職業って皆違うの? [剣士なのは俺だ!]
諸事情により、短いです。すいません。
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どうやら晴男は剣士ではなく、魔法使いらしい。俺はてっきり最初は皆剣士なのかと思っていた。晴男曰く、装備していたのは初めからこの杖で、剣など一本も持っていなかったらしい。
初期装備に見えるは見えるのだが、なんとなく持っている杖は強そうだ。ひょっとするとモンスタードロップかな?と思い、杖の名前を聞いてみた。
「その杖、なんて名前なんだ?」
「これか?これはな、サニーメイスってんだ。」
思いの他初期装備みたいな名前だった。そんな事を考えている俺をよそに、晴男は続ける。
「ウェポンmodが多くて成長させ甲斐があるからさ、mobドロップの片手剣もあるんだけど、使う気にはなれなくて。この片手剣、いる?」
俺にとってなかなか良いお誘いだったが、それよりも俺はウェポンもっどというのが気になったので、聞かずにはいられなかった。
「あのさ、そのウェポンもっどってなんなんだ?」
「え、知らないのか?」
驚いた様子を見せつつも、晴男は続ける。
「そんな所にも差異があるのか。俺は最初におじいさんから聞いたんだけどな。で、ウェポンmodってのは、剣がどれだけ成長するかを示すんだ。modはモディファイの略で、《派生》って意味だ。」
そこで晴男は一呼吸おくと、少し早口に続ける。
「で、剣を使ってると、剣、まぁ、俺の場合杖なんだけど、レベルが上がるんだ。レベルが上がると、ソードポイントってのが手に入って、それを使って剣技を覚えられるんだ。」
分からない語句が出てきたので慌てて俺は聞く。
「待て待て、ソードポイントってなんなんだ?」
「あぁ、それも知らないのか。ソードポイントってのはな、自分のレベルでいうスキルポイントみたいなもんだよ。」
「なるほど、それで剣技とやらを習得すると。」
「そゆこと。ちなみに俺は、メイスレベルが4で、自分のレベルが5だぜ。杖技もみっつよっつ覚えてるぞ。」
「マジで!?いいなぁ、俺まだ両方レベル1だよ。」
「じゃあさ、俺がサポートするから一緒にレベル上げしない?」
「ホントに!?いいの?俺なんかについてくれて。」
「いいさ、俺も優香を救いたいしな。」
「え、魔王にさらわれたのって、優香なの?あの、二年生いっぱいで転校するっていう2組の?」
「ホントに何も知らないんだなぁ。じいさんの話、ちゃんと聞いてたのか?」
「嫌々聞いてたのは確かだけど、しっかり聞いてたよ。でも、本当に優香の話はしてなかったよ。晴男は2組だし、2組の特権なんじゃないのか?」
「あぁ、そうなのかも。姫が在籍してたクラスだから特別に、って事なのかもな。」
そこで俺は、暗い話を切り上げる為に違う話を出した。
「ところで、晴男が持ってるスキルで一番強いのはなんなんだ?」
いきなりの話題切り替えに戸惑った様子を見せた晴男だったが、しっかりと俺の話に乗ってくれた。こういう所が、有名人たる所以だろう。
「サニーサイドアップっていう、大火力魔法だ。ここら辺のモンスターなら、一撃で消し炭に出来るぜ。」
「目玉焼きの焼き方で、そんなのなかったっけ?」
「あぁ、あったなぁ。あんまりどんなのか覚えてないけど。」
「俺も、言っておいてどんなのか覚えてないけどな。」
二人で、ハハハ、と笑いあう。それからやっと、レベル上げに出ることにした。
「さ、いこうぜ。」
「あぁ。」
◼◼◼
「のわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は、変な匂いを撒き散らすスライムみたいなモンスターと戦っていた。コイツがもう、臭いのなんの。近付くと地獄を見る。
「おーい。逃げ回ってばっかりだと倒せないぞー。」
「そんな事いったってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
そんな事をしていると、スライムがブレスの予備動作を見せたので、毒づきながら斬りかかる。
「くそっ...!」
すると、いつものバチャッ!という音と違うザクッ!という音がして、たった一撃でスライムのLPをゼロにした。
「おぉ!一撃でスライムの核を破壊するなんてやるなぁ!」
「いや、もう、無我夢中で。偶然だよ。」
すると、シャラン、という音がして、目の前にウインドウが現れた。
《ソードレベルが2になりました。》
ということらしい。さっき自分のレベルが3になっていたので、このレベルアップは妥当なものだろう。
「せっかくソードポイントが入ったんだし、何か剣技を習得してみなよ。」
と晴男がいうので、ウインドウを開いて何を習得するか選ぶ事にした。
俺の剣は《ノーマルソード》というのだが、ノーマルなだけあって、モディファイは無数にあった。
俺はそこの中から、なんとなく気に入った《片手直剣流 初段スキル 霧雨》というスキルを習得した。
俺は、ここから自分の戦いが加速することを直感した。
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