20話 デスペナルティ
けたましい音が鳴り響いた。この音がなんの音なのかをヒナタは知っている。間違いない。……目覚ましの音だ。
「ああ︎っ! うるせぇ‼︎」
あぁ、うるさかった。……なるほど、ダンジョンの途中で力尽きた場合は次の日になるのか。力尽きた上にこのうるせぇ目覚ましに起こされるとはな。
……さっさと目覚ましを新しいものにしないと気分が乗らん。そのためにもまずはお金を手に入れないとな。……あ、そうだ。……マップと、冒険隊カード。それに依頼書は入ってる。……後は、全滅か。いっそ清々しいな。
デスペナルティはアイテムロストである。マップや冒険隊カードのような大事なものを除いたカバンの中の消費アイテムがその対象である。もちろんロストするしないは確率の問題であり、ごく稀にだがほとんど無くならない場合もある。
もっともそれは天文学的確率であり大概の場合は無くなることの方が多い。今回のように中に入っているアイテム数が少ない場合は全滅も珍しくないのだ。
何もかも無くなった方が切り替えやすい。スタートの時と同じ状況で、なおかつ俺は海岸の岩場の情報をある程度知った上で依頼に取り組むことができる。……今度こそ失敗はしない。
……さて、朝礼に行こうかな。
「……それでは解散」
よし、朝礼が終わったな。早速海岸の岩場に挑みに行ってもいいんだが、今日はまずちょっと違う場所に行ってからにしようかな。
「あれ? ヒナタ、どこへ行くんだい? 海岸の岩場はそっちじゃないよ?」
「海岸の岩場に行く前に、ちょっとショップを見てみたいんだ」
「ショップを?」
首を捻るアクアをよそにヒナタはまっすぐミセミセがいる場所を目指した。ミセミセのショップがギルド内にあることは知っていた。それ故にその場所にたどり着くのは簡単な話である。
――
ショップ
――
「「やあ、ヒナタ、アクア。ミセミセのショップへようこそ♪ 君たちここに来るのは初めてだろう?」」
「ああ、初めてだ。初めてだと何かあるのか?」
「「これを渡しておくよ♪」」
『ヒナタはルームメーカーを手に入れた』
ルームメーカー?
「「それはルームメーカー。部屋の模様替えに必要な端末なんだ。使い方は簡単。データ化された家具を端末内で設置するだけ。そうすればあとはルームメーカーがその通りに模様替えしてくれるよ」」
「へぇ、便利なアイテムがあるんだな」
「「でしょう? それが無いと模様替えも不便だしね。これで心置きなくグッズを使って模様替えが出来るよ! 是非いっぱい使ってね♪」」
良いものをもらったな。早く使ってみたいぜ。……まあ、いつ使えるようになるかはこれ次第だけどな。
tips:
ルームメーカー
模様替えに必要なアイテム。これさえあれば模様替えも楽ちん!




