まだまだ決闘! [窺うのは俺だ!]
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ズガァァン!という凄まじい音と共に、勇斗の顔に俺の剣が突き刺さった。と思った瞬間、俺は異変に気付いた。勇斗の顔に剣が触れていない。どれだけ力を込めても、それ以上押し込めないのだ。
驚いて動きの止まっていた俺に、スキルではない、ただの斬撃が飛んでくる。急いでかわしたが、その斬撃は頬をかすったようで、LPが一ドット程減った。とっさにかわせたのでこの程度で済んだが、もろにくらっていたらこの程度ではすまなかっただろう。
何故スキルが当たらなかったのか、疑問が頭を埋め尽くす俺を前に、勇斗が口を開いた。
「勇雅君、残念だったね。スキルは当てるだけじゃあないのさ。」
勇斗はそう言うと、胸につけているプレートアーマーをコンコン、と叩いて続ける。
「今発動したのは、《シルバーアーマー流 派生型上段スキル 無壁》さ。相手の攻撃を三秒間だけ無効化できる、シルバーアーマーの最上位スキルで、発動後に、防御力アップボーナスもついてくるんだ。どうだい?凄いだろう?」
俺は目をみはった。こんな初期装備状態でそんな反則級のスキルがあっていいものなのか。これでは俺に勝機はない。何をしても勝てないではないか。
俺の頭の中を闇が満たしていく。どうする、どうすれば勝てる。あんなもの連発させたら、本当に勝ち目がなくなる。...ん?俺、今、なんて言った?連発...そうか!!
俺の頭にある考えが浮かぶ。それによって笑みがこぼれた。
それを見た勇斗が、いかにも不機嫌といった顔でこちらを見ながら話しかけてくる。
「どうしたんだい?笑ったりして。もう勝てないことは分かっただろう?君の実力ではそれが限界なんだ。さっさと諦めなよ。」
その言葉に、俺は自信を持って答える。
「いいや、俺が勝つ。お前の弱点は、もう見えた。」
「そうかい。なら、やってみなよ!!」
そう言うと、勇斗は高らかにスキルを叫んだ。
「《ロイヤーソード流 上段スキル 伍神龍》!」
勇斗の剣が血を思わせる濃い赤に光り、その剣のまわりにはエネルギーの奔流が渦巻いている。そのエネルギーが生み出す風が足元の草をざわめかせ、周りにある木々の枝草を揺らす。
ものすごく重いプレッシャーに耐えながら、俺は作戦を実行する準備をする。
その瞬間、勇斗が剣を上に突き上げた。すると、剣先から先刻と同じように光の粒子と共に、竜が現れる。
しかし、今回は前回と決定的に違う点がある。それは、まず、竜の大きさだ。さっきの三倍はあるだろう。しかも、全身に炎を纏っていて、完全に火属性攻撃だ。
そして、今の竜はさっきと同じようにこちらにすぐ突っ込んでくるということはない。勇斗が上に立てている剣先から出て、こちらの様子を窺うように、ゆらゆらと動いている。
恐らくあの竜は、さっきの自動突撃型と違い、勇斗が操作しているのだろう。
そう俺が考えを巡らせたその時、竜の目が赤く光り、口の中から光がもれ始めた。
(ブレス攻撃か!!)
俺は全力で右にとんだ。
ゆっきー様、申し訳ございません。
諸事情により、短くなってしまい、申し訳なく思って候。