岩で2マス挟んで前には小鬼のモンスターが、左に2マス前に1マスの所に二枚貝のモンスターがいる。
一応助ける関係上二枚貝のモンスターに攻撃が行くことは避けた方が良い……か? 思わぬところでつまずくのも嫌だな。とりあえず攻撃がいかないように動くか。
ヒナタが1マス前に進むと小鬼のモンスターも前に進んだ。目の前にすると一層その下卑た笑みが不気味に思える。だがやるしかない。ここまで来て逃げる選択肢は無いのだから。ヒナタはコマンドのカーソルで迷いなく攻撃を選択した。
『ヒナタの通常攻撃 ゴブリケンに6のダメージ』
『ゴブリケンの通常攻撃 ヒナタに3のダメージ』
お、攻撃のコマンドでは通常攻撃が出せるんだな。それで多分ゴブリケンってのはこの目の前のモンスターの名前なんだろう。通常攻撃はただの体当たりだな。俺は良いとして、目の前のコイツも体当たりを仕掛けてきた。剣はどうしたんだよ。ちょっとばかりマヌケだ。
さて、通常攻撃のダメージはこちらの方が大きい。ゴブリケンって奴の体力次第ではあるけど、撃ち合って楽に競り勝てそうだな。ま、所詮モンスター。人間の思考には勝てないってことさ。
ヒナタは再び通常攻撃を仕掛けようと攻撃にカーソルを合わせた。このままいけば競り勝てる。残念ながらそこに思考は無い。そもそも持っている剣がただの飾りであるなんてことは無いのだ。
『ヒナタの通常攻撃 しかし攻撃は外れた』
『ゴブリケンのスライス ヒナタに5のダメージ』
っ痛! 前言撤回。これは楽には勝てないや。こっちの通常攻撃が外れて向こうの剣攻撃が当たったか。しかも結構痛いダメージ。あと体力はどれくらい保つんだ? 一旦確認しておくか。
――
モノアイ lv.5
名前:ヒナタ 経験値:0/61
ステータス:HP:6/14、SP14/14
体力3、ちから4、まもり4、せいしん7
スキル:バイト、ドレイン
――
……これ結構ピンチじゃない? ゴブリケンの体力が同じくらいだとしても残り8以上。通常攻撃ではまず削りきれない。そしてもう一度スライスがくれば運が悪ければ一発で体力が無くなってしまう。ここはスキルを使ってみようか。
スキル欄にはバイトとドレインか。ドレインってのは名前からして攻撃しながら回復出来るスキルなんじゃないか? 仮にこれで倒せなくても多少回復すればこちらが倒れることはないだろう。よし、決まりだな。
決してバイトが恐らく噛みつき攻撃で、目の前のコイツに噛みつくのが……ちょっと嫌っていう理由じゃない……はず。……多分。
『ヒナタのドレイン ゴブリケンに7のダメージ ヒナタの体力が3回復した』
『ゴブリケンを倒した 経験値を11手に入れた』
tips:
スキル
スキルにはそれぞれ属性や威力などが決められている。中には意外な効果も持つスキルも?