104話 思いとは裏腹に
……とりあえず勧誘率が0になる仕様は無さそうだな。勧誘率がどのモンスターも同じだとは思えないし、個別で設定されてそうだ。スチリルやコノハウルは結構高めの確率で勧誘できてトグロゴンとかは低くなってるって感じでさ。
そう考えるとトグロゴンが仲間になったら多分かなり嬉しい気持ちになるんだろうな。どんなものでも確率を打破したら気持ちいいものだしな。断崖の空洞で遭遇できるから今のところ不可能ではないんだよね。確率はかなり低いだろう。……ともすると1%もないかもしれない。もし仲間になったら名前はどうしようか。ふふ、ちょっと楽しみだな。
このダンジョンでは絶対に遭遇することのないモンスターにヒナタは思いを馳せながらフロアを進んでいた。敵モンスターがいないこととアイテムが特に落ちていないことから完全に油断しているのである。当然罠のことなど頭から消え去っていた。
ところで現在攻略しているガタガタ林道は上に階層が続くダンジョンである。そのため下に落ちてしまうおとしあなスイッチは無く、その代わりに下から上に突き上げる罠が登場するのだ。ヒナタがその罠を踏んだ瞬間地面から大量の水が噴き出したのである。
『ふんすいスイッチ発動! ヒナタは噴水に突き上げられた』
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ガタガタ林道 4階層
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『ヒナタは噴水に突き上げられた ヒナタに10のダメージ』
……ふんすいスイッチかぁ。確かにね、おとしあなスイッチだったらせっかく登った階層を降りちゃうからね。そこまで鬼畜ではないと。うん、……そうかぁ。まあ、階層が進むのは結構ありがたいけどさ。こんなに進んでいいのかなとも思うわけよ。
リーフのレベルが分からなかったから一概には言えないけど、このダンジョンは多分レベルで言うと10程度のモンスターが棲息してるんだよね。だからポイズンアローとかバブルスキンとか消費SPが重いスキルに頼らなくても攻略できる。
……ただ、この先はそうもいかないよな。どこかのタイミングでレベル上げは必要になってくる。その時のためにもこういう楽に攻略できるダンジョンで経験値を稼いでおくのも大事だと思うんだよな。……って考えてたら階段がすぐに見つかってしまうって言うね。
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ガタガタ林道 5階層
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『目的のフロアに到達しました』
目的のフロアに着いたことで依頼主であるトグロゴンは嬉しいそうな表情を浮かべ去っていった。残されたヒナタたちはギルドに帰還するかこのまま進むかを決めることができる。が、迷う必要は一切ない。攻略を続けることをヒナタは選択した。そもそも依頼はおまけであり本来の目的はガタガタ林道の踏破、そして果てなき森の入り口への到達である。
tips:
ダンジョンには適正レベルがある。難易度が高いと感じれば戻ってレベル上げをするのも手だ。




