第39話:隠れた衝動-Zvěrstvo a Láska-
私には好きな人がいた。
その子はいつも私の傍にいてくれた。
私もいつもその子の傍にいようと思った。
それが当たり前だと思っていた。
思っていたのに……。
「彼氏が、できた……?」
「うん」
彼女はそう言った。
「ドロテーアには一番最初に報告したくて」
「そう、なんだ……」
「でもドロテーアとはずっと友だちだよ!」
「うん、ずっと、友だちだよね」
それがキッカケで私たちの関係が大きく変わったなんてことはない。
彼女が変わったということなんてない。
変わったのは私。
ううん、変えたのは、私。
彼女は言った。
「ずっと友だち」
その言葉を私は信じられなかった。
だから、私は。
私は……。
「これ以上は――駄目よ!」
「うぅっ……この、声は……?」
だから、私は目指した。
だから、私は信じた。
私の理想の世界を。
いずれ来る、新世界を。
「駄目だと、言ってるでしょうッ」
例え、世界を滅ぼしてでも。
私は――
人々の歓声が聞こえる。
それは彼女(私)が思い描いた幻影。
いや、計画。
歓声が、悲鳴に変わる。
そして悲鳴は――消えて、そして、そこに、あるのは……
「出ていきなさいッ、コスズメ・セッカ!!」
新世界。
「きゃあッ」
激しい衝撃がわたしの身体を揺らす。
それは装騎ヘシュムの大剣イェーツォルンを振り下ろした衝撃。
今の記憶、今の光景、そして今の幻想。
それが掻き消えそうになるほどの衝撃が走った。
「想像以上に、私の奥を、覗いたわねコスズメ・セッカさん」
「想像、以上……?」
彼女の言葉に引っかかりを覚える。
まるで、こうなることを予測していたような――。
「きゃッ!?」
衝撃。
「お立ちになって、まだ十分に戦えるでしょう?」
彼女の言う通り、装騎スニーフは問題ない。
十分に、戦える。
「ドラククシードロ!!!」
わたしはグッと両手に力を込めると、斧ドラククシードロを振り下ろした。
その一撃は大剣イェーツォルンに受け止められる。
ううん、違う。
わたしの振り下ろした斧は大剣イェーツォルンの腹を滑るように流れて地面に。
そして、
「鳴きなさい」
「ひぁッ!?」
剣というよりはまるで鈍器のようなイェーツォルンの一撃がわたしの身体に響く。
背中に感じる衝撃と重力の向きに装騎スニーフが地面に叩きつけられたことを知る。
装騎ヘシュムは更に大剣イェーツォルンを大きく掲げた。
「やられるッ!?」
けれど一撃はわたしに当たらない。
装騎スニーフの頭部――その横に突き立てられただけ。
違う、わざと外したんだ。
「さぁ」
今度こそ走る衝撃。
それは装騎ヘシュムが装騎スニーフを踏みつけたからだ。
「ジッヒェルングスミッテル」
そして――加えて衝撃。
というよりは、重圧。
P.R.I.S.M.Akt.1ジッヒェルングスミッテルによる両足へのアズル補強。
それを利用した、重圧、攻撃。
「くぅ……ひぁッ!!」
全身を押さえつけられるような感覚。
装甲越しでも感じるその重さに、身体が痛む。
息苦しく思う。
そして感じる。
「どうして、止めを……」
今、この状態であればこのまま最後の一撃を加え装騎スニーフの機能を停止させることは容易いはずだ。
彼女はそれをしない。
それはきっと、わざと。
「戦いはまだ続いてますよ? 立たないんですか?」
立てない。
ジッヒェルングスミッテルの圧が強い。
まるで全アズルをその脚に纏っているように。
「やっぱり、わたしを動けなくすること、だけを……考えて、るっ」
「抗えます? 抗えない? なら、助けを呼びます? 呼んでも、いいんですよ?」
力を強めたり、弱めたり――その度に苦痛の波がわたしの身体を揺らした。
助けを呼ぶ――それは、できない。
アマユキさんに頼り切り――今までずっとそうだった。
わたしだってやれることは、やらないと。
「助けを呼ばない? まだあきらめない? いい判断です」
身体が一瞬楽になる。
装騎ヘシュムが右足を大きく上げたからだ。
けれど――つまり、それは――
「なぜなら、私が気持ちイイッ!!」
「きゃあぁぁあああッ!!!!」
強烈な一撃がくることを示している!
「そろそろジッとしてるのも飽きましたでしょ?」
息を調える間もなく、今度は装騎スニーフが吹き飛ばされる。
装騎ヘシュムが大剣イェーツォルンをゴルフクラブのように構え、装騎スニーフを吹き飛ばしたからだ。
そして地面に叩きつけられ――間髪入れずにもう一撃。
「そろそろ天気もいい感じになってきたわ」
装騎ヘシュムが睨むのは黒く沈んだ空。
そして――そう、空が黒くなった時――このフィールドでは、
「竜巻が、起きる……」
「そう。まだまだ楽しい時間は続きますよ」
甘く囁くドロテーアさんは、まるで悪魔のようだった。
「セッカッ!!」
装騎スニーフが甚振られている。
圧されている――というよりも明確に甚振られている。
「あなたもダメージは大きいのに仲間のことを心配するんだね。好きなんだ、彼女のこと」
「仲間は助ける。当然でしょ」
「いいの。わかる。わたしも、同じだからね」
「同じ……?」
彼女の言葉はどこか抑揚がない。
感情が希薄のような――いや、自分の感情を押し殺してるような喋り方。
「おいで、セイジョー・アマユキさん」
「おい、で?」
視界が真っ白に染まる。
それも一瞬。
気付けば私は、わたしになっていた。
「わたしには好きな人がいる」
その人はいつもわたしの傍にいてくれた。
だけど、たまに思うことがあった。
「わたしがドロテーアを好きだと、彼女にとって迷惑なんじゃないかな」
ドロテーアはとても美人だ。
それに人当たりもよくて、男女問わず人気が高かった。
頭もよくて、指先が細くて、わたしの知らないことを一杯知ってて、どんなことにでも興味と、理解を示してくれる。
わたしはそんな彼女が好きだった。
大好きだった。
小さなころからずっと。
だからわたしは彼女と約束したんだ。
「一生一緒だからね!」
でも、それがいけないことだという思いもあった。
彼女はもっと素敵な相手と付き合えるのに、わたしとだけいてくれた。
そして、いつまでもわたしが彼女のことを「好き」でいられないという思いもあった。
わたしの「好き」はきっと、彼女の言う「好き」とは違うから。
だからわたしは決意した。
わたしは彼女に頼り切ることをやめないといけない。
彼女はわたし以外の人とも関係を持てるようにならないといけない。
だからわたしは勇気を出して彼氏を作った。
でもその日から彼女は少しずつおかしくなっていった。
そして気付いた。
「わたしの"好き"と彼女の"好き"は同じだったんだ」
どうして今の今まで気づかなかったんだろう。
もっと早く気付いていれば。
素直に気持ちを伝えられていたら。
だからわたしはついていこう。
彼女の妄言――その果てまで。
「今の――イメージは……? それに、理想……?」
「"これ"がわたし達の理想。"これ"がその為の手段。わかる?」
「これ……?」
「人は1つになる。そして神に。ううん、新世界になる」
「意味、わからないわ」
「わかる必要はないんだ。でも、ならなければならない。それが人類の――未来だからね」
「本当、全く――意味わからないわ!!」
わたしはロゼッタハルバートを振り降ろす。
「そうね。わたしもわからないよ。だけど、彼女は信じてるんだ。新世界こそ、わたし達の未来だってね」
「そんなことより、私はセッカを助けるッ」
「そんなこと、する必要あるの? 仲間だから? そうなの?」
「当然、仲間だからに――決まってるじゃないっ」
「彼女、Akt.3を発動させられるんだってね」
「それがどうしたのよ」
「すごいですね。彼女。P.R.I.S.M.能力のAkt.3――発動させたのは彼女が初めてだよね」
そう、セッカが初めてだった。
あの試合の後、私は他の試合の様子も調べた。
けれどAkt.3を発動させられたのはセッカだけ。
それ以前の記録も全て。
でも、それがどうした。
私の相棒が大会初の快挙を成し遂げた。
ただそれだけ。
「そんなすごい彼女なら、あなたの助けなんていらないんじゃないんですかね」
「何、言ってんのよ! 実際セッカは――」
なすすべもなく装騎ヘシュムの猛攻にやられている。
彼女は確かにすごい。
Akt.3を発動させた時、素直にそう感じた。
「本当にですかね?」
「何が、言いたいのよッ」
本当に?
「あなたはコスズメ・セッカを愛玩動物のように思っているだけ。彼女がどれだけ強くなろうとも、彼女がどれだけ上に行こうとも、最終的には私を頼る、私の下に戻ってくる。そう思っている」
「セッカは――セッカは確かに強くなった。成長した。私にも頼らなくなった。それは私自身がよく分かっているし、そうなって欲しいと思っていた!」
「だけど?」
「ッ――――!!」
だけど?
セッカ1人じゃ装騎ヘシュムに勝てない?
だから私が助けに行かないといけない?
セッカは強くなった。
最初に出会った頃からは見違えるほどに強くなった。
今にも、
「だけど、"私は超えていない"? 超えられるはずがない? 超えられたくない?」
私は初めてセッカに出会った時、「甘えたヤツだ」とおもった。
とても弱いヤツだとも。
でもいつの頃からだろう。
私はそんな"彼女の弱さ"に"甘えて"いた。
「私は……っ」
「"私は弱くなった"? ううん、それも違う」
「アンタ、何を言いたいのよ!」
私の動揺を誘っている?
私の本心を暴きたがっている?
そういう精神的な揺さぶりをしようという意図を感じた。
けれど、それともまた違う意図も感じる。
彼女は、何がしたいの?
「あなたは自分の気持ちに素直になって。そうすれば、まだまだ強くなれるね」
「セッカを、見下していたって!?」
「ううん、あれは嘘。というか、そうね。悪い言い方、しちゃったかもだね」
「意味、わかんないッ!!」
「それじゃあ想像してみて。わたし達がセッカを捕まえて、そしてグチャグチャにして、"人ではないモノ"にしてしまおうとしてるって」
それはあくまで仮定の話。
それも、そんな場面を想像する意味なんて全くないバカみたいな話。
「ふざけてるッ」
なのに――どうして私の頭の中には、その場面が鮮明に浮かんでくるの?
苦しむセッカの顔。
その中に流れ込んでいくナニか。
これは……これは、これは? これは??
「嫌でしょう? 赦せないでしょう? どうして? どうしてなんだろうね?」
それはきっと、私が――
「うっさいッ!! アンタ――マジで、大ッ嫌いだわ!!!」
私が――――
「ロゼッタ、ネビュラ!!!!」
私の放った一撃は、確かに装騎デミウルクの機能を停止させた。
「本当、素直じゃないんだね」
「ふん。セッカは……」
「心配することはないんだよね。見て。彼女の強さが――あなたの想像を超える時を」
恐ろしい程穏やかなイェニーの声がささやく。
瞬間、強烈な風と共に一条の流星が走った。
「きゃぁぁああああああ!!」
激しい衝撃。
きりもみする騎体。
どこが上でどこが下か、どこが右でどこが左なのか。
どれだけ足掻いてどうしようもない。
激しすぎる暴風に、吐き気を催す隙も無い。
意識が朦朧としかけたところに激しい衝撃。
身体を襲う痛み。
言うまでもなく、装騎ヘシュムの追撃だった。
竜巻に巻き上げられる装騎スニーフを的確に狙い攻撃してくる。
この攻撃もあって、わたしはこの中から出られなかった。
「ねぇセッカさん? "先の戦争"――超高性能のマルクト装騎を倒すために、違う国がどんな手段を取ったのか知ってまして?」
先の、戦争……。
マルクト30年戦争と呼ばれるマルクトとエヴロパ連合との戦争があった。
それも終わったのはつい3年前。
当時マルクト神国という名前だったこの国は、現在の大統領であるコンラッド・モウドール率いる革命派によってマルクト共和国へと変わった。
その戦争による最大の優位。
それが確か、マルクト神国製装騎の、それこそ10年20年は先を行っていた技術力だった。
その優位は圧倒的で、エヴロパ連合の装騎では傷一つつけるのすら困難な程だった。
そんな装騎を倒す、一番効率的な方法。
「いい? 私の大剣イェーツォルンは切れ味だって抜群。けれど"斬ったら駄目”なの。叩くのよ。相手の装騎をね」
「ひぐぁ……」
「だって、斬っちゃたらお仕舞だけれど――叩けばまだ持つでしょ? 装騎は丈夫だし」
それは巨大な質量兵器――当時ならば投石器がよく使われたらしい――それを装騎にぶつける。
もしくは熱量兵器――火や爆薬を大量に使い、装騎を燃やす。
恐ろしいことにマルクトの装騎はそんな攻撃にも耐えきった。
破壊することはできなかった。
機甲装騎自体は。
「それに叩いた方がよく響くのよ。衝撃が、騎使にね」
その攻撃の狙いは装騎を破壊することではなかった。
そう、騎使自身を狙った攻撃だった。
人間が耐えきれないくらいの衝撃を与え、騎使を失神、もしくは殺す。
人間が耐えきれないくらいの熱量を与え、騎使を失神、もしくは殺す。
もちろん、試合のレギュレーション上、相手を殺傷するような攻撃はできない。
そして彼女がわたしを殺すつもりではないのはわかっている。
ただ、自分が楽しみたいだけだ。
「あなた、は……ッ!!」
「ギブアップしますか? それもいいですね。動けなくなるまで戦いますか? それもいいですね。セイジョー・アマユキが助けに来るまで待ちますか? それもいいですね。どうしますか? どうしますか?」
どうして彼女はこんなにも執拗なのだろう。
どうして彼女はこんなにも悲しそうなのだろう。
「どうして、泣いて……るの?」
「はぁ?」
きっと彼女にはわたしの言ったことがわからない。
そもそもなんで、わたしがそう言ったのかわたし自身もわからない。
けれど、なんでだろう。
そう思った。
そう口に出た。
「いいから鳴きなさいよ! 私に、声を、聴かせなさいッ」
「はいっ、ヴァクウム・コウレ!!」
P.R.I.S.M. Akt.3
風が吹き込む。
わたしの――装騎スニーフの手の中に。
圧縮された風の一丸。
その圧倒的な力が、わたしを飲み込む竜巻さえもさらに飲み込み、そして……
「竜巻がッ!?」
わたしの、力になる。
「感じる……強力な風を、竜巻の暴威がわたしの手の中にあることを……」
そしてその風を解き放つ。
ヴァクウム・コウレが解けると同時に、風を圧縮していたその力が、吹き荒んでいた竜巻の力が放たれた。
それは攻撃のため……ではない。
これでわたしは――
「加速をつける!」
闘志がみなぎる。
心が澄んでいく。
装騎スニーフがアズルの光に包まれた。
これは――そう、確かアマユキさんも見せた騎使の高み。
「限界、駆動……!?」
「シャイニー・シューティングスター!!」
一条の流星となった装騎スニーフの一撃は、装騎ヘシュムの機能を停止させた。
「ありがとう。いい試合でした」
試合中とは打って変わって穏やかな笑みを浮かべるドロテーアさん。
けれど、その笑顔の裏にあの残虐さがあることをわたしはもう知ってしまった。
それなのに――
「はい、ありがとうございました」
「あら。それだけかしら?」
驚くような表情を見せるけれど、どこか嘘くさい。
彼女はまるで、わたしが何事もなかったように返すことをあらかじめ知っていたような。
「そうね。それでこそ私の見込んだ騎使。ふふ……」
「見込んだ……?」
背筋が凍る。
何か嫌な予感がする。
それが何かは分からない。
けれど――彼女の戦いはまだ終わっていない。
そんな気がした。
「今度、会いに行きます。コスズメ・セッカ」
「わたしは、御免です」
「あらつれない。まぁいいわ。残りの試合も頑張ってください。応援しています。本当ですよ?」
「はい」
応援している。
それは本当だと感じた。
けれど、何だろうその裏に――何か、何かを感じた。
彼女はいったい、何だったのだろうか。
それは今のわたしには全く分からなかった。
「ドロテーア、彼女のこと、気に入ってるみたいだね」
「アンタ……」
ドロテーアがセッカに向ける視線に苛立ちを感じる。
そして、目の前にいるコイツにも。
いや、苛立ちなんてものじゃない。
これは――憎悪だ。
「そんな怖い顔しないで……って言いたいけど無理だよね」
「無理ね」
「わたしも、あなたのことがちょっと気に入っちゃった」
「ふざけないで」
「ふざけてないんだよね」
コイツは何を考えてるんだろうか。
コイツは何がしたいんだろうか。
全く分からないし、分かりたくもない。
「気に入ったついでに、特別に教えてあげる」
「いらない」
そういう私を無視して、彼女は続ける。
「試合の時の例え話。わたし達――ううん、ドロテーアは本気だからね」
「ッ――!!」
試合が終わってまで何を言ってるんだコイツは!
そう思う反面、嘘だと断言するにはあまりにもイェニーの目が真っ直ぐ過ぎた。
そしてそのあまりにも真っ直ぐな目をしたまま彼女は言った。
「だけど、あなたなら守れるかもね。セッカを」
「フン、そうね。精々アンタら下種が近づかないようにするわよ」
「だね。彼女と共にいてあげるといい。わたしは傍にいることしかできないから」
「アンタ、勘違いしてると思うから最後にコレだけは言っておくわ」
「なんだろうね?」
「私、別にセッカのこと好きとかじゃないから」
イェニーはどこか意味深な、そしてどこか寂しそうな笑顔を浮かべて背を向けた。
ドヴォイツェ・ノイエヴェルト――あまりにも鮮烈であまりにも過激であまりにも奇妙なドヴォイツェとの試合は幕を下ろした。
だけど――――
「それじゃあ、やっぱり彼女を?」
「ええ。最高よあの子! 最高に気持ち良かったわ!」
ドロテーアは興奮気味にそう言った。
やっぱり、新世界の核はコスズメ・セッカで決まりみたいだった。
「あとは時が満ちるだけ。彼女の心が高まり、人々の心が高まり、そして1つになるその時を待つだけ」
「そして訪れるんだね。新世界が」
「その通り。それが我らの悲願! そして、私の悲願!」
彼女の悲願。
新世界。
それがどんなものなのかはよく分からない。
ただ、全ての人が1つとなった幸せある世界。
全ての人が1つとなった未来ある世界。
そう聞いているだけ。
そもそもわたしは知らなかった。
どうして彼女が「新世界」というものを創りたがっているのかを。
本当に彼女の言うやり方で「新世界」が作れるのかも。
ただ今は傍にいよう。
傍にいてわたしの罪を贖おう。
歓びに満ちたドロテーアを見ることだけが、わたしの生き甲斐だから。
「我らが新世界の為に!」
「我らが新世界の為に」
しばらくはこうして、彼女の遊びに付き合おう。
それがどうしようもなく間違っていることでも、遊びというには取り返しのつかないことでも。
「わたしは、彼女を救えなかった。気付くのが遅かった。あなたはどうだろうね?」
宣言しよう。
この大会は、ただでは終わらない。




