192話 その場所は知っている
鳴り響く賑やかな音でヒナタは目を覚ました。ヒナタはお気に入りの目覚ましを止め、お気に入りのウォーターベッドから降り、そして昨日あったことを思い返していた。
さて、これでイエローオーブが手に入ったんだよな。……4個目になるのかな? 順調のようにも思えるけど残りはあと3個ある。折り返しは過ぎたとはいえ結構遠いね。ちなみに断崖の地底湖はオーブ以外には何もなかった。ま、果ての祠がイレギュラーな場所だったってことだね。それじゃあ朝礼に行くか。
「……それでは、解散」
朝礼が終わったな。さて、今日はどこに行くか。……そういやトップがオーブのある場所を知ってるとか言ってたっけ? オーブを手に入れたことを報告すれば教えてくれるんだったか。それじゃあトップの部屋に行くか。
――
トップの部屋
――
「おや、君たちか。私に何の用だい? ……おや? もしや君たちオーブを手に入れたのかい?」
「……まあね」
「なるほど、やはり断崖の空洞の奥地にイエローオーブがあったか。ふふ、やはり見立ては正しかったようだな。いいだろう、もうひとつ私が知っていることを君たちにも教えよう」
そう言いながらトップは椅子から立ち上がった。どんなダンジョンの情報を教えてくれるのかとヒナタは身構えた。……しかし意外にもその場所はヒナタも知っている場所のようなのだ。
「潮騒の洞穴の奥地に風吹き荒れる祠があるのを知っているかい?」
「風吹き荒れる祠? ……一応知ってはいるが。あそこに何かあるのか?」
「あの場所は潮騒の洞穴の最奥部であり、……更なるダンジョンの入り口だ」
「更なる……ダンジョン?」
「言ったろう? 入り口が封印されていると。そこから続くダンジョンの名前は嵐の入り口。その最奥部真実の虚構と呼ばれる空間にインディゴオーブが隠されている」
待て待て。……情報が多いぞ。ええと、まず潮騒の洞穴から更にダンジョンが続いているのか。大分前に攻略したきり行ってない場所だからあんまり記憶にないけど確かにダンジョン内と雰囲気は全然違った気がするし、更にダンジョンが続いていてもおかしくはない。
そしてそのダンジョンは既に名前が分かっている。もっと言えば最奥部の名前も分かっている。ダンジョンの名前は嵐の入り口で最奥部には真実の虚構と呼ばれる空間が広がっていると。
しかもそこにあるオーブの種類も分かっている。インディゴオーブ。インディゴって言うと……、藍色になるのか? まあ、それは手に入れれば分かることだ。
大体情報としてはこのくらいか? この情報の真偽が気になるところだが、今俺が最も気になっているのが……
「……やけに詳しいな」
「それは当たり前だ。そこでオーブを隠し持っているモンスターは私にとって古い友人でね。戦友と言った方がいいか」
tips:
嵐の入り口
常に強風が吹いているとの噂がある海域。奥に進むにつれどんどんと暗くなっていく。




