242話 近くて遠い階段
あとはこのフロアを目指して進むだけだな。ここから行くなら……、さっきのフロアに戻った方が近いのかな? 右横から入れると思う。そうと分かればさっさと戻るか。
……おっと? 右横から入れると思ったら通路が繋がってなかったか。もしかしてあのフロアにたどり着く通路はひとつだけとかだったりするか? それはさすがに面倒くさすぎるよね? そうじゃないよね? きっとここから回り込むようにして進めばあのフロアにたどり着くよね?
…………はぁ。これはちょっと面倒くさすぎるな。奥のフロアから回り込もうと思ったのにこっちのフロアも右に進めないとは。一応奥に通路は見えるけど、このまま進んでも右に進めるとは限らない。せっかくのラッキーを戻ったことで手放した感あるな。それでこいつに遭遇したのなら甘んじて受け入れるか。
『ヒナタのフレイムカッター エクレールに35のダメージ』
『エクレールのプラズマリング ヒナタに23のダメージ』
『ヒナタのフレイムカッター エクレールに36のダメージ』
『エクレールの通常攻撃 ヒナタに16のダメージ』
『ヒナタのフレイムカッター エクレールに35のダメージ』
『エクレールを倒した 経験値を189手に入れた アクアはさらに経験値を95手に入れた』
さて、……これからどう進もうか。大きく分けて2通りの進み方がある。1つはこのままどんどん奥に進んで右に進んでからさっきのフロアを目指して進むやり方。遠回りが確定しているとはいえここまで進んだ以上はこのまま進んだ方が近い可能性が高い。
もう1つはブルニトロがいたあのフロアまで戻って逆回りで階段があるフロアを目指して進むやり方。こっちは結構博打めいた進み方になる。すんなりたどり着く可能性もあれば同じだけこっちの道みたいに遠回りになる可能性も両方ある。
……ただ、こっちは戦略的撤退という言い換えもできるんだよな。要するにこっちの道に進むことに旨味が無いから撤退して別の道から攻める判断に切り替えたということ。
もちろん結果としてどっちが近いかなんて俺には分からない。分かってたらどっちか迷うなんてことしなくていいしね。
でも気分的には、正しい道を気付きながら間違った道を進むことには抵抗があるんだよな。考えずに進んで壁に当たるとなんかむかつくっていうちっぽけなものだけどさ。
よし、……戻るか! ここでグダグダ考えてても仕方ない。戦略的撤退だよ。こっち側の通路は結局遠回りになるだけ。進むだけ無駄。引き返す方が賢い。結果としてもっと遠回りになる可能性もあるけど……。ま、それはそれだよ。
……お、ミニゴンがいるな。引き返す以上モンスターと無駄に遭遇しちゃうのは仕方ない。経験値の糧とさせてもらうよ。
そういや俺ってもうすぐレベルアップだっけ? 確か結構近かったんだよな。
tips:
ダンジョンの攻略ルートはひとつではない。どう攻略するかはプレイヤー次第だ。