〈3〉 外の世界
『ただいまー。』
晩御飯中に話してみると
『それは、思春期ねー。青春だわーん。』
そう言いながらお母さんは頬を赤らめる。
やっぱこの人呑気だなーと思いながらちょっと、いや、
だいぶ心が軽くなった。やっぱ母の力を舐めたらダメだと思う。
そんな会話をしながら楽しく食事は終わり、あっという間に眠る時間になった。
また、夢を見ていた。
目の前に女の子がいる。
お花を持っている。霞草だ。
『ねぇ、ほんとうに覚えてないの?』
泣きながら言っている。僕何かしたかな。
自然と起きた。窓を見てみると外は黒色で、空は藍色に
輝いてそれこそまるで、
本物の魔法の様に
僕は呆然と空を見上げながら窓を開けて外へ出ていた。
それは自然に、流れる様に、僕の意志じゃないかの様に
初めて家を出た。決まりを破った。
外は道でもない道が続いていて、僕はそれを辿っていた
。急に森がなくなった。草原になった。
草原の奥の方に行くにつれて高度が高くなっていく。
上り切ったとき、そこは行き止まりになっていた。
遠くのほうに灯りがあった。
この時僕は、本当の意味で、
僕とお母さん以外に人がいるということを理解した。