116話 さくせんの追加
ええと、あと何を確認してないんだっけ? ……ああ、あれだ。さくせんコマンドが追加されたんだった。それじゃあ見てみるか。
――
さくせん
SPつかうな
SPぜんかい
そこからうごくな
スキルしてい
じゆうにうごけ
――
追加されたのは「スキルしてい」と「じゆうにうごけ」か。
「スキルしてい」は要するにスキル指定ってことだ。これで状況に応じてどのスキルをするべきか選ぶことができるようになった。これはかなりアツい。ちなみにスキルじゃなくて通常攻撃を指定することは……、できるな。うん、素晴らしすぎる。これで攻略が格段に楽になった。
「じゆうにうごけ」はつまり自由に動けだな。スキル指定とは逆に全部AIにお任せすることになる。普段はあまり使わないけど、例えばワープスイッチとかでパーティが分断されてしまった時に便利なさくせんだな。これもかなりありがたい。
今回のさくせんの追加はどっちもありがたいものだな。特に「スキルしてい」は待望のさくせんコマンドと言っていい。果てなき森の攻略前に随分と追い風だよ。冒険隊ランクを上げて本当に良かった。シナリオも大事だが並行して依頼をこなすのも大事ってことだ。頭に入れておこう。
……ええと、もう確認が必要なものはないかな。それじゃあ朝礼に行こう。
「……全員揃ったな。それでは朝礼を始める。まず最初に、本日の皆の活動について決まりごとがある」
そこまで言ってヒショは一度口を閉じた。ヒショが何を言いたいのか分からず困惑しているものもいたが、多くは神妙な顔でただ頷いていた。
もちろんヒナタたちはヒショか何を言いたいのか分かっている。知っていると言ってもいいかもしれない。何しろベースキャンプの設営が終わったことをこの目で見ていたのだから。
「本日より我々ギルドでは、冒険隊アルラウネが発見した新ダンジョン、果てなき森の攻略を開始する」
とうとうか、やっとか。そんな声があちこちから聞こえてきた。皆ギルドとして攻略が始まるのを心待ちにしていたのだろう。我こそが最初に踏破してやろう、そんな表情が誰しもに見られた。もちろんヒナタたちも同じ表情である。
「故に、皆は攻略に向けて最後の準備を整えてくれ。皆の準備が整い次第出発となる。準備ができればまたここに集まってくれたまえ。……それでは解散」
いやぁ昨日の段階で分かっていたことではあるけども、改めて言われると結構心が湧き立つね。それじゃあ準備を整えるか。アイテムは……、貴重なものではあるけど攻略に必要なものでもあるか。それじゃあお金を預けることと、仕入れの予約をするだけにしようかな。
tips:
「じゆうにうごけ」を使うとパートナーや仲間モンスターが自由に行動するようになる。これにより各自単独で探索を進めることも理論上可能となる。




