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9話 自己紹介


 睡眠といっても実際に寝る訳ではない。干し草のベッドの上に寝転べば視界はすぐにブラックアウトし、すぐに朝が訪れた。

 だから本来この音は必要ないはずである。けたましい目覚ましの音でヒナタはベッドから飛び起きたのである。


「ああっ! うるせぇ‼︎ なんだこの音は⁉︎」


 ペンギンがどんな鳴き声を出すかは知らない。だがいつの日か水族館でもしこんな声を聞いたなら、きっと耳を塞ぎ走り去りたくなるだろう。そんなけたましい声が目覚ましからは鳴り響いていたのだ。


「……おはよう、ヒナタ」

「ああ、アクアおはよう。……すまん、大きい声を出したな」

「大丈夫、目覚ましの音で起きていたからヒナタの声で起きた訳じゃないさ」

「……なら良いんだ」

「……ふあぁ、まだ眠いや。でも起きないとね。さ、早く準備して朝礼に行こう」


 そうだな、早く朝礼に行かないと遅刻になるな。……ところで朝礼はどこでやるんだろう? 聞いておけば良かったな。……ま、部屋の外に出れば分かるでしょう。


 そう呑気に考えたヒナタは部屋を出るとそのままギルドの入り口を目指して歩き始めた。そういうものだと思っているために、誰にもすれ違わないことに微塵も疑いを持たなかった。だが、それは全くの逆方向故であり、トップの部屋の入り口前で行われる朝礼の場所にたどり着けたのは朝礼の始まる直前となってしまったのである。


「…………遅刻ギリギリだな」

「……道に迷った」

「……ふん。初日故に咎めはしない。……次はないぞ。分かったら早くそこへ並べ」


 相変わらずペングルは偉そうな態度である。とは言え遅刻ギリギリなのは事実。反省した態度を示しつつ、ペングルが指し示した場所へと並びに行く。隣には昨日見たアフロがこちらをニコニコした表情で見ていた。……口しか見えないがきっと微笑んでいるのだろう。


「……全員揃ったな。それでは朝礼を始める」


 ペングルのその言葉を皮切りにヒナタたちにとって初めての朝礼が始まった。と言っても何かヒナタたちにとって有益な情報が手に入る訳ではない。瞬きの間にいつもの朝礼は終わってしまったのである。要するにカットしてあったのだ。


「……それでは最後に新しい仲間を皆に紹介しよう。……ヒナタ、アクア、前へ来い」


 お、紹介してくれるのか。それじゃあ隣に並んで……と。……しかし、当たり前だが知らないモンスターばかりだな。なんだか転校生にでもなった気分だよ。

ええと、見た感じこのギルドにはペングルとトップを含めて10体のモンスターが所属しているのか。俺たちを追加すれば12体になるな。


「ヒナタとアクアだ。パーティ名はユグドラシル。今日からこのギルドで皆と一緒に行動することになった。彼らからすれば皆は知らないモンスターとなる。通常業務に入る前に全員彼らに顔とコードネームを教えておくように。……それでは解散」


 なるほど、ここでギルドに所属している他のモンスターと話すことができるんだな。……誰から話そうか。


「お前たち、早く皆と自己紹介を済ませるんだ。全員と自己紹介が終わればまたここに帰ってくるんだ。良いね?」


tips:

ギルドの仲間たち

キュビクスのギルドでは主人公たち以外にも冒険家が在籍している。話しかけると有益なことを教えてくれる……かも?

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