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夢の中だけRPG‼  作者: 佐賀葬送
第一章
21/51

自分の恋は。

最近戦闘ないですねー。

すいません。まだ、戦闘ないです。

                 21


 二組の前で晴男と別れ、俺と勇斗と凛音は教室に入る。いつも騒がしい三組は、変わらぬ喧騒を保っていた。


 誰がどんなことを話しているか微塵も聞き取れないようなよく言えば賑やか、悪く言えばうるさい、そんな環境を少し心地良いとも思いながら、一番後ろにある自分の席につく。


 その瞬間、教室の喧騒がピタリとやみ、全員の視線が俺の方に向いた。


(あれ、俺、何かしたっけ?)


 全員にこんな視線を向けられるとは、俺は何か大変なことをやらかしたのだろう。素直に制裁を待つことにした。


 俺がその覚悟を決めた直後だった。こちらを向いていた生徒全員が、こちらにワッとよってきたのだ。

 

(終わったーーーーーーーーーーっ!)


 全員が、目を輝かせてこちらに向かってくる。俺はぎゅっと目をつむり、今に襲ってくるであろう痛みに耐える為に、歯を食い縛った。


 だが、いつまでたっても痛みは襲ってこない。それどころか、肩を優しく叩いてくるものもいる。


(焦らしプレイか···?)


 そこで俺は、ハッと気付く。


(そうか、俺が顔を上げた瞬間、全員で殴りかかろうって算段か!)


 恐ろしくなり、余計に顔をあげられなくなる。どうしよう、先手必勝でいくべきかな、などと半ば思考停止気味なことを頭に浮かばせていると、上から声が降ってきた。


「おい、勇雅!早く顔あげろ!勇斗との戦闘の話、聞かせろよ!」


 それが、さっきまで聞いていた凛音の声だったので、顔をあげると、そこには、目をこれでもかというほど輝かせて、『早く聞かせろ」と催促するクラスメイト達の顔があった。


 俺が顔を上げたのを皮切りにしたように、俺のまわりにいた賑やか系男女たちが、連射砲のように質問を繰り出してきた。


「なあなあ、どうやって勇斗倒したんだよ!」 

 

「勇雅君ってどんなスキル持ってるの?」


「あいつ、しっかり叩きのめしたんだろうな!」


 あのー、皆さん、勇斗が三組ってこと、忘れてません?さすがに言葉には出さなかったが、心配になってさりげなく勇斗の方を窺う。


 するとそこには、口だけ笑って目は笑っていない仏の微笑(アルカイックスマイル)を浮かべる勇斗様がいらっしゃった。


 あ、あれー?さっきまで戦ったこと忘れる位いい雰囲気だったのになー?修羅場を体験している気がするなぁ。


 どうしよう、このあと、コンパスで刺されたりしないよね?


「おーい、勇雅、どうしたー?」


 明らかに勇斗の方に飛んでいた俺の思考は、凛音の心配するような呼び声で中断された。


「あ、ごめん。大丈夫だよ。ちょっとボーッとしてた。」


「ったくもー。しっかりしろよー。」


「あはは、ごめんごめん。」


 そう言って視線のを戻した先に、俺の今の、心を奪われていて仕方がない女性がいた。思わず見とれてしまい、頭の中にあらゆる思考がかけめぐる。


 普段視界の端に見るよりも、近くで見る方が格段に彼女は美しかった。


 あどけなく、控えめに閉じられている唇に、漆黒の華麗なショートカット。大きく瑞々しい瞳には、いつもしゃべらない彼女にはあり得ないほどの光が称えられている。控えめな胸板も、華奢な手足も、全て自分のものにしてしまいたいほど、彼女に俺の目は吸い寄せられていた。


 まわりに適当な相づちを返しながら、目だけはずっと彼女を見ている。今にでも全員の前で告白したいという衝動に駆られるが、彼女は恐らく俺のことを好きとも思っていないだろうし、まず眼中にないだろう。


 公然で告白して断られたのでは、俺の数少ない黒歴史の仲間入りだ。


 そんな風に、いつものように、俺は感情を押し込みながらまわりの質問に答え続ける。


                  ◼◼◼


 私──篠宮美咲は、勇雅君を見るためだけにあの集まりに近づいた。いつも視界の端に見ている勇雅君よりも、近くで見る彼の方が格段に格好よかった。


 整った顔立ちに、しっかり手入れされた髪の毛。たくましく筋肉のついた体は、私の心をドロドロに溶かしてしまいそうなオーラを放っている(気がする)。この事を私の親友に話したら、『ちょっとそれはキモい』と言われたけど、私はめげない。私は、この時間だけでも、勇雅君を愛で尽くすのだ。


 こんなことを言っているけど、実際わたしは消化不良だ。話しかけたいけど勇気がでないし、告白したいけど勇気がでない。


 こんなことでいいのかと、私の心は訴えている。けれども、しょうがないじゃないか。わたしだって、ホントは······。


                 ◼◼◼


 そんな風に気が虚ろなまま、全員の質問タイムは終わった。それと一緒に美咲も離れていく。また、話しかけられなかった。後悔が胸に残る。


(くそっ·········っ!)


 毎回この思いをしているのに、いつまでたっても話しかけられない自分に、心底腹がたった。


(なんだよ!恋って、なりふりかまわないものじゃないのか?!なのに、俺は···。)


 後悔だけを胸に残し、俺は授業の準備を始めた。

最後までお読みいただきありがとうございました。


作者の近況報告ー。

私、最近あるゲームをしてるんですが、そのゲームでですね、なんと、ゲーム内通貨、ガチャ30回分使って、最高レアが、ひとつも出ませんでした!

30回目を引いて出なかった時のこの落胆具合といったら!スマホを叩き折ろうかと思いましたよ!

以上です!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] はやく告れよ
2019/12/10 20:04 あおかびおーえんだん
[良い点] 勇雅と美咲。 あ〜、お互い気づけ!!っつーか誰か教えてやれ!! こんな恋愛はなかなかできないよ、現実では。 by コルチ [気になる点] 仏の微笑、人がやるととても怖いやつです。 仏様なら…
2019/12/10 19:03 退会済み
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