第46話:ぎりぎりばれんたいん-Valentýn Opatřeni Výbor-
「セッカ……」
「アマユキちゃん!」
スズメ先輩が私の傍に駆け寄ってくる。
「セッカが……」
「わかっています。ただ、一つだけ問題が……」
「問題?」
「シリアスなエピソードの最中ですけど、今回は時系列無視でギャグ回です」
「え?」
2月14日。
「何か賑わってるわね……」
いつもとどこか違う校内の様子にアマユキさんが首をかしげる。
「今日はバレンタインですからね……」
「そうだっけ? ったく大企業の商売合戦に踊らされるなんてめでたいわね」
「アマユキさんは踊らされないんですか?」
「踊らせる方だもの」
「それならやっぱり……チョコはいりませんよね?」
「…………あるの?」
トリュフチョコを口に運ぶアマユキさんをよそにわたしは周囲を見渡す。
「クリスティーナちゃんとミツキちゃんは……」
いつもの2人を探すわたしの目に、せわしなく走り回る生徒たちの姿が目に入った。
奇妙なのは、その生徒たちの多くが同じような腕章を付けていること。
「バレンタイン、対策委員会……?」
腕章に記された文字にはそう書かれている。
「セッカ、あそこ」
アマユキさんが示した先には腕章を付けた生徒たちに指示を出す、わたしのよく見知った先輩の姿があった。
「スズメ先輩、何してるんですか……?」
「セッカちゃん!」
誰か言うまでもなく、そんな面白そうなことをしている先輩はスズメ先輩くらいしかいない。
「バレンタイン対策委員会ですよ」
「それが何なのか分からないんだけど!」
「名前だけ聞けば、今日に備えてチョコとかお菓子を配る集まり……みたいに聞こえますけど」
「セッカちゃん」
「はい?」
「バレンタインがそんな緩く楽しいイベントだと思ってたんですか?」
「違うんですか……?」
スズメ先輩は「違います」と首を縦に振る。
それもものすごく深刻そうな表情で。
「なるほどね」
アマユキさんが合点の言ったように頷いた。
「つまりバレンタイン対策委員会ってのは、チョコを渡し合ってキャッキャウフフしてるヤツらを妨害してやろうって組織ね。私も参加するわ」
「違いますぅ!! っていうかセッカちゃんからチョコ貰っといてナニいけしゃあしゃあと!」
「違うの?」
スズメ先輩は「違うんです」と首を縦に振る。
ほかに考えられるのは、ひいらぎの村を贈ろうとしてる人を取り締まるくらいしかないけれど……。
「それもいいですけど違います! いいですか? このバレンタイン対策委員会はバレンタインに起こるであろうバレンタイン犯罪に備えて結成された警備組織なんです!」
「「バレンタイン犯罪?」」
わたしとアマユキさんの声が重なった。
「バッカじゃないの?」
「バカじゃないです」
そういうスズメ先輩は「アナタの方がバカじゃないんですか?」とでも言いたそうな顔を向けてくる。
「アナタ達はバレンタインの恐ろしさを何も分かってない!」
「バレンタインって恐ろしいことがあるんですか……?」
「企業の商戦に踊らされて哀れにも財産を使い果たして野垂れ死んだりするってこと?」
「何ソレ怖い」
どうやら違うみたいだ。
「じゃあなくて、いろいろあるんですよ! 例えばほら、ステラソフィアがチョコフォンデュにされるとか!!」
「何ソレ怖い」
「でしょ!?」
「え、えっと、つまり、スズメ先輩はステラソフィアがフォンデュされるのを防ぐためにこんな委員会を?」
「そうです!」
この先輩、頭大丈夫なんだろうか。
しかしスズメ先輩の表情はいたってマジメ。
ナニコレ怖い。
「そうだ。セッカちゃんもアマユキちゃんもちょっとそこ動かないで」
スズメ先輩はそういうと、何やら不思議な機械をわたしとアマユキさんに向けてくる。
「バレンタイン犯罪値CとE-ですか。セッカちゃんは少し浮かれすぎですけど、まぁ、問題はないでしょう」
「なんなんですかその機械……」
「バレンタイン犯罪を未然に防ぐため、今まで得た様々なデータからバレンタイン犯罪値を算出する機械です。Dランクを基本としてAからEまでランクづけして――」
「どんな技術力よソレ……」
「最高に信頼のおける技術者に作ってもらったんですよ。ね、ロコちん!」
「ズメちんの為に頑張ったよ!」
そう言うのは茶髪のポニーテールを揺らす1人の女性。
着ている制服がステラソフィアじゃない。
この制服は確か、ドヴォイツェ・ヴィーチェスラーヴァとかと同じ――
「リラフィリア機甲学校特技科4年。フニーズド・ロコヴィシュカです。よろしくね」
「フニーズド……なるほどね」
「知ってるんですか? アマユキさん」
「ネットで話題の装騎技師よ。武装のチューンや修理。それどろか新造武器や装騎の設計開発もこなすと言う天才メハニチュカ……スズメ先輩の知り合いだったなんて」
「ロコちんは幼馴染なんだよー」
朗らかに笑うスズメ先輩の姿に、本当、2人の仲の良さが見える。
「スズメ、設置型の計測器に感。バレンタイン犯罪値B以上」
スズメ先輩にそう伝えたのは褐色肌のとても小さな少女。
彼女には見覚えがあった。
名前は確かアナヒトちゃん。
スズメ先輩のもう1人の妹みたいな存在らしい。
「要隔離対象者ですね……ありがとうアナヒトちゃん! バレンタイン対策委員会、出撃!!」
「隔離?」
「楽しそうね。ちょっと追いかけましょう」
「本ッ当、楽しそうな顔してますねアマユキさん……」
口元をニヤつかせたアマユキさんに引っ張られ、わたしたちはバレンタイン対策委員会を追いかける。
「スズメ先輩ー、標的はっけーん!」
「ミツキちゃん!?」
「ディ・ユニヴァースが意思により捕獲作戦始動なり!」
「クリスティーナまで」
いつのまに仲間に引き込まれていたのか。
ミツキちゃんやクリスティーナちゃんまで犯罪値計測器を手に持ち逃げ回る女子生徒を追いかけていた。
その相手とは――
「酷いのである! スズメ殿とわたくしは友達なのではなかったか!?」
4年生のチャタン・ナキリ先輩。
ステラソフィア代表選抜大会でドヴォイツェ・ローニンサバイバーとして参加していたスズメ先輩の友達さんだ。
「いいえ、ナキリちゃん。友だちだからこそです! 大丈夫です。大人しく捕まるというのなら痛い目にあうことはありません。適切な処置を受ければ社会復帰だってできるでしょう」
「適切な処置とは!」
「せん――カウンセリングとか」
「不穏な言葉が聞こえてきたのである!!」
確かに洗脳とか聞こえたような気がする。
「どうあっても反発するつもりなんですね……」
「そもそもわたくし、まだ何もしてないのである!!」
「問答無用! かかれ!!」
スズメ先輩の指示で、ミツキちゃんやクリスティーナちゃんを始めとした、計測器をその手に持ったバレンタイン対策委員会メンバーがナキリ先輩を取り囲む。
「確保!」
「されないのである!」
けれどさすがは野生味溢れる侍先輩。
スズメ先輩の指揮する捕獲メンバーの動きを容易く見切り、避けた。
「スズ姉さん! さすがにナキリ先輩捕まえるのは難しいっす!!」
メイ先輩が声を上げる。
それもそうだ。
傍から見てもナキリ先輩の動きは常軌を逸している。
壁に張り付き、天井に張り付き、縦横無尽に飛び回り……なんだあの人。
「大丈夫です。こういう時の為の対策は打ってあります!」
「対策、ですか……?」
そう言いながらもスズメ先輩は計測器を見つめるだけ。
それは他の対策委員会メンバーも同じだ。
「今です!」
スズメ先輩が計測器に着いたスイッチを押す。
すると、計測器の先からなんとネットが飛び出した!
「甘いのである!」
けれどそれも当たらない。
ううん、違う。
今のネットは陽動。
まるでナキリ先輩の動きを予測したように、次々とほかのメンバーがネットを放つ。
「なるほどね。相手の行動パターンを学習して適切な対処方法を提供する。なかなかやるじゃない」
そして終ぞナキリ先輩は捕まり、どこかへ連れていかれたのだった。
「あれはさすがに可哀そうだったんじゃ……別に何かしようとか思ってなかったみたいですし」
「セッカちゃん」
「はい?」
「そんな甘いことを言ってる場合ではないですよ」
スズメ先輩の笑顔が怖い。
「いいですか? あのバレンタイン犯罪値というのは日頃からの騒動の起こしやすさやトラブルの中心の成りやすさをランク付けするものです。そのランクが高いということは、ふとしたきっかけで事件の原因や重要人物になる可能性が高いということ」
言われると確かにまぁ、ナキリ先輩は普段から何かとトラブルを起こしているイメージがある。
わたし達もナキリ先輩のせいで遭難したことがあったし……。
「事件が起きてから対処では遅すぎます。だから先手を打って隔離するんです。その為のバレンタイン犯罪値なんです」
「でもさすがにアレは……」
「カウンセリング受けます? 隔離されます?」
「い、いやです……」
「なら、お口はチャックですよ」
「は、はい……」
スズメ先輩の醸し出す異様な迫力に押されてしまう。
その後もバレンタイン対策委員会はバレンタイン犯罪防止の名目で様々な生徒たちを捕まえていった。
ナキリ先輩すら捕獲してしまうスズメ先輩たちバレンタイン対策委員会。
彼女たちに逆らえるものはこの学園にはいなかった。
「これで粗方、犯罪値の高い人間は確保しましたね」
「モチロンよ! スズ姉の為に対策委員会の人間を総動員したんだもの!」
悪者のような高笑いをするスズメ先輩とツバメ先輩。
そう言えば、この2人は実の姉妹だったなと今この時改めて認識する。
かくしてステラソフィアはバレンタイン対策委員会の圧制で平穏――を通り越した静寂が訪れた。
そのまま、まるでお通夜のようなままステラソフィアのバレンタインは終わってしまうんだろうか……?
ううん、そうはいかないのがステラソフィア流だ。
「被害者は、チーム・ブローウィング所属の機甲科2年生! サエズリ・ツバメちゃんだねぇ。おだぶつー」
「そ、そんな……!」
ミツキちゃんからの報告にスズメ先輩が膝をつく。
それもそのはず。
スズメ先輩たちバレンタイン対策委員会は、こういう事態に備えてあれだけの装備を調えていたのだ。
それが、よりにもよって側近であるツバメ先輩が被害にあい、今ここに倒れている。
「そんな! 今この機甲科内にはバレンタイン犯罪値の高い人間はいないはず!」
「外部からの犯行、でしょうか……?」
「いえ、例え外部の犯行だとしても機甲科に入る為には必ず計測器を通らないといけなくなってます。死角はありません」
「それじゃあ、内部の誰かの犯行ってことは?」
「それもないです。少なくとも実行に移そうなんて思えばその時点で犯罪値B以上は免れません……それなのにこんな、口の中にチョコレートを突っ込まれるなんて無残な死に方……」
「死んでは無いわよね」
「とにかく、この計測器の技術は確かなはずなんです!」
「そ、それじゃあ、ツバメ先輩は自分でチョコを食べようとして喉に詰まらせた……。そういう事故ならありえるんじゃないでしょうか……?」
「その可能性はあります。ですが……」
「話を聞いてきたっす! どうやらさっき、ここら辺で奇妙な騒ぎがあったみたいっす!」
近くにいた女子生徒に聞き込みをしていたメイ先輩が報告に戻ってくる。
「奇妙な騒ぎ……それこそ奇妙ですね。騒ぎになるようなら、何かしら犯罪値の高い人間がいてもおかしくないのに」
「話自体も奇妙っすよー。なんでも、"スズメさん! ハッピーバレンタイン!"という声と共に悲鳴が――駆けつけてみるとツバメさんが倒れてたとかナントカ」
「狙いは私、と言うことですか……どうして」
どうしてなのかは大体予想がつくけれど、それにしてもあれだけ猛威を振るったバレンタイン犯罪値計測器。
それが全く役に立っていないのも不思議だった。
「サエズリ・ツバメが狙われたのは、スズメ先輩と似ていたから? 姉妹だしね」
「言うほど間違いますか……?」
「もしかすると犯人は、もっとシンプルな人間なのかもしれないわ。それこそチャタン・ナキリと同じような部類のね」
「感覚でツバメ先輩をスズメ先輩だと思い込んで襲った……ですか」
「にしても、アレ以外にそんな生徒いたかしら」
ステラソフィアは比較的変な人が多いとはいえ、あそこまで本能で生きてるのはナキリ先輩くらいだ。
それに匹敵するような女子生徒なんてわたしは見たことも聞いたこともない。
「スズメ先輩、何か心当たりないんですか……?」
「あったらすぐにでも駆け付けますよ!」
それもそうか。
ということは、犯人は今までわたしの見知った人じゃない……?
「きっと新キャラですね」
「言い方ぁ!」
「み、み、み、み、みっつけましたぁぁああ!!!!」
その時、廊下に声が響いた。
わたしを始めとして、その場にいた誰もがの視線が声の主へと集まる。
「サ、サ、サササ、サエズリ・スズメさんですねェ!?」
わたし達と同じ機甲科の制服を着た女子生徒。
彼女はそう言うや否や、スズメ先輩向かって走り出した。
「うわっ、な、なんですかァー!!??」
凄まじい瞬発力。
その迫力にスズメ先輩は逃げ出す。
スズメ先輩を追いかけるその子の、姿だけは見たことがあった。
「名前は、何て言ったっけ……確か、クレメンタインとか」
「お忘れですか、わたしのことを!? チーム・パフェコムラード1年、テンパリング・クレメンタインです!」
「誰ですかー!!!」
「いやだなぁ、あなたの弟子じゃないですかぁ! チョコ、チョコを受け取ってくださーい!!」
あの子、確かに授業とかで一緒になったことがあるけれどあんなキャラだっただろうか。
いつもはもっと大人しいイメージで、まさかあそこまで熱烈なスズメ先輩のファンだったなんて。
「というか弟子? スズメ先輩、弟子とかいたんですね」
「弟子なんて取ったことないですよ! 師事したのだってアマユキちゃんくらいです!」
どうやら本気でスズメ先輩にとって心当たりはないようだった。
「とりあえず、総員、計測器を用意! あの女子生徒を捕獲しますよ!」
スズメ先輩が声を張り上げるけれど、バレンタイン対策委員会の人達が首をかしげる。
「どうしたんですか!?」
「それがっすね……」
「あ、無理コレ。コレ無理」
「動作せず。ディ・ユニヴァースが意思か……」
「故障、ですか……?」
「否。リミッターなり」
「リミッター?」
わたしはクリスティーナちゃんの持つバレンタイン犯罪値計測器を覗き込む。
そこに記されたのは、ランクDの文字。
「ランクD? 確か、確保の基準はB以上、でしたっけ」
「そだねー」
「そんなバカな!」
スズメ先輩もその手に持った計測器をクレメンタインちゃんに向けた。
「犯罪値D!? これじゃあ、計測器が執行モードに入れないっ!」
「執行モード、ですか……?」
「わたしから説明させてもらうね」
そう言ったのは開発者のロコヴィシュカさんだ。
「この計測器には捕獲用の執行モードがついてるんだけど、悪用されないように犯罪値がB以上じゃないと動作しないようになってるの」
「つまり、犯罪値Dのクレメンタインさんは……」
「そう。捕まえられない……。まさか、こんなことが起きるなんて」
逃げ回るスズメ先輩に、それを追いかけるクレメンタインちゃん。
どうしてもスズメ先輩にチョコを渡したいのだろう。
凄まじい速さで宙を駆けるチョコ。
それが壁に叩きつけられ、通りがかりの生徒に当たり、扉や窓、机に椅子も荒らされに荒らされる大惨事。
「ロコちん! これだけ暴れてても、執行対象にはならないんですかァー!?」
「普通、本人は善意だとしても客観的な測定も入るからここまで暴れたらB以上にはなるはずなんだけど……」
「全然犯罪値上がりませんよ!? むしろD-クラスになりそうですよ!!??」
「もしかしたら、彼女の精神性がほかの人間とあまりに違いすぎるのかもしれない。この計測器は過去の統計から犯罪値を算出する。その類型に全く当てはまらない人間がいたら……」
「それがこの子ってことですかぁー!!!???」
「うん。きっと」
「もう犯罪値とかどうでもいいから、コイツ捕まえてー!」
「でもそれは、委員会としてどうかと思うっす」
「マジメですか!」
「治安は規則。ちゃんと守らなきゃ。おけかな?」
「おけじゃない!」
「これがディ・ユニヴァースが意思か……」
「私の意思は!?」
「師匠ぉおおおおおお、わたしの愛、受け取ってくださぁぁあああああい!!!!!!」
「ぎゃぁぁあああああああああ!!!!!」
「ごめんなさい! クレメンタインちゃんが迷惑をかけたみたいで……」
「いいのよ。楽しかったし」
「アマユキさん……」
口の中に大量のひのきの林を突っ込まれ、昏倒しているスズメ先輩をよそに何故かアマユキさんが代表して言う。
頭を下げているのはチーム・ドキドキ チーズケーキ所属の1年生。
パティスリー・ドレセちゃん。
どうやらクレメンタインちゃんの友人で、幼馴染らしい。
「実は彼女、サエズリ・スズメ先輩のファンで」
「見たらわかるわ」
「スズメ先輩の装騎バトルに憧れすぎて、いつしか自分はスズメ先輩の弟子なんだって思いこむようになって」
「弟子とか師匠とか言ってたわね」
「全く関係ない騎使の人も、スズメ先輩に似てるところがあったらスズメ先輩だと思い込むようになって」
「重症ね」
「でも、根は大人しい子だから今まで問題なかったんですけど……」
「本当に問題なかったの?」
「だから今まで大人しかったんです。けれど、今日はバレンタインですし、それにスズメ先輩は今年で卒業じゃないですか」
「そうね。何かプレゼントするなら最後のチャンスね」
「はい。だから私、言っちゃったんです。ここでスズメ先輩にチョコを渡せなかったら一生負け組だよって」
「以外と辛辣っ!」
「それでクレメンタインちゃん、ちょっとやる気を出しすぎちゃったみたいで……」
その結果が、この惨状ということらしかった。
偶然にもクレメンタインちゃんがバレンタイン犯罪値の計測器の規格外だったこともあり被害が拡大してしまったという。
「普段はどっちかというと人見知りで大人しい子なんです。というか人との距離感が上手く分からない子だからこんな結果になった……? 私が無理矢理チョコを口の中にでも入れてきなさいって言ったのが悪かっ――ううん、私は悪くない。あれは物の例えであってそこを理解しないクレメンタインちゃんが――」
とりあえずこの2人、なんかすごい関係だということだけは分かった。
「まぁ、いいんじゃないの?」
「い、いいんですか……?」
「大体、スズメ先輩が悪いのよ。バレンタイン対策委員間とか作って平和を守るという名目でしたい放題していたわ。きっとこれはその天罰ね」
アマユキさんは腕を組みながらうんうんと頷く。
「セッカ、みんな。こんなことはもうやめましょう。バレンタインはみんなで楽しみ、祝うもの……。初めからこんなことをするのが間違いだったのよ。でしょ?」
「そうっすよね!」
「そだねー」
「然り」
アマユキさんの言葉にバレンタイン対策委員会の人達が腕章を捨て去っていく。
スズメ先輩、ツバメ先輩2人の犠牲が教えてくれたんだ。
バレンタインは自由に楽しむ日だということを。
今ここに、バレンタイン対策委員会による圧制は終わった。
収容されていた人たちも解き放たれる。
「さぁ、みんなで自由なバレンタインを楽しむのよ! と、いうことで我らセイジョー財閥の新作チョコをバレンタイン特価で販売するわ。今だけのスペシャルよ。味わいなさいな」
「えぇ……」
やっぱりアマユキさんはすごい人だなって思った。
ちなみにその後、ステラソフィアがチョコまみれになったことは言うまでもない。
ステラソフィアTIPS
「5周年」
実質前作に当たる機甲女学園ステラソフィアは2014年2月10日連載開始。
と、いうことで本日2019年2月10日で5周年を迎えることになりました!
イラストはどう考えても〇〇〇ー〇・〇ー〇〇パロ。
それぞれのスズメちゃんや数字にも由来があるので解説。
1位:前作で主役を張ってた頃のデザイン。通称スズメちゃん。票数は今まで5年間の日数。
2位:前作偽神編に登場した平行世界のスズメちゃん。通称スズメ様。もしくはスパローの少女。票数はスズメちゃんの誕生日。
3位;みんなご存じ今作のスズメちゃん。通称スズメ先輩。票数はスズメちゃんナンバー
4位:ステラソフィアSMというネタ四コマ版デザイン。通称スズメさん。票数はステラソフィア連載開始日。
5位:イメージとしては中学時代のスズメちゃん。票数はスズメちゃんの身長。
6位:ステラソフィア女学園機甲科の全生徒数
7位:スズメちゃんのヒップサイズ
8位:スズメちゃんのバストサイズ
9位:スズメちゃんのウエストサイズ
10位:スズメちゃんの体重
これでキミもスズメちゃんマスターだ!




