13話 最初の依頼
……なるほど、このポケットか。ここにあの依頼書をいくつか入れて持ち歩けと。
「そうだ。そのポケットだ。ものは試し。実際に依頼書を入れてみようか。冒険家になりたてのノービスランク。そんなお前たちには、……このくらいの依頼がちょうどいいだろう」
お、ちょうどいい依頼を選んでくれるのか。それは助かるな。……そうか、これチュートリアルか。はじめての依頼ってことだな。定番なのは薬草集めとかなんだけど……、クロワッサン?
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こんがりふっくらおいしいクロワッサンがほしい!
依頼主:ペロリン
目的:こんがりクロワッサンの配達
場所:海岸の岩場4階層
ランク:E(10)
報酬:ゴールド
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「こんがりクロワッサンの配達か」
「……こんがりクロワッサンって?」
「こんがりクロワッサンはこんがりクロワッサンだよ。時々ダンジョン内で手に入るHPを回復してくれるアイテムのことさ」
……なるほど、回復アイテムか。こんがりクロワッサン。ちょっと食べてみたいよな。このゲーム味までは再現してくれないから残念なんだが。……まあ、ダンジョンで時々手に入るってことは、つまり床に落ちてるってことだから食べるのはちょっと抵抗があるけどな。
ま、ひとまずこれがはじめての依頼だな。張り切っていこうか。
「場所は海岸の岩場だね」
「昨日のところか?」
「ああ、そうだよ。早速いこうか」
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海岸の岩場
――
……さて、海岸の岩場の入り口に来たな。前回も来た場所ではあるが、入り口はまじまじと見てなかったな。なるほど、こんな風になっているのか。
ギルドから海岸線を少し歩いた場所にダンジョン海岸の岩場の入り口がある。もちろん亀裂があって先へ進めそうというのが一番の目に見える特徴ではあるが、それよりも光景を異質にしているのは恐らくこの転移ポータルだろう。
「この海岸の岩場の4階層に依頼主がいるらしい。早速行ってみようか」
「ああ、行ってみよう」
――
海岸の岩場 1階層
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さて、改めてここが海岸の岩場だな。今俺たちがいるフロアは4×5マスの少し大きな空間だな。通路は目の前にひとつあるだけであとは水路と岩壁に包まれている。つまり敵モンスターが来るとすればあの通路からのみ。ちょうどいいからシステム面の確認をしておこうか。
tips:
一度に持ち歩ける依頼書は8枚まで。それ以上の数の依頼は受けることができない。