雪虎救出大作戦・終局 《結》
今回はちょっと短めです。楽しんでいただけたら嬉しいです。
19
「お、お前、何やってんだ!」
俺は取り乱して叫んだ。
俺と海原以外の3人は何も分からない様子で首を傾げている。それはそうだ。このクリスタルの効果を知っているのはそのものを所持している俺だけ。
だが何故か海原はクリスタルを粉々にしたことを誇るような顔をしている。
どういうことなのか。俺の知らない何かを知っているのか。だが俺の持っているものと同じなら、破壊した場合ラスボスへの通行権が無くなる。
全容はわからないが、いくつかあるクリスタルを全て集めることでラスボスと対面出来る権利を得る筈だったのだ。
それが壊れた、壊された。
「海原、なんで壊した……?」
俺は少し慎重になりつつ聞いた。
すると海原は、何故そんな事を聞くのかという表情でこちらを見ると、俺とシリアスが嘘かのような笑顔で言った。
「このクリスタルは壊さないとダメだよ?」
「いや、それは……」
俺がわけを説明しようとすると、それを遮るように海原が言う。
「まず勇雅くんはこのクリスタルがどんなものか分かる?」
「ラスボスへの挑戦権となる鍵だろ?」
雪虎、鉄弥、凛音が目を剥く。
「おま、海原、それを壊したのか?」
凛音が驚いた表情のまま聞く。
「だからぁ、皆はこの石っころの意味をわかってないんだよ!」
大仰な手振りで腕を広げながら海原は言う。
「意味ってなんだよ?」
俺はたまらず聞いた。
「この石は、シロクマの分身を作る核。ラスボスの分身を倒すのに絶対必要な核」
「え?」
「だから、今私達が倒したのは、この氷上フロアのラスボスの分身なの」
「あれが、分身? だから質量が少なかったのか?」
「そう。あの核は氷の身体を生み出してシロクマを作り出す為のもの。このフロア全体に無数に配置されてるシロクマの一頭でしかないんだよ」
「あのシロクマ、まだいるのか?」
心底驚いた。あの強さが複数いるという事は道中でくわす可能性があるということだ。
危険過ぎる。あれと1人で遭遇したりしたら確実に死ぬ。ハートが1減るというのは大きな損失だ。
海原はまだ続ける。
「そりゃ、まだいるよ。倒し方は同じだけどね。ちなみに、あの時鉄弥くんの近くに寄ってきたのは自爆するため」
「うっそだろ、海原サンキューな」
鉄弥が驚愕の表情で言う。
「あの核は絶対にLPが1残るようになってて、自爆行動はフィニッシュを決めた人に対して発動するよ」
なるほど、それは学年の他の人と共用するべき情報だ。
自爆で死んだ人がこのエリアで続出となっては大変である。
「じゃああそこで核を壊したのはファインプレーだったってことだな」
俺は言う。
「そうだよ! 皆感謝してよね!」
「そうだな、ありがと」
礼を言うと、海原は頬を赤らめた。だから何に照れてるんだ……。
ひとまずこれで一件落着か。雪虎も救出できたし、ボスの情報も知る事ができた。
……? 何か違和感を感じた。
自分の中で理解できてはいないが直感的に感じる違和感。
ただその理由が分からないまま、俺はその感情に蓋をした。
笑顔で穴の中の話をする雪虎と、その話を楽しそうに聞く3人の後を、俺は駆け足で追いかけた。
区切りよく締める為に短くなりました。これでどうにか雪虎編はおしまいです。次の話はどうなるかなぁ、キャラがどう動くかはわたしにもわからぬ。
次回もお楽しみに。




