カオス
物資の調達に出かけ、夕刻俺たちのグループが本拠地にしている学校の近くまで帰って来た。
チクショー! 今日もまた湧いて出て来てやがる。
ゾンビの事じゃ無い、ゾンビに向かってエアーガンでBB弾を撃ち込んだり木刀やバットでゾンビの頭をぶっ叩いている奴らの事だ。
BB弾を撃ち込まれ木刀やバットで殴られているゾンビが、心なしか鬱陶しそうな顔になっている。
エアーガンを撃ちまくり木刀やバットを振り回している奴ら、こいつらは霊だ。
だから木刀もバットもゾンビの頭を叩き割るなんて事は無い。
ゾンビが世界に蔓延を始めた感染拡大初期、大部分の人たちは俺たちのように家族や仲間を失いながら安全な場所を求めてゾンビと戦った。
だが少数の者たち引きこもり生活をしていた奴らが殆どだったけど、家や部屋に閉じこもり事態が沈静化するのを待った奴らがいる。
この閉じこもり沈静化を待った奴らの成れの果てが霊なんだよ。
早期に沈静化するって考えてた奴らの思惑に反して、ゾンビの蔓延は沈静化する兆しは全く見えていない。
そのせいで閉じこもっていた奴らの大部分が餓死したり衰弱死したりした。
大部分っていうのは少数の奴らが、戦って安全な場所を手に入れた俺たちのグループや同じような他のグループに助けを求めて来たからだ。
当然そんな虫の良い話しが通じる訳も無く、追い払われゾンビに喰われたかそこら辺で野垂れ死にする。
それで餓死したり衰弱死したりした奴らだけどそのままあの世に旅立てば良いのに、死んだ事でゾンビに怯えなくて良くなったと考えた奴がいて、所有していたエアーガンやバットなどを持ちゾンビゲームを始めたんだな。
それを見た引きこもり生活者共が死んだあと我も我もと真似しているんだ。
その上こいつら今までの生活習慣そのままに現れる。
夕方近くまで寝て夕方から朝方まで活動し、朝に寝るという生活習慣そのままに。
だから俺たち物資調達班が帰って来る夕方になると現れ、ゾンビ共に襲い掛かりリアルゾンビゲームを始めるんだ。
全くカオスな世界になったもんだよ。