レベルを上げよう! [仕切るのは俺だ!]
まだ現実です。これで多分終わります。
12
まだ俺と凜音は話を続けていた。
「どーやってお前はレベル上げしてたんだ?凜音。」
「そーだなー。俺は基本安全マージンとらずにレベル高い相手にも立ち向かっていってたからなぁ。レベルはがつがつ上がったなぁ。」
「いや、今の状態で安全マージンとらずに挑むのはリスクが高すぎる。これ以上人数は減らせない。」
「そーだよなー。なら、集団で一体のモンスターを倒すってのは?」
「いや、駄目だな。そうすると、一人に入る経験値が少なくなっちまう。」
「えー、じゃあ、どうしよう。」
「あ、そうだ!思いついた!凜音!皆を集めてくれ!」
「え、どーやって?」
「ま、がんばれー!」
戸惑う凜音をよそにして、俺は他の人達を集めるために、走り出した。
◼◼◼
俺と凜音の必死の呼び掛けによって、生徒を集めることが出来た。図書室にいた生徒も、廊下で鬼ごっこをしていた生徒も、強引に連れ出した。
昼休みに呼び出しを行ったので、かなり時間がかかった。この学校は昼休みが40分もあるので、余裕はあったのだが。
体育館に二年生全員が集まった。なかにはこの集まりに反対する者もいたが、訳を説明すると、静かにしてくれた。
凜音に話を仕切るよう言ったのだが、「考えたのはお前なんだからお前が仕切れ」と言われて、俺が仕切ることになった。
「えー、皆!聞いてください!今皆は睡眠中不思議な世界に行ってると思います!その世界で優香さんがさらわれていることは知っていますか?」
その言葉で少しだけざわついたが、すぐに回りの真面目達が注意して、静かにしてくれた。
「皆、優香さんを助けたいですよね。そのための話です。凜音さんお願いします。」
凜音が立ち上がり、前に出てくる。そして少しだけ間をおくと、喋り出す。
「俺は、あの草原フィールドで、ボス部屋を見つけました。」
その言葉が出た瞬間、全員が騒ぎだした。騒ぎ声はどんどん加速していき、統制が取れなくなっていく。その声の中からは、凜音への罵倒も混じっている様だった。なんなのアイツ、アホのクセに、情報独占してんじゃねーよ、次第に体育館の中は凜音への悪口、侮辱、罵倒で溢れていった。
凜音の顔もどんどん怒りに染まっていく。まずい、どうする。そう俺が思っているとき、集団の中から声が響いた。
「うるせぇ!少し黙ってろ!てめぇらみたいな弱者がいきってんじゃねーぞ!」
その声の主は、二組の田中雪虎だった。あっちの世界では凜音とタッグを組んでいる。レベルも凜音と同じと聞いているので、なかなかの実力者だろう。
雪虎は続ける。
「ボス部屋を見つけたってことは次のフィールドに行く手掛かりが見つかったって事だ。優香を助けるのに一歩近付いたってことなんだよ。」
その言葉で体育館が静まる。よかった。これで話ができる。
それを凜音も感じたのか、話を再開させた。
「それで、そのボス部屋の前にあった看板にはレベル5推奨って書いてあった。だから、短期間で全員のレベルを少なくとも7レベに上げるプランを持ってきたんだ。」
そこで俺はプランを話す。
「そこでだ。まず、体育館の左側から順番に、レベル高い人から並んでくれ。」
俺が指示すると、全員がスムーズに動き、人の塊がいくつか出来上がった。
見た限り、1から3レベが50人、4レベが10人、残りが10人といったところだろう。思ったより悲惨だった。50人も1から3レベがいるとは。かなり大変になると思うが、自分のプランを話すことにした。
「まず、1から3レベの人は5グループに分かれてくれ。そしたら、その一つのグループに適当に、4レベ以上の人が入ってくれ。」
そう言うと、わさわさと人が動き、グループが形成された。俺と凜音と雪虎でグループをうまく調整し、五つのグループを作った。
一グループ十四人の集まりが、それぞれに高レベルプレーヤーの説明を受けて、俺のプランを脳に染み込ませていく。
その時から、俺たちの地獄のレベル上げが始まった。
次回から向こうの世界に入ります。
次はあっちの世界が長くなりそうですね。
加速感のある戦闘を心がけます。