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人間を絆せなかった聖女が他のなにかを絆す話

作者: 一集




あれは一花(イチカ)が社会人一年目のことだった。


親しくしている友人にダイビングライセンスの取得合宿に誘われ、快諾したのだが、新人の一花はちょうどその頃が繁盛期だなんて知らなかったのだ。

要領の悪い新人時代故の悲劇。

とうにお金だって振り込んでいたし、友達も楽しみにしていたから必死に仕事を片付けた。


つまるところ、確かに少々寝不足だったと言える。

参加はしたものの、頭痛が酷くて途中で断念。

いわゆる副鼻腔(サイナス)の炎症で耳抜きが出来ない故の痛みだった、らしい。

仕方なく陸でぼんやりとインストラクターに導かれて潜る生徒たちを見ていた。


そのインストラクターに言われたものだ。


「仕事が忙しくて? それはただの準備不足って言うんだよ」


曰く、体調を整えてくる。

それが当たり前だとか。

無理して参加して、結果ダメでした、それってなんの意味があるの、と。

むしろただの迷惑だよね。

だって、君頭痛もかなり我慢してたでしょ?

例え話をしようか。

ツアーで富士山に登ります。

体調不良の人が一人います。

その人はギリギリまで我慢して山を登ります。

お金をかけている、他人に迷惑だから、そんな理由で口を噤んで。

そして、限界の時に言います。

さあ、では下山しなければいけません。

付き添いがいります。

では他の参加者は?

ほら、そもそも来るなって話になるでしょう?


「すみません」以外に何がいえるのかと。

ぐっと何かを飲み込んで、言うべき言葉を言ったものだ。


「君の努力は努力ではないし、君の我慢は褒められるものでもない」


そうですね、なんて返しながら、ははと乾いた笑いを浮かべた。

ざくざくと心を切り刻まれたので鮮明に覚えているのだが、当然できたら思い出したくもない出来事だ。


あれから数年。

仕事にも慣れてきたし、後輩もできたし、それなりに社会人としてマトモに勤めてきたつもりだ。

――だった。


多分今頃会社はクビになっている事だろう。


遅刻すら許されない社会人に無断欠勤は致命的だ。

それなのに、もう何日目だろう。

深いため息を吐きそうになって一花はぐっと飲み込んだ。


帰れるかな。

そんなことを思いながらも、内心は少し諦めてもいる。


一花があまり思い出したくもない記憶を反芻していたのには訳があった。


「大丈夫か、チカ」


無駄に顔のいい青年が笑顔で語りかけてきた。

本当にキラキラしい。

金髪碧眼の、乙女ゲームから飛び出してきたような完璧な顔の男。

見れば見る程神の渾身作だとしか思えない。

背も高ければ、手足も長い。

偏りのない筋肉もきっちり実装済み。


職業は王子だった。

冗談ではない。


「大丈夫です」


反射的に答える。

また、あのインストラクターの声がよみがえった。


そうだろうとも。

きっと私の努力は間違った方向で、私の我慢は意味なんてないんだろう。


「本当に? 少し歩く速度が落ちているようだけど……」


つまり遅いと言いたかったらしい。


「そうでしたか? ごめんなさい」


ついでに、察しが悪くて申し訳ございません。


意味がないとわかっていて、一花は結局へらりと笑う。

それしか対処の方法がわからない。


ちなみに一番初めに名乗った時に聞き取れなかったらしく、一花の名前はずっと「チカ」のまま。

間違っているわけでもないので、わざわざ訂正する気はおきなかった。


「ふん、ならさっさと歩け」


一花の答えにずばりと切り込んできたのは黒髪青目の青年。

切れ長の冷たい視線にツンデレ属性かな、なんて笑っていられたのは最初の頃だけだ。

デレないツンデレはただのツン。

ただの事実である。


黒髪は当然魔法職。

宮廷魔導士だとかなんとか。

あまり覚えてはいないけど、まあ特に問題はないだろう。


「きさまのせいでどれほど日程が遅れてると思ってる。少しは責任を感じたらどうだ?」

「申し訳なくは思っているのですが……」


如何せん、こちとら脆弱な日本人。

体力がついていくかというとまた別問題。


「感じてるなら、そんなダレた態度で歩いている意味がわからない。言葉ではなく結果で示してくれ」


当然、理解はされない。

言葉を尽くしたら少しはわかってくれるのだろうか。

いや、少し休憩をしたい、と言ってみたときの彼らの呆れた目、険しくなった眦、冷たい笑み、そんなものを思い出しただけで言葉なんてなくなる。


出来れば綿菓子のように甘く扱ってほしい。

とは思っても、一花が要求する甘さはこの世界ではお姫様クラスの我儘だ。


この黒髪魔法使いですら、少々細身だけれど王子より見劣りするだけで、日本にいたら細マッチョの類だ。


そもそも危険度が違うので、基礎能力がないと生きていけない世界。

これで「女性にも劣る体力」なんて仲間たちに揶揄されていたから、彼で最低限ということなのだろう。

一花など論外ということだ。


筋肉と言えば、筋肉特化もいる。

職業は騎士で、ハニーブラウンの短髪。

ニヒルな笑みと女慣れした雰囲気をこれでもかと醸し出してくる。


一花は濃い面々に少々食傷気味だ。


もちろん銀髪美形も完備している。

聖職者で魔法使いだそうだ。


一花の実質的な教育係と言ったところか。


長い髪を後ろで一つにまとめ、麗しい顔は中性的で柔和だ。

日本人として、その曖昧な笑みに親しみを覚えた。

――のはやはり最初だけだ。


少しの手探り感のあと、丁重な態度と笑みでばっさりと切られた。

期待外れだったのか、異文化コミュニケーションを諦められてしまった原因は、……たぶん自分にあるのだろう。

あるのだろうけど、それで納得できるかと言われればそれも違う。

慇懃無礼、と言ってやったらこのお綺麗な顔も歪むのだろうかと何度思ったことか。


野営の準備の手伝いを一つも出来なかった時も、火を熾すことが出来なかった時も、勝手が違い過ぎて料理の一つも出来なかった時も、ほつれた服を補修できなかった時も、朝明けと同時に目覚めることが出来なかった時も。

一花は少しずつ切り捨てられていった。

もう誰も一花に何かを頼まない。


結局彼らにとって一花は仲間ではないのだ。

少々の距離を置かせて欲しいのはこっちの方だと、少しの強がりと真実を混ぜて心の中でごちる。

笑顔は眩しいし、顔だけならぐらりときそうなイケメンばかりだけど、如何せん日本人には欧米系の人の体臭はなかなか堪える、なんて、絶対に声には出来ないけれども。


一花は聖女だ。

だが、聖女という肩書に一体どれくらいの価値があるのだろう。

仲間としてはマイナスである一花が、少なくとも切り捨てられないお荷物であるくらいの価値はあるらしい。


ははん、笑っちゃう。

一花は心の中だけで泣きべそをかきながら笑い飛ばす。


泣いたって仕方がない。

これが現実だ。


これが、現実なのだ。


別にこの王子の国が召喚の儀とかを行ったわけではないらしい。

確かに世界は徐々に衰退の途を辿っているけど、そもそも異世界から人を呼ぶ方法などない。

単に世界をどうにかしてくれと神に祈っていたところ、ぽろりと現れたのが一花。


状況的に犯人は神さまとやらだろうから、誰かに文句も言えない。

祈っただけで罵られたら誰だって困る。


大広間に現れた一花と、広間にいたお偉いさん。

ぽかんと見つめ合って、共に、瞬時に悟った。

状況を。


一花には相手の身分の高さだって見て取れていたし、自分が孤立無援だということも察していた。

知らない顔立ち、知らない建物、豪奢な人々。

そこに一人。


それでどんな口を聞けというのだ。

どこぞの乙女ゲームの主人公よろしく、そこらに散見していたイケメンを捕まえて「わたしイチカっていうの! あなたの名前は?」なんて、能天気なことを言えるはずもない。

そこまで馬鹿でもなければ、コミュニケーション能力が高いわけでもない。


ついでに言えば、「私を呼び出したのはそなたらか」なんて咄嗟の台詞で威厳をもって大物アピールもできなければ、「ここは一体? いえ、でも私が呼び出されたということは……」なんて頭の回転の速さや能力の片鱗を見せつけるなんてこともできず、終始黙って頭の中であわあわぐるぐるしていただけだ。


多分、こいつあヤベエ、城に置いておいても失敗する未来しか見えない。

とか思われたのではないか。

早々にさっき紹介した人たちと旅に出されて今に至る。


天真爛漫とか、天然とか、才女とか、そんな形容詞が少しでも一花にあれば、今頃お城で聖女教育やらお披露目やら、民衆アピールやらのお仕事があったかもしれない。

が、無い袖は振れないので仕方がないと割り切ってもいた。


どうせ城も息詰まるだけだし、この同行者たちと同じくみな段々と冷たくなっていくだけだ。

少人数な分、こちらの方がまだマシだろう。


「今日はこの村に泊まろう」


今日も今日とて彼らの予定通りには旅程は進まない。

地理すらわからない一花に予定が知らされることはないが、彼らの顔を見ればそれくらいは察することができる。


日の沈む時刻と相談して、指揮を執る王子がため息を吐く。


いいな、私も吐きたい。

自由にため息が吐きたい。


些細すぎる夢だった。

あからさまなため息なんて吐いたら、何もしてないくせにと反発を招くだけだとわかっているからやらないけれど。


旅館はこの世界基準ではそれなりに良いところなのだろう。

不満など言ったらバチが当たる。

年に一度の贅沢で高級旅館に一泊するのが趣味だった一花だが、養ってもらっているような身で文句なんていう権利はどこにもないのだ。


食事は味気ない。

会話が弾むわけもなく、一花はいつも早々に部屋に引き上げる。


背中で彼らの声を聞く。


「さて、やっと話ができるな」


食器をよける音と、地図を広げる音。


「どうする、これほど日程が遅れるとは予想外だ」

「馬を使うか?」

「いえ、彼女は馬に乗れないと言っていましたから。そうなると誰かが同乗することになりますよ」

「冗談やめてくれよ。馬がかわいそうだ」

「『その道程に(さいわ)いがもたらされる』だっけ? ならやっぱり歩いた方がいいんじゃないのか?」

「そもそももう少し速く歩けないのか、聖女様は。何もせずに笑ってればいいなんて、本当にいいご身分だよ」


ああ、聞きたくもないのに。


なるべく早足で部屋に閉じこもる。

今日は村に辿り着けて幸いだった。


野営の時なんて目も当てられない。

何一つできない一花に対する物言わぬ批判の空気。

しかも親しくもないイケメンとずっと一緒だし、整備されたキャンプ場でもない。

これで気が休まるような人間になれたらどんなに楽な事か。


恵まれているのだろうとは思うのだ。

危険溢れる世界では命は簡単に失われるし、貧富の差は激しい。

家を持たないものも、奪うことで生きている人も、目にしなかったとは言わない。

だから文句は言うまい。


それにしても、乙女ゲームの主人公たちってすごかったんだなあ。


思いながら、小さなベッドに倒れ込んで念願のため息を吐く。

体の澱が少し外に飛んでいったような気がした。


と、コンコンと扉がノックされる。

びくりと体を揺らしたけれど、聞こえてきたのは少し高い男の子の声。

旅館の子だろう。

ほっと肩の力を抜いた。


「お湯を扉の前に置いておきますねー!」


子どもは元気なのが一番だ。

少しだけ口の端が上がる。

しかもありがたいことにお湯を持ってきてくれたらしい。

さすが村一番の旅館。


顔を出すと扉の前に置かれていた桶と桶に掛けられた拭く用の布が一枚。

零さないように慎重に桶を抱えて部屋に入れ、一脚だけ用意されていた椅子に座って足を浸す。


「ふわあああ~!」


最高だ!

思わず感嘆の声が漏れる。

固まっていた足がふやけるように水に溶けていくような気がした。


体を拭いてから使うべきだったと思いはするものの、これはもう不可抗力というのだ。

さっきの少年が桶の回収に来るだろうから、水でいいからもう一杯もらえないか聞いてみよう。


お金がかかるようなら、王子たちにお伺いを立てなければならない。

一杯目はなにに使ったのか聞かれるのだろう。


「足を洗いましたって言ったらまた困った顔をするのかな」


あの苛立ちを隠した笑顔で。


一花は深く息を吸って、吐いた。


慣れた方がはやいというのに。

この順応力の低さは初めて知った自分の一面。

知りたくはなかった。

知らないまま生きていきたかった。


「いまは、いいか」


難しいことは後で考えよう。

出来る限り鈍感になろう。


大丈夫。

私は、大丈夫。


ぐでっと椅子に思い切り寄りかかって、気の抜けたタコみたいに重力に身を任せる。

なんにせよ今は極楽だ。




§     §     §




「お姉さん、桶の回収にきたよ! おーい、お姉さん?」


扉の向こうから聞こえるその声で目が覚めた。

完全に撃沈していたらしい。


「う、うわ。待って、いま」


寝起きで慌てたのがいけなかった。

とうに温くなっていたけど、足を桶に浸していたのを忘れていた。


結果としては当然のこと。

ばしゃりと足を桶の端に引っかけて水を床に掬い出してしまった。

それに焦った一花は、ついでに椅子を倒した。

その椅子に引っかかって自分も転ぶ。


見事なコンボで盛大な物音が部屋に響いた。


「お姉さん!? 大丈夫?」


少年の声は聞こえるのだが、強かに腰を打ったので声が出ない。


「お姉さん、無事!? 返事して!」


少しだけ待って欲しい。

一分くらいしたら何とか痛みもやり過ごせるだろう。


「お姉さん? 入るよ!? 部屋に入るからね!」


ちょ、ちょっと待って。

声にはならないうちに、鍵同士がぶつかり合う金属音がしてバーン! と扉が開いた。

そりゃ、スペアキーくらいあるよね。


というのは現実逃避。


「……あらら」


少年の呆れた声に身を竦ませる。

どうしてこうも他人に迷惑しかかけられないのか。


「ご、ごめんなさい」


床に倒れたまま、頭を下げる。

きっと彼の仕事を増やしてしまったに違いないのだから。


「お姉さん、大丈夫?」


少年の声が予想に反してあまりにも静かで、一花はマントルまでのめり込む勢いで凹んでいた顔を上げた。


「すごく痛そうな音だったけど」

「わ、私は大丈夫。でも、床に水を零しちゃって」

「なんだ、そんなこと。別に拭けばいいだけだよ。それよりお姉さん、足、怪我してる。大丈夫じゃないじゃない」

「あ、これは今やったわけじゃ」

「怪我は怪我」


にっこりと笑いながら「嘘つき」と囁く声に、なんだか仕事でいつもフォローしてくれる先輩を思い出した。

年下の少年なのにおかしいの。


一花は少しだけ嬉しくなった。

だって、純粋に心配されたのは久々だ。


「取りあえず、部屋を片付けるよ」

「あ、手伝…」

「けが人はそこでじっとしてて」


一花は居心地悪そうに目線をうろうろとさ迷わせながら、結局何もしないまま少年が手際よく片してくれるのを見守る羽目になった。

どう見ても、邪魔にしかならないような気がしたのだ。

本当に役立たずにも程がある。


「あの、ありがとう」

「いいよ、別にこれくらいお礼を言われる程の事じゃない。それより酷いね、ソレ。ちょっと待っててよ」


投げ出していた一花の足を指して、少年がばたばたと部屋を出ていく。

すぐに帰ってきた少年の手には桶と、そこに張ったお湯。


「お姉さんには特別にサービス。お湯をもう一杯」


ばちりとウィンクが飛んできた。

一花はなんとなく少年に乗せられて「お~!」なんて声を上げながら拍手をする。


先ほどのように椅子に座らされて、桶に足を入れるように促された。


「それで、ここに俺特製の薬草をぽいと入れます」


ヨモギみたいな匂いの正体は薬草らしい。

初めて見た。

聖職者殿はすぐに回復魔法を使って皆を治してしまうから。


やってごらんと言われたって、魔法なんて使ったことはない。

多少なりとも呪文やとっかかりなりを教えて欲しかった。

唯一の交渉カードである、聖女という最強になり得るカードは今も沈黙を保ったまま。


どうしてできないのか、なんて責めるなら、まずは疲れた自分にその魔法とやらを使ってはくれないか。

とは、もちろん言えなかった言葉だ。

ちらと自分を見ながら、「働きには正当な報酬で応えねば」なんて呟かれれば飲み込みもする。


「働かない者に施しは出来ない」ということか、もしくは「彼らを労わるために節約するからあなたに分けるものはない」ということなのか。


とにかく、一花は彼らの要求を満たし、報酬をもらうことはこれまで一度もなかったのだ。


「これで疲れが取れるよ」


少年の言葉は薬草湯みたいに一花に沁みた。

マメだらけで、皮が剥けてしまった、ひどい足だ。

血だらけどころの話ではなかった。

地面に接地するだけで激痛を生む。

自分でも歩けているのが不思議なくらいだ。


「あと、これ。足にこうして巻き付けて、取れないように、こう」


ふくらはぎにひんやりと、緑色の粘性のあるものが塗られる。

薬草をすりつぶしたものだろう。

その上から薬草の葉を手際よく巻いていく。


ずっと熱を持っていた筋肉が少し大人しくなった。


「そのうち乾いて固まるから、朝になったら普通に剥がせば大丈夫。拭かなくてもいいし、楽でしょう? 我が家に伝わる秘伝の薬だよ。町の人にもなかなか好評なんだ」


これで商売してもいいんだけど、と少年は将来を匂わせる。

どうやら旅館には雇われているだけで、その身内、というわけはないらしい。


随分としっかりしている。

自分がこれくらいの年には一体なにをやっていだろう。


「これで明日には少しマシになってるはず。痛かったでしょう。どうしてここまで放置したのさ」

「みんなスゴいから。――私が弱すぎるだけ。私が、ついていけないだけ」


彼らの基準から、自分が零れ落ちているだけ。

もしかしたら少年には答えに聞こえなかったかもしれない。

でも少年は察してくれた。


「誰にも言ってないの? こんなに痛そうなのに? こんなに辛そうなのに? こんなに、疲れてるのに?」

「ただでさえ迷惑かけてるから」


言えない。

言わないわ、とへらりと笑う。


「なにそれ、お姉さんの旅ってこんなに無理しなきゃならないほど重要な事なの? 国を追われたお姫様とか? 復讐のためとか? それとも愛する人を救うための旅?」


少年が眉を顰めながら、一花が口を噤む理由を探す。

小説の読み過ぎではないか。

一花は何一つ掠らない推理がおかしくて笑みを零した。


「言っておくけど、そのどれでもないわよ?」


愛する人の一人もいない世界を救うための旅だと言ったらどんな顔をするだろう。


「なら、なにか引け目があるとか」

「う~ん、引け目、引け目かぁ。一番近いかも」


知らない世界だ。

一人では生きていけない。

生かされている。

その為のお金も、もしかしたら目の前の少年たちが納める税だったりするのかもしれない。


「……ねえ、お姉さん。自分がどんな顔してるかわかってる?」


中空をさ迷わせていた目線を少年に戻すと、少年は情けない顔をしていた。

少し、悪戯心が湧く。


「あなたみたいな顔でしょ? わかってるわ」


その額をつんと突くと少年はますます眉を下げた。


「隈ができてるし」

「知ってる、疲れてるもの」

「顔色悪いし」

「知ってる、体が鉛みたいだもの」


それは絶対に彼らには言わない弱音だと、きっと少年は知らないだろう。


「足の裏、傷だらけだし」

「早く治らないかしら」


あっけらかんと笑う。


「体に力、入ってないし」

「それはきみの治療で溶けたせい」


この一時は夢見心地だった。


「あと体中、熱いし」

「……それは知らない、かな?」


少年は怒ったようでいて、神妙な顔をしていた。


「そっか、それでか~」


視線を外して、一花はあははと笑いながら呟く。

きっと体が疲れを訴え出した時から、ずっと微熱が続いていたのだ。


「もっと自分を大切にしようよ」


母に、そう言われて育ったのだと、少年が床を見ながら言った。

きっともう、彼女はいないのだろう。

良い母親だったに違いない。


「ありがとう、少年」


心からそう告げる。

顔を近づけても、少年は逃げなかった。

その頭を抱え込む。

彼からは仕事後の、汗の匂いがした。

でも不快だとは思わない。


額をこつりとぶつける。

確かに、少し少年の額の方が冷たいような気がした。

誰かに自ら触れるのはどれくらいぶりだろう。


触れたいと、思ったのはどれくらいぶりだろう。


はたりと押し出された涙が落ちた。

一度落ちると、堰を切ったように流れ落ちる。


「ありがとう」


心配してくれて。

労わってくれて。

ただの客で、明日には居なくなる、通りすがりのような自分を。

何者でもない一花を見てくれてありがとう。


少年は黙って、塩辛い雨に濡れてくれた。


「ねえ、明日も泊まりなよ」


休息が必要だと、少年が胸の中で呟いた。


「それを決めるのは私じゃないから」


明日もまた、彼らと歩き出す。

潰れたマメが痛んで、足を引きずるように歩くだろう。

顔色が悪くても、熱を出しても、血の臭いにも気付いてはくれない人たちと、鈍感になることで自分を労わらない私と。

何気にお似合いかもしれない。


大丈夫だとへらりと笑い、足が遅いと文句を言われて。

傷付きながら、我慢を重ねる。


なんの意味があるのかと言われたら、なにもないと答えだろう。


「じゃあ、……じゃあさ! 俺に他になにかして欲しい事ない?」

「なあに? 御用聞きなんて素敵なサービスね。さすが一流旅館。でも残念ながらお金は私が持ってるわけじゃないの」


お道化たように言う。

一文無しを告白とは、情けない話だった。

ここでは一花は自分で稼ぐ子供より自立出来ていない。


「そうじゃなくて。俺が個人的に出来ること! お金じゃなくて、俺がしたいと思ったから聞いたの!」


何でもいいから、言ってみて。


「言うだけならタダなんだから!」


少年の意気込みにどこの商売人かと笑う。


「……誰にも言わない?」

「え、うん」

「明日には、忘れてくれる?」

「――うん」


なら。

それなら。


「……褒めて」

「え?」

「私を、褒めて」


何も聞かずに、ただ褒めて。

重ねて言葉にすると、欲望がとめどなく押し寄せてきた。


「頑張ってるねって。よく我慢してるねって。えらいって、褒めて」


知ってるのだ。

私の頑張りは頑張りなんかじゃない事。

私の我慢は自己満足で、努力は間違った方向で、えらくとも何ともない事くらい。


でも、褒めて。

それでも、褒めて。


私を、労わって。

甘やかして。

無条件で許して。

私が何者でも関係なく味方でいて。

無償で愛して。


虐げられているわけではない。

悪意に晒されているわけではない。

苛立ち気配と呆れの感情が暴力に繋がるわけでもない。


なのに苦痛だと感じる自分と、積もる心の疲弊。


この忍耐に意味がなくても、このストレスが単なる我儘でも、自分の存在が無価値だとしても。

誰かにとってそうではなくても、確かにそれは一花にとっての我慢で、努力だった。


それは苦痛じゃないと彼らが言う。

当たり前に出来るべきことを出来ないのが悪いだけだと。

だけど、苦痛を感じているのは他でもない一花自身だった。

これは、彼らのものではなく、一花のもの。


ぐっと拳を握る。

一花にも、居場所があった。


それは自分が無価値ではない場所。

自立して生きられる場所。

理解してくれる友と、愛してくれる家族と、課題(仕事)を片付ける仲間たちがいたところ。

少しずつ積み上げていった努力の果てに形作ってきた環境。


奪われたのに。

どうしてこんなにも求められるのか。

認められるための努力を、なぜ強要されているのだろう。


起こってしまったものは仕方がない?

誰のせいでもない?

生きていくために前向きに?

そんなことはわかっている。


わかっているけど、飲み込めるかは別だった。

奪われた痛みをなかったことに出来る程、一花は強くはない。

心の中は整理なんて一つもつかないまま。


彼ら自身が奪ったわけではない事は理解している。

でも、目の前で見せつけられる。

私がかつて持っていたものを、今はないのだと。

自分たちは持っていると。

見せつけてくるのだ。


理不尽と、思う。

怒りを、感じる。

憎しみを、覚える。


それを消す呪文はあった。

簡単だったはずなのに。


それでも彼らは言ってはくれなかった。

だから、今さら遅いけど。


会ったばかりの少年にそれを求める。

馬鹿みたいに泣きながら。


「私を、褒めて」


愚かだとわかっていても、今も思う。

諦めるのはまだ先でいいと。

疲れ果てても、それでも思う。

誰かを、世界を否定するには、まだ早いんじゃないかと。


思ってしまうから。

苦しさも、辛さも涙に流す。

流したい。


流しきれたら、どんなに楽だろう。


少年は頭を撫でてくれた。


「頑張ってるよ。見ればわかるよ。頑張り過ぎなくらい頑張ってる。労わることを覚えて欲しいくらい頑張ってる」


寸分違わず欲しいものをくれた。

望むもの以上を、くれた。


「お仲間は馬鹿だね。だって、お姉さん、すごい良い人でしょう? 誰かのために、なにか出来ることがあったらしてあげられちゃう人でしょう? 一個あげたら十個返そうとするような馬鹿みたいな善人でしょ? あまり人を甘やかしちゃだめだよ。自分を差し出し過ぎるのもダメだよ。だから、あなたに必要なのは止めてくれる人だよ。労わってくれる人だよ。どうやら、あの人たちは役者不足みたいだ。人に恵まれてないね、お姉さん?」


最後の言葉にうふふと笑いが漏れた。

考えたことのなかった切り口だ。


「恨むのも躊躇して、人の善意を信じて、敵対することも最後の手段で、自分の心を守ることが結局最後で一番疎かだ。だって、いまだに許したいとすら思ってるでしょう? ねえ、少しは自分本位にならないと」


少年は心を読めるのだろうかと一花は思った。

ひたすらな肯定が言葉の雨として降ってくる。


すごい、えらいと褒め言葉。

自分を守るために、誰かを傷付けてもいいんだと優しい声が教えてくれるけど、一花はやっぱりまだ首を振る。


誰かに優しくされると嬉しい。

いま、とても嬉しい。

だから、優しくありたい。

誰かにとって、優しい自分でありたい。


「仕方がない人だね、お姉さんは」


髪を梳く指が優しい。

呆れた声にすら優しさが詰まっている。

その声に背中を押されて、まだ大丈夫だと思うのだ。


「悪魔の囁きすら優しいというの? 本当に救えないねえ」


ざわざわと波立っていた心が落ち着いて、一花は睡魔を自覚する。


「いいよ、眠るといい。おやすみイチカ、いい夢を」


夢は見なかった。




§     §     §




疲れは癒え切っていない。

でも、もう少しだけなら頑張れる気がした。


足が棒だった昨日とは違って、足の裏こそひどい有様だったけれど、足自体は軽い。

まだマシ。

昨日よりマシ。

なら明日はもう少しいい日になるかもしれない。

いつかの未来はとてもいい日になっているかもしれない。


今日の一花は少し前向きだった。


「さあ、遅れを取り戻せるように今日は頑張ろう」


王子様がきれいな笑顔を向けてくる。

今日()、だって。


空を見る。

晴天だ。


王子を見る。


「はい」


ちゃんと元気な声が出ただろうか。


「いい返事だ。では行こうか」


嬉しそうな声に促されて足を踏み出す。

少しだけ上手くいったらしい。


相変わらず足は痛い。

体もだるい。


それでも。

それでも。


少年の優しい声を思い出す。

底抜けに優しい人がいる。

痛みを強いない人がいる。


それでいい。


とはいえ、しばらく歩いた頃。

返事だけはよかったのもの、歩く速度は変わらない一花に、やっぱり少しばかり厳しい目線は飛んでくる。

空気は、読めない方がいいこともあるらしい。


しかも最近道中に現れるのは盗賊よりも魔物が多くなってきた。

本能に忠実な魔物は人間よりも出現率がずっと高い。

どちらにしても戦闘に参加できるはずもない一花は当然縮こまっているだけだ。


戦闘員は危なげなく敵を倒しても、幾つかの擦り傷は当然作る。

聖職者がいつものように魔法を使って治そうと試みていた。


一花は眉を顰める。

いつも思っていた。

多分あれは良くない。

治る傷に、安易に魔法をかけること。

だって、その度になにかが抜けていくのが見えるのだ。

回復魔法をかけて、なくなるもの。

ずっと考えていたけど、自己回復力だとしたらどうだろう。

間違っているかもしれない、でも言わないのもやっぱり違うと思うから。


「あ、あの!」


勇気を出して声をかける。

しどろもどろと聖職者に推論を説明したが、残念ながら鼻で笑われた。

というか、嘲笑というのだ、これは。


「自分が使えもしない魔法に対してケチをつけることを何と言うか知ってますか? 神に唾を吐く、と表現するのです」

「厳しい表現だが、あれでもお前を叱咤激励してるんだ。奮起してくれ」

「つまり、少しでも魔法が使えれば聞く耳を持つってことだからな」

「そ、そうですね」


多分正解は「鋭意努力します」だ。

ため息を飲み込む。


何でもかんでもそう上手くはいかない。

気の持ちようだけで状況が変われば誰も苦労なんてしないだろう。


握った両の拳を額に当てる。

少し熱が上がった気がした。


干上がった地面に少し水が与えられた。

どうなるのかを、一花は身に沁みて感じる。

渇きを自覚するだけだ。


少年の甘い言葉は、一花を強くするどころか枯らせるのを促しただけだったのかもしれない。

弱ると簡単に責任転嫁をはじめる自分を自覚して、一花はダメだな、と心に蓋をする。


ぼんやりとしてきた頭でそんなことを考えていたからか、耳元で声がしたときには飛び上がるほど驚いた。


「お姉さん!」


蹄の音がすぐ傍で聞こえたと思ったら、ぐいとかなりの力で引っ張られる。

腹に回された腕が痛いほどだった。


「あ、ごめん。痛かったね」


相変わらず、心の声でも聞こえてるのかと。

馬上に引き上げられた一花を安全に座らせると早々に力を緩められる。


ありがとう、と思わず呟いて慌てて聞き直す。

言うべきなのはそれではなかった。


「どうして!?」


旅館に居るはずの少年が、どこかの王子のテンプレみたいなことをしているのか。


「村長から案内人を仰せつかったんだ。ついでに交渉して馬をぶんどってきた。褒めて!」

「それは、……すごいね」


満面の笑みでそんなことを要求されたら応えないわけにはいかない。


「俺とお姉さんの体重なら馬にとっては一人分、ちょうど良くない? これなら旅も少しはマシになるかも」


前半は同行者に、後半は一花に向けられた言葉だ。


「ふーん、村長も気が利くことをするじゃないか」


黒髪魔道士が感心したように頷く。

一花はその黒髪魔道士になぜかあっかんべをしている少年を隠すので精一杯で聞いてはいなかったが。


「では俺たちも次の町で馬を調達することにしよう」

「そうだな。それまでは馬には王子が」


彼らの話が終わる前に、少年が無邪気さを装って上書きした結論を押し付ける。


「じゃあ、俺たち次の村に先に行ってるね!」


そのまま強引に馬を走らせた。


「お、おい、待て!」


慌てて走る彼らの姿は簡単に置いていかれる。

一花の目には初めて映る、いつも完璧な彼らの滑稽な姿。


「へん、ざまーみろ! 少しは苦労ってもんをしてみやがれ!」


おかしくてくすくすと笑っていると、上機嫌な少年が暴言を吐いた。

一花は首を傾げる。


「少年は彼らが嫌いなの?」


なにかされたわけでもないだろうに。

むしろ彼らは上客だ。


不安定な馬の上、斜め後ろを覗いた一花に、少年はなぜか一度咳ばらいを挟んだ。


「あのさ、そういう目、やめた方がいいよ」

「……そういう?」

「いい、何でもない。知ってる、無自覚だって、俺知ってたからさ! いいんだ!」


まったくもって会話になっていない。


「ええと、なんだっけ。あいつらのこと? ああ、嫌いだね。もっと言うと超嫌い!」

「なんで?」

「なんでって、だってお姉さんのこと簡単に傷つけるじゃないか」


目を丸くする。

それは久々に見る、好意による偏った感情だったから。

あなたが好きだから、あなたを傷付ける彼らは嫌い。

そういうこと。


素直に嬉しいと、思った。

乾いた大地に水が滲むようにじんわりと喜びが満ちる。


でも、それで満たされてはいけないと知っていた。

自分にとっては渇きを癒す救いでも、誰かに依存した感情を持った少年にとっては、きっとあまり良い状況ではない。


そもそも少年は前提が間違っているのだ。

簡単に傷付いてるのは自分。

多分、彼らのせいじゃない。

だから、彼らをあなたが嫌う必要はない。


そう言おうと思ったら、口を塞がれた。


少年の手だ。

とてもぬくい。


「禁止だよ。それ以上言うと俺がもっと怒る。あいつら嫌いになるよ。いいの?」


いいか悪いかで言われたらどうでもいいような気もする。

そもそも嫌いだと告白を受けているし、彼らと少年は他人だ。

少し案内を務めて別れるだけの仲ならそう大問題でもないだろう。


でも、きっと人を嫌いになるのには労力を使うものだ。

誰かを嫌うことは、疲れることだ。


だから一花は少年の言う通り黙った。


すると、少年はなぜか深いため息を吐く。


「しょうがないなあ。もう、しょうがないよね、これは」


どういうことだろう。

さっきから少年は勝手に結論を急いでしまう。


最終的には諸手を上げて叫び出した。


「降参! 黙って見てるとか絶対無理じゃん! 超難題じゃん! 任務遂行なんて誰も出来ないって! だから! 誰もいらないって言うなら俺でもいいじゃないか。それで終わり!」


一花は置いてきぼりも良いところだった。


「少年?」


どういうこと?

そう問いかけると、少年はバツが悪そうに頬を掻いた。


思わず言い訳のような言葉が飛び出てくる。


「だって、お姉さんに必要なのはお姉さんを止めてくれる人だって言ったのに!」


確かに言われた。


少年は次には憮然とした顔になった。

コロコロと変わる表情は見ていて飽きない。

お綺麗な顔よりは、ずっと眺め甲斐がある。


「誰もやらないから俺がやることにする。俺なら役不足ってことはあっても、役者不足ってことはないだろうし! いいでしょ?」


随分な自信だ。

しかも内容に目を向けてみると、とんでもないことを言われているような気がする。

いや、自分が人に恵まれていないと言った彼のことだ、ボランティア精神の賜物だろう。

きっとそうだ。

あんまり寄りかかるのはよくない。

それが相手にとって、とても負担になることを一花は知っていた。

それでも。


「……でも、少年が一緒にいてくれるなら嬉しい、かな?」


道案内の間だけでも。

とても、嬉しい。

一花は控えめな喜びを口にした。

好意を伝えきれないのが悔やまれるけど、彼にとってはこれくらいできっといい。


「ねえ、お姉さん。いつまでもお姉さんって言うのもなんだし、そろそろ名前を教えてくれる?」


あれ? と思った。

そういえば、昨日名前を呼ばれたような気がしたのに。


まあいいかと、一花は笑む。

やっと自己紹介できる喜びに。


「『一花』、一輪の花で、イチカ」

「へえ、綺麗な名前! イチカ、イチカ、ね。うん、響きも気に入った」


この世界に来て初めて正しい名前で呼ばれた。

一花は笑みを深くする。


「少年の名前は?」

「やっと聞いてくれたね、イチカ。――ユオだよ。(さいわ)いのために、って意味なんだ」

「ユオ。うん、忘れない。いい名前ね」


77の悪魔の末席には人間と見紛うばかりの悪魔が座すという。

そいつは人間を堕落に誘うときにいつも囁く言葉がある。


幸いのために、悪魔にすら魂を売る。――それが人間だ、と。


「ちなみにさ、俺ドワーフの血が混じっててね?」

「う、ん?」

「あんまり昔から見た目が変わらなかったりするんだけど」


一花は目を瞬いた。


「俺、何歳だと思う? オネエサン?」


にやりとユオが笑った。

なんという告白だ!


一花の唖然とした顔を見て、ユオは弾けるように笑った。

その無邪気さが本当の少年のようだ。


毒気を抜かれた一花がなんだかな、と肩の力を抜いたのを見計らったように、ユオが耳元で囁いた。

今までとは違う、低い声で。


「覚悟してよ。褒めて、甘やかして、どろどろに溶かしてあげる。もしかしたら人間のカタチ、失くしちゃうかもよ?」


思わず耳を押さえて、身を離す。

熱のせいではない熱が一花の頬に赤味を差した。


あわあわと焦る一花に、してやったりと満足顔のユオ。

一花は心の中で前言撤回を叫んだ。


少年?

冗談じゃない、ユオは悪魔のようだった。




――正解、と心を読む悪魔がくつくつと笑った。



空気を読む聖女と心を読む悪魔

題名をこれと迷いました。どっちがお好みですかね?


この後は女戦士奴隷(褐色エルフ)を救い、獣人の村を救い(同行者一名)、彼らに連れられ王子パーティーからとんずらします。

「なんでこんなクソみたいな連中と一緒にいるのさ」

「え、なに。問題はお金だったの!?」

「な~んだ、早く言ってよ!」

「なら簡単だ。俺たちが冒険者として路銀を稼ぐから、それについて来てくれたら嬉しい。どうだ?」

そんなカンジ。

各地を巡りながら世界を救い、意図せず本物の聖女様になった頃。

必死になった王子たちに仲間を盾に取られて国に帰るぞと脅され、堪忍袋の緒が切れた一花さん。

魔王降臨と思いきや、人間なんてどうでもいいはずの仲間たちが止めてくれます。

絆されきって、闇堕ち推奨派から鞍替えした模様。

ハッピーエンド!


書き切る気力はなかった。



ちなみに妙に具体的な一番初めのエピソードはただの実体験です。

自分はそれから一切潜らなくなったけど、良い人もいっぱいいると思うよ。

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