何でそんなに知ってるの? [不思議に思うのは俺だ!]
前回より長いですが、全体的には短いです。
読んでくれたら嬉しいです。
10
凜音がアホなのはこういう所なのではないか。恐らく勉強など全くと言っていいほどしていないのだろう。心配なので、一応聞いてみることにした。
「なぁ、凜音。お前、どれくらいの時間からあの世界に言ってるんだ?」
帰ってきた答えは、期待を裏切らない男凜音をより一層高めるものだった。
「ハッ!そんなの勿論帰ったらすぐに決まってんだろ?」
はい。アホの理由が見えました。コイツ、○○高校行きたいとか宣ってるクセに勉強は一切していないらしい。こいつがどう思っているのか興味がでたので聞いてみることにした。
「なぁ、お前、その調子であの高校行けるのか?多分ヤバいんじゃないのか?」
そう言うと、凜音はあり得ん答えを言ってきた。
「何言ってんだ?高校って内申良ければ行けんだろ?」
想定外である。ここまでアホだとは。
「いけないよ?お前、大丈夫か?」
俺のため息と同時に勇斗が閉口するのが伝わってくる。まず、「内申良ければ」とか凜音は言っているが、アイツは内申がとてつもなくよくない。授業中の私語は当たり前だし、提出物は期限内に出さないし。それでよく自分は内申良いですよ発言ができたものだ。
「ウソだろ?!じゃあ、俺高校行けないじゃん!!」
「今更!?」
「凜音、さすがにどうかと思うよ...。」
コイツはある意味強者である。自分の成績と内申で高校に行けると思っていたのだから。
そんなことをしているうちに、学校に着いた。教室につくまで、さっきの話の続きをしながら歩いた。
教室の前に着くと、「また後で。」とそれぞれの席に着いた。
俺たち三人が教室に入ると、甲高い叫び声が聞こえてきた。ある女子生徒のものだった。
「何で翔君を見殺しにしたのよ!あなたなら助けられたでしょ!」
詰め寄られた男子生徒は焦った顔でおずおずと言い返す。
「いや、二人で狩りをしてたらいきなり猿に殴られて、ハートを蘇生しあってたら、翔のハートがゼロになっちまったんだ。」
「何で蘇生したのよ!!そのままセーブポイントに戻ればよかったじゃない!」
「いや、今まで猿に倒された事がなかったから、いけるかと思って...。」
その言葉を聞いて、俺は言葉を挟んだ。
「おい、って事は、お前もハート一つなのか?翔はどうなったんだ?」
「ああ、翔は消えた。翔の母さんに連絡したけど、どこにいるかもわからないらしい。」
「そうか。今死んだのって翔だけか?お前、他に仲間いなかったのか?」
「ああ、翔だけだ。俺たちは二人きりだったからな。」
すると、さっきまで騒いでいた女子(海原里花)が横やりをいれてきた。
「何言ってんの!もうこの学年で五人もいなくなってるのよ!」
「へーそうなん...。ん?おい、里花、何でお前いなくなった人数を知っているんだ?今日たまたま休んだだけかもだろ?」
「はぁ、あなた、何も知らないのね。3組のクセに。」
「いや、確かに俺は3組だけど、それと人数知るのと何の関係があるんだ?」
「あなた、今まで1組や2組の人と話して何かなかった?不思議だなぁって思う事とか。」
「あぁ!2組の人間は姫の名前が優香だって知ってたな!」
「そう、それ。あの世界では各クラスに特権があるの。これは1組と2組にも聞いたから確かよ。で、私達のクラスは死亡者がわかるのよ。そのリストに、1組二人、3組に翔君で一人、2組に二人で合計五人死んだって書いてあるわ。」
「そうだったのか...。そうだ、その死亡者の行方はわからないのか?」
「はぁ。わからないから、私があそこまで騒いでたんでしょ?その件については、ごめんなさい。」
「お、おぅ。な、なら、死因はわかるのか?」
「自分で見ろって言いたい所だけど、教えてあげるわ。死因、見れるわよ。翔君は、打撃ダメージ。」
「なら、1組の特権はなんなんだ?」
「武器鑑定スキルよ。私達もスキルを入れれば使えるけど、スキルスロットがかさばるから入れたくないのよね。それを、スロットに入れずに使えるのが、一組よ。」
「へぇ。それって具体的にどんな性能なんだ?」
「武器の名前と攻撃力がわかるわ。」
「え、それだけ?」
「そりゃそうでしょ!パワーバランスが壊れないように、調整されてるんだと思うわ。」
俺が思っていたより、里花はこの世界をよく知っていた。まるで仕組まれたかのように。
そんな俺の違和感をよそに、教室では授業の準備が始まっていた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
少し長くなっていますが、まだ現実世界が続きます。
次回もよろしくお願いします。