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171話 買わない選択肢はない


――

金庫

――


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「お金を引き出したい」

「一部を引き出されますか? それとも全額引き出されますか?」

「……全額で」

「かしこまりました。確かに全額引き出されました。ヒナタ様の預金は0Gでございます。またのご利用をお待ちしております」


 さあ! 所持金は……、1857G! ジュークボックスを買ってから買えるスイートメープルの個数は……、とりあえず引けばいいんだよな。お釣りが157Gだから、……1個しか買えねぇじゃねぇか。そりゃ全然足らないよ。

 だが、ジュークボックスが目の前にあるのに買わないって選択肢もないよな。仕入れを頼んでもいいんだが、すぐそこにあるのに仕入れろっていいのも間抜けな話。つまり今日取るべき行動は、断崖の空洞には行かないことだ。


――

ショップ

――


「「やあ、ミセミセのショップへようこそ♪」」

「これを売ってくれ」

「「ジュークボックスだね。1700Gだよ」」

「……これで」

「「ちょうどだね、ありがとう♪」」


 よし、これで無事に手に入ったな。それじゃあ早速模様替えといこうか。


――

拠点

――


 模様替えって言っても俺自身が動かす訳じゃないからな。ルームメーカー様々だよ。……よし、完了だな。


 ルームメーカーの操作が終わり拠点にジュークボックスが設置された。これでヒナタにとって3回目の模様替えとなる。最初のシンプルな部屋と比較すればかなり変わったと言えよう。お金をかけただけはありヒナタはとても満足気である。


 ……うん、良いね。すごく良い。最初はオーディオなんて置くつもりはなかったんだけどやっぱり置くと……、良いね。あるのとないのとでは全く違うよ。ちなみにこれは何か操作が……、おお! 出来るじゃんか。拠点のBGMが変えられるんだな。ふふ、これは良い買い物だったね。


 とはいえ、お金はほとんど無くなってしまった。たった80Gのスイートメープルが1個しか買えないのはさすがにマズイ。そして準備ができてない状態で断崖の空洞には行きたくない。

 ということで、今日は……ここかな。


――

森の小道 1階層

――


 拠点を出てヒナタは森の小道へと向かっていた。森の小道は果てなき森の入り口近くにある小さなダンジョンである。

 ここへやってきた理由はただひとつ。依頼の遂行である。持っている依頼書には森の小道の3階層にいるフリフラを倒すことと、その報酬であるスイートメープルが記されていた。


 比較的浅めの階層で達成できる依頼をこなせば不足しているスイートメープルが手に入るっていう何ともありがたい依頼だよ。しかもそれだけじゃあない。道中でお金、もしくは不要な巻き物がもし拾えればさらにスイートメープルが手に入るっていう二段構えになってるのさ。ふふ、我ながら良い考えだね。


tips:

準備が充分でないなら無理に攻略を進めないのもひとつの選択である。

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