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144話 またの名を……


 ヒナタは降りたったフロアからしばらく一歩も動かなかった。今までとは全く違う景色に戸惑いを隠せなかったからである。ヒナタの視界の先には青い輝きを放つ綺麗な湖が広がっていたのだ。


「……ここは?」

「……分からない。湖……なのかな?」

「ふむ、……ここは恐らく果ての祠と呼ばれる場所だな。いつだったかトップがこの場所の話をされていた覚えがある」

「知ってるのか?」

「……多少な。トップのお話によればこの場所にはあれがあるはずだ」

「あれ?」

「ついてくればわかる」


 そう言うとヒショはどんどんと先へ進んで行った。ヒナタは周囲の景色を見ながらヒショの後に続いた。果てなき森の終盤の景色が青く見えたのはこの場所が青く輝いているからなのだろう。ヒショの後を追いながらヒナタはそんなことを考えていた。


「やはりあったか。……お前たちも見たことはあるんだろう?」


 ヒショはそう言いながら振り返った。その場所には確かに見覚えのあるものがあった。

龍の掌だけが彫られた像。その掌には青く輝く宝玉が収められていたのだ。この宝玉こそ辺りの景色が青く見えた理由に他ならない。


「……ブルーオーブ」

「ああ、そうだ。この宝玉はブルーオーブ。お前たちが迷いの森の奥底で見たものと同じ宝玉だよ」


 ヒナタはゆっくりと像に近づいた。目の前のその宝玉はまるでヒナタたちがここへ来るのを待っていたかのように優しい光を携えていた。


「これ……取れるのか?」

「当然だ。それは元々あるべき場所に戻されるための代物だからね」


 ヒショの言っている意味をヒナタはよく分かっていた。元々あるべき場所……。それは宝玉の間で間違いないだろう。ヒナタはゆっくりと目の前のブルーオーブを手に入れようとした。龍の掌像に握られていたのが嘘のようにその宝玉は簡単に手に入ったのである。


『ヒナタはブルーオーブを手に入れた』


 この果ての祠が青く輝いているのはブルーオーブがあるからである。そのためブルーオーブが無くなれば当然、辺りの景色は暗くなる。……はずだった。


「……⁈ この強い光はなんだ‼︎」

「なるほど、ブルーオーブを取ることがトリガーとなっているとは」

「トリガー? 何の話だ?」

「……果ての祠。またの名を進化の祠と言う。かつて強さを求めるモンスターたちがその強さをさらに確固たるものにするために目指した場所……、とされている」


 湖からこぼれるようにあふれた強い光はそのままヒナタたちに向かって一直線に迫った。その強い光に目が眩んだヒナタはしばらく目を開けることができない。……そしてようやく目が慣れてきたその時。今までは影も形も無かった湖の中心へと繋がる道と、湖の中心に小さな祠を見たのである。


tips:

進化

固有の条件を満たしたモンスターが姿を変え強化される現象。ステータスが大幅に上昇するほか、新たな属性を獲得することもある。

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