02話 幻想少女1
学校を出て、急いで現場へと向かう...そして、
「はぁはぁ...なんとか間に合った....」
と、俺が息を切らしながら言っていると、
「すまんな神田...急に呼び出して」
「いえ、それより現場の方は?」
「ああ、それが奴等、能力をバンバン使いやがるから中々近づけねぇんだ...」
大体事情は分かった。どうやら強盗犯は、その中の一人が能力者であるため、容赦なく能力を使った攻撃をしてくるから無能力者の警察官達だけだととても敵わないということか...その時、
バァン!
爆発する音と共に、建物から炎が舞い上がる...今の爆発は明らかに事件現場である銀行とは別の建物からだ...
「(爆発...犯人は熱に関する能力者なのか...それとも.....)」
...と一人で考えていると、
バァン!バァン!!
「...これ以上考えてる暇は無さそうだな......」
と、俺は決心して
「そんじゃ行ってきます!」
そう言うと、
「は!?何言ってるんだ!たとえお前が能力者でも、あんな能力者がいる上に武器を持った複数の人間を一度に相手にするのは無茶たぞ!!」
そうリーダーは言う...
この人は仕事先の上司で、俺が所属するチームのリーダーでもある水野信彦は、普段は厳しいが、こういう時には仲間を心配する優しさを見せる上司なのだ。
「だから、応援が来るまで待つんだ...」
とリーダーは言う...だか、それでも俺は―――
「俺はそう簡単には死にませんよ!!」
リーダーにそう告げた俺はそのまま現場へと走り出した...。そして銀行のシャッターの前に立つと
ドカッ!!
っと、俺は自分の拳でシャッターを壊して銀行の中へ突入した。犯人は4人くらい確認できる。
「な、なんだアイツは!」
「あいつ...シャターを壊して入ってきやがったぞ!!」
と強盗犯達はそう言うと俺に銃を向けてきた...だがこれはもう見慣れた光景だ.....
スチャ
っと、俺に銃を向け、
「...だが、死ねっ!!」
「ッ!」
バンッ!バンッ!バンッ!
...と、銃を俺に向けて撃ちまくった....たけど、
ダッ!
っと、咄嗟にその場から離れて、
「おっと、危ねぇ...マジで当たるとこだったよ..」
と、なんとか銃弾を躱すと
「なっ!避けただと!?」
「なんて身体能力...っ!こいつもまさか能力者か!?」
「ちっ、すこし避けられたくらいでいい気になってんじゃねぇぞクソガキ!!」
強盗犯達はまた銃を発砲しようとするが――
「おっと!悪いが大人しくしてもらうぜっ!!」
そして俺は強盗犯達に近づき――――
「...フンッ!」
ゴッ!ドカッ!!
っと、強盗犯の溝内と顔面に拳を入れる
「ぐはあっ!」
「ぐえっ!!」
と、強盗犯は吹っ飛んで、二人を気絶させた。あと二人残っているが、残りは警察と俺の所属するチームの仲間達が取り押さえた。たが、
「そういや、肝心な能力者の犯人が見当たらねぇな...」
辺りを見回しても犯人は見当たらない...。おそらく逃げられたのだろうと、心の中で思った俺は、無力化させた二人の強盗犯達を連れてパトカーに連れていった。そして俺が銀行から出ると、
「神田!怪我はないか!?」
「おかげ様でなんとか無傷ですよ」
「まったく...少しは俺の立場も考えてくれ.....」
と、俺の状態を確認して、周囲に犯人はいないか確認すると、
「それじゃ解散!!あと、今度は赤点取らんようにな!」
と、水野さんが言って、
「あんたは俺の親かよ..まったく.....(てかなんで赤点の事知ってんだよ...)」
そして俺は家に向かおうとするが、
「そういや冷蔵庫の中がもう殆ど空だったな...」
「スーパーで食料買って帰ろっと」
そう思うと、頭の中である事が浮かんだ...
「(そういや今日は特売日だっけ?だったらいそがねーと!!)」
そう思い、スーパーへ向かった。
この俺神田条介は特別警備班、通称”特班”と呼ばれるチームでバイトをしている。名前からして警察関連の仕事かと思われがちだが、実際は別の組織であり、民間の警備会社のようなものだが、他の警備会社とは違い、会社に科学都市側も関わっている。その為よく能力者による事件が多い科学都市では、都市側の依頼により、急に仕事が入る事が多い。俺はその会社のチームにバイトという形で所属している。
「なんとか買えたなー」
スーパーで買い物を済ませて家に向かって帰りながら一人でつぶやいた。だが、今回事件で一つ気になる事が残っている...それは
「そういや、能力者の犯人はどこに消えたのだろうか...」
まだ能力者の犯人に関しては有力な情報は無い。
「とりあえず帰るか」
しばらく歩いて、家に着き、扉を開けて中に入るとそこには―――
「......」
目の前に少女がいたのだ...
「...あなたは?」
「...え?」
だがよく見てみるとその少女は変わった姿をしていた。ワンピース姿で、首には何かの紋章のような形をした宝石らしきものが付いてるネックレス。肌は少し白く、身長は俺より少し低い。だかそれよりも、この水色の髪と、黄色に輝く瞳。まるで”幻想”的な姿をしていた...思わず見とれてしまったが、
「えっと、君は?」
「...は?あんたから名乗りなさいよっ」
「(え、なんでこんなに強気なの...)」
とりあえず自己紹介か...
「俺の名前は神田条介。ここの部屋に住んでいる。年齢は17歳で、第1高校の高校生だ」
と、俺が名乗ると
「へぇ~。私もあなたと同じ17歳よ」
「(なんかカリスマ性を感じる...)」
「と、ところで君の名前は?」
「私の名前はリル。まだこの世界に来てそんなに経ってないからよくわからないことが多いわ」
「ところで、なんで俺の部屋に?」
「そんなの知らないわよ。だって気がついたらここにいたのだから...」
「気が付いたら...?」
一体どういうことなんだ?と考える俺。
「(いや待てよ...さっきこの人”この世界に来て”って言ってたよな...?)」
「も、もしかして君はこの世界の住人じゃなかったり...とか?」
と、恐る恐る聞いてみると
「ええそうよ」
と言われたのだ。思わず俺は、
「(えっ、ちょっと待てよ...つまり違う世界から来たってこと?いやそんなことあるわけ...)」
そう頭の中で思い、
「じゃあ君の出身地は?」
「すまないけど、私はどうしてこの世界に来たのかがわからないの。過去の事も思い出せないのよ...正直名前と年齢以外何も思い出せないわ....」
「もしかして記憶喪失とか...?」
「...そうかもね..」
リルはそう言った。なんだか少し暗いような顔をしていた...
もしかしたら彼女も”俺と同じ”なのかもしれない...
...とそう思ったのだった
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