228話 触るな危険
『ヒナタのブラックウィング 2回当たった スチリルに48のダメージ』
『アクアのアクアウェーブ スチリルに37のダメージ』
『スチリルを倒した 経験値を137手に入れた アクアはさらに経験値を69手に入れた』
一応火力は高めにしておいたが、……必要なかったかもな。取得経験値的には断崖の空洞の深層や嵐の入り口とそう変わらない。スイートメープルが3個しか無いからこのくらいの難易度なら温存しながら進んだ方が良さそうだ。
……お! これは助かるぜ。
『ヒナタはスイートメープルを拾った』
うんうん、これがあるのと無いのとでは大違いだよ。もしかするとこのダンジョンではスイートメープルが割と拾えるのかもしれない。難易度がそれなりのダンジョンだとSP管理がちょっとシビアになるからな。現地調達できそうってのはかなり大きい要素だ。
さて、……さっきちらっとだけ見えたモンスターなんだけど。ちょっとやばそうだよな。
ヒナタはフロアから伸びる通路をじっと見つめていた。実は先程スイートメープルが落ちていたフロアに入ったそのタイミングでフロアから去っていったモンスターがいたのである。影しか見えなかったが今まで見たことのあるどのモンスターとも違うその姿にヒナタは少しだけ怖さを感じたのだ。
いつもよりフロアの滞在ターンを長くしてからその通路へと進んだヒナタたちは無事にモンスターと遭遇することなく次のフロアにたどり着いた。そして件のモンスターの姿はそこになかったのである。
その代わりにそのフロアには別のモンスターがいた。青白く光るガラスのような見た目のそのモンスターはその場から動かずじっとヒナタたちを睨みつけていた。
……さっきのモンスターじゃあないが、こいつも見たことないモンスターだよ。とりあえず近づくか、飛び道具でHPを削っておくか。……その2択ではあるがさてどうしよう。とがった石が無いから飛び道具を序盤に使うのはちょっと避けたいんだよな。そもそも石ころだと満足にダメージも与えられないし。……とりあえず近づくか。
ん? こいつ動かない系のモンスターか。なるほどね、それじゃあ飛び道具の出番だわ。安全に対応させてもらおうかね。
『ヒナタは石ころを投げた ブルニトロに10のダメージ』
『ブルニトロのクレイジーボム ブルニトロは熱を持ち始めた』
クレイジーボム? なんだそのスキルは。
名前から考えるに爆発するんだよな多分。爆破の範囲が分からないからなんとも言えないけど、さすがにフロア全体を爆破はしないだろうからせいぜい周囲攻撃ってところだろ。それじゃあ一旦爆破させるとして、HPは削っておくか。
『ヒナタは石ころを投げた しかし弾かれてしまった』
『ブルニトロのクレイジーボム ブルニトロは爆ぜた』
…………は?
tips:
ブルニトロ
不動が信条の青い爆弾モンスター。自分から動くことをしないが動けない訳ではない。ストレスに弱くすぐに自爆する。




