部屋の場違い工芸品
たくさんのなろうの作品から見つけてくださりありがとうございます。
テレビの女が喋っている。おそらく、アナウンサーだろう。
「明日は、雨が降りますので外出の際には傘を持っていきましょう。それでは、ここからはお馴染みの人気コーナー、オーパーツを探す旅です。天竜アナ、よろしくお願いします。」
そこで場所が切り替わった。
「はーい、私、天竜は今最近急に変わったと有名の便所に来ております!」
「べ、べ、べ、べん、便所ですか!?」
「はい。便所でございます。こちらの便所、1日でいきなり流れろと念じただけで流れる便所へと変身したものだそうです!」
「それはすごいですね!!!」
ポチリ
そこで、画面の女と天竜と呼ばれた男アナウンサーが消えた。
「ふん、馬鹿馬鹿しい。」
それを消した張本人の少年は心底くだらなさそうに鼻を鳴らした。
何がオーパーツだと、そんなものがどうした。何故そんなものに惹かれるのだ?と言った顔だ。
「いや、でもほんまのことかもしれないわよ。」
そんな少年にほっぺを膨らませた少女が言う。
彼女はいきなり彼に、見ていたお気に入り番組を消されて御立腹なのだ。
「けどよ。姉ちゃん、絶対嘘だろ?」
「いえ。確率は高いわ。」
「なんでそんなことが言い切れるんだ?オーパーツなんて見たことねーだろ?」
そういうと、少女の目は複雑な色に光った…ように少年には見えた。
「あら。普段から見ているわ。今だってほら、あなたには見えている。」
少年はあたりを見渡すが、あるのは少し旧式なテレビだけ。あとは…普通に俺の携帯、そしてモフモフのクッションぐらい。
「いや、どう考えてもねーだろ?」
「いえ、あるわ。」
少年はまたしても部屋を見回す。
それ以外は何一つない。寂しい部屋だ。
「まじでねーよ!なんだ?教えてくれ!」
「本当に、後悔しない?」
少女の言葉に少年は怖気付いたような顔をしたがすぐに頷いた。
「うん。しない。」
「じゃあ、言うわ。オーパーツはあなたの目の前よ。」
え?少年は驚いた顔になる。目の前にあるのはただ一つ。彼女だけだ。
「ふふ。実は、私がオーパーツでした。」
は?と虚をつかれたように目を丸くする少年。
だが、すぐに復活する。
「でも、お前、工芸品じゃないだろ?」
少女は腹を割ったのかハキハキとした声で言う。
「私は一応、物ですよ。あなたの所有物です。」
ええ!姉だと思っていた彼女の告白に少年は…
はっ
夢か…
少年はベッドから起き上がった。
夢か、良かった。
「いえ、夢ではないですよ。」
姉、が少年を真っ直ぐに見つめていた。
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