260話 やり方は限られている
さっきからずっと引っかかってたのはこいつの存在だな。壁を通り抜けて近づいてくる以上接触の可能性はかなり高いし気付かずに依頼主を置いていく可能性も大いにあり得る。接触はされちゃったが、置いていきこそしなかったのはラッキーではあるか。
さて、壁の中にいるモンスターにダメージを与える方法ってのは限られている。こういう時のための便利な攻撃スキルがあるのかもしれないが、あいにくここにいる誰も持ってない。……と、すると俺の取るべき選択は飛び道具での攻撃一択になるわけだ。
ガイストがいるのはアクアのすぐ隣。つまり今のパーティ全員に接触してる配置だ。依頼主に攻撃される確率は3分の1。……さて、どうなる?
『ヒナタはとがった石を投げた ガイストに20のダメージ』
『ガイストのイグナイト あまり効いていない ヒナタに3のダメージ』
ラッキー! HPはそれほど多くないはず……。
『ヒナタはとがった石を投げた ガイストに20のダメージ』
『ガイストを倒した 経験値を93手に入れた アクアはさらに経験値を47手に入れた』
ふぅ、倒せたか。とがった石2個の消費は痛いけど、ハートのおまもりに比べれば安いものだよね。……しかし、今後は壁の中にも気を配らなくちゃいけなくなったってことか。面倒だけど仕方ないね。
今回の目的は探索と救出だったよな。階層も確認しておくか。……探索が地下5階層、救出が地下7階層ね。つまり依頼主がいるのは地下5階層まで。救出依頼は絶対楽にできるはずだから今は探索依頼だけを気にすればいいさ。
……と言うか、地味にこれ探索依頼なのか。てっきり地下5階層まで連れて行けば終わりだと思ってたよ。ま、アイテムを見つけるだけだから大した違いはないけどね。
お! このフロアにはアイテムがたくさんあるね。お金にこんがりクロワッサン、それからきのみかな。
『ヒナタはこんがりクロワッサンを拾った』
『ヒナタは92G拾った』
『ヒナタはしんぴのみを拾った』
しんぴのみね。SPの上限アップアイテムだったかな。使うなら俺の方だね。取っておいてもいいんだけど、……いつ使っても一緒と言えば一緒ではある。忘れてもいけないし今使っちゃうか。
『ヒナタはしんぴのみを使った ヒナタのSPが1上がった』
よし、これで俺のSPの上限が上がったね。……そういえば今拾ったアイテムがもしちからのみだった場合、ちょっと楽ができたんだよな。
tips:
一部の攻撃スキルは壁の中のモンスターにも当たったり、壁そのものを壊すことができる。




