底上げ希望! [4レベなのは俺だ!]
なんかこの文字数で固定されてきました。長くなることはあれど、短くはしないよう、努力します。
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国語の古文の単元で、「宮中の女性が恋文を...。」と説明している。その授業は退屈極まりないものだったが、その一言で俺の意識は少しだけそっちに向いた。
(書こうかなぁ。恋文。)
何故こんなことを考えているかというと、俺には好きな人がいるのだ。しかも中学一年生の頃から。
その女子にまだ告白できていないので、「そろそろ告白したい!」と思っているのである。ただ、ここにはかなり迷うところがあって、直接言うべきか、メールアプリで言うべきか、それこそ恋文で伝えるべきか、決めかねているのだ。
心の中では
「直接言った方が良いよ!」
という純粋勇雅君と、
「間接的に言った方が緊張も少なくてすむし、フラれても誰にもバレないぜ。」
という面倒くさがり勇雅君が戦っている。
そんな事を考えていると、自然に視線がその人の方へ向いてしまう。思わず見とれていると、その女子はこっちを向いてきた。
その瞬間、視線が交錯して、俺もあっちも二人とも目をそらす。
(やっべー。これ、キモいと思われたんじゃね?ただでさえスペック低い俺がキモいとか思われたら、低確率ブーストがかかっちゃうじゃん。はー。ミスったなぁ。)
俺の告白への道は、まだまだ先のようだった。
◼◼◼
国語の島村先生が、「宮中の女性が恋文を...。」と説明している。私、篠宮美咲は基本授業には集中するタイプだが、余計にそちらに意識が向いた。
(書こうかなぁ。恋文。)
何故こんなことを考えているかと言うと、私には好きな人がいるのだ。しかも小学五年生から。
我ながら気持ち悪い程の執着ぶりだと思われるかもしれないが、私はまだ一回も告白していない。
え、何故って?それは勿論、恥ずかしいからだ。
その人は、何故か自己評価が低いけど、イケメンだし、優しいし、運動神経も実は良いのだ。回りからは、「運動神経は普通の方」とか言われているけど、違う。だってこの前、夜に凄く汗かきながら運動している所を見ちゃったんだもん!
もうホントあの時はかっこよすぎて見とれてしまって......コホンコホン!話を戻そう。
そんな風に、私は彼の事を考えていると頬が熱くなって、目がそっちに行ってしまう。それに、彼が他の女子と仲良くしていたら胸が痛くなる。
名前を教えずに友達にこれってなんだろう、と聞いたら、「それは恋だね!」と言われてしまった。その日から余計に彼を意識せずにはいられなくなってしまった。
そんな事を考えながら、ふと、彼の方を向くと、ぱっちりと目が合ってしまった。
(ヤバっ!)
と思って咄嗟に目をそらす。
(あー、緊張したー。)
私の胸ははち切れんばかりに鼓動を高めていた。頬が火照り、体中が熱くなる。今日こんな事が起こってしまっては、もう一日中彼の事が頭から離れないだろう。このように、私の頭の中は、ずっと、ずーっと、彼のことでいっぱいなのだった。
◼◼◼
昼休み、俺は凜音と話していた。
「なぁ凜音、お前、7レベって事は、かなりフィールドの奥まで行ったんだろ?ボス部屋的な物見つけなかったのか?」
「はっはー。舐めんなよ勇雅。勿論見つけたさ。《この先ボス部屋。注意してください。》っていう看板があったからな。」
「本当か!?じゃあ、今すぐにでも、出撃を...。」
「いや、ダメだ勇雅。そこの看板に適正レベルが書いてあったんだけど、レベル5が適正らしい。多分この学年はほとんど3レベそこらだろ?それにすら届いてない奴もいるんじゃないか?」
「そうだな。俺ですら4レベなのに...。」
「そういう事だ。恐らくこの学年に5レベ以上は五人いていいくらいだろ。」
「なら全体的な底上げが必要だな。俺含め。」
「そうだな。ま、俺は7レベだけどな。」
「うーわ。いらつくー。このアホゲーマーめ。」
「あんだとー?この弱小4レベ野郎が。」
俺たちはにやにやしながら会話を続ける。こんなにじゃれあっていられるのも今のうちなのかと思うと胸が苦しくなったが、それも馬鹿みたいな会話をしているうちに、頭の中から霧散していった。
最後までお読みいただきありがとうございます。まだ現実世界が続きます。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。