230話 余裕めいて笑う
さて、そうなると石ころにかなり価値が出てきたな。離れた場所から安全にブルニトロを倒すためには飛び道具がかなり大事になってくる。今残りの石ころは……、6個だな。
それじゃあ今後は通常攻撃でトリガーを発動させよう。さくせんを「とにかくにげろ」にすればアクアもクレイジーボムの範囲外になれるからそれでいいはずだよ。
……お、飛び道具発見。これはとがった石かな?
『ヒナタはとがった石(3)を拾った』
いいね、とがった石はかなり嬉しい。現状離れた位置にいるモンスターに対する最高のダメージソースだからな。向こうが攻撃できずにこっちが攻撃できるのは相当な価値。それこそ山のように欲しい。
……それにああいう未知のモンスターに対して距離を取って戦えるってのも良い点だよな。
ヒナタはフロアから伸びる通路をじっと見つめていた。フロアに入った時に気付かなかったということはとがった石を拾ったそのターンにフロアにそいつは侵入してきたのだろう。周囲を見ずに歩き始めていたならばその未知のモンスターに何をする訳でもなく接近を許すことになり、戦闘は不利になっていたに違いない。
目の前のそいつはこちらを見て余裕めいた笑みを浮かべていた。稲妻のようなエフェクトを纏い、雲に乗って浮いているそいつはどう見ても難敵であった。少し前影しか見えなかったのは多分浮いている故に違いない。目の前のモンスターをじっと見つめヒナタはふぅとひとつ息を吐いた。
ああいう笑顔が一番むかつくんだよな。どうした早くかかってこいとでも言いたげな余裕の表情っていうの? ま、お望み通り先手は取らせてもらう。ダメージは多めにしてな。
『ヒナタはとがった石を投げた エクレールに20のダメージ』
名前はエクレールね。纏ってるエフェクトからしても属性は雷属性で間違いない。雷属性は確か……、水属性に対して強かったな。ならアクアには一旦その場で動かないでいてもらうか。俺ひとりで戦っていこう。
『ヒナタのポイズンアロー 3回当たった エクレールに45のダメージ』
『エクレールのプラズマリング ヒナタに24のダメージ』
うん、やっぱり見た目通りの雷属性で間違いないね。まあエフェクト纏ってるのに雷属性じゃなかったら詐欺もいいとこだけどな。
使ってきたスキルはプラズマリングね。エフェクトを見る限り雷属性の周囲攻撃スキルってところか。アクアがいたらやばかったな。それじゃあトドメは……、フレイムカッターとかにしておくか。
tips:
エクレール
雷を纏い雲に乗って戦うモンスター。ひとたび暴れ出すと止まらないので要注意だ。




