第9章 ダンジョン1~20階層
ダンジョン1階層に降りた俺達は先頭にアーサーとゴブ吉、真ん中が俺で最後がバーバラの順番で進んでいく。バーバラのライトの魔法で周囲は明るい、俺の攻略本も良く見える。周りにいたパーティーも皆攻略本を持っていた、少々高いがこれが有れば凄く楽に進めるのだ。
「アーサー、5階までは罠が無いから、警戒しなくて良いぞ。」
「ゴブ吉、そこらにスライムが出るらしいぞ、出たら殲滅しろ。」
「バーバラ、俺の前を歩け。」
攻略本が有るので、スイスイ進む。周りでは時折戦闘音が聞こえるのだが、俺達は全然襲われない、多分他のパーティーを襲うので忙しいのだろう。バーバラが後ろに居ては見えない事に気づいた俺はバーバラを俺の前に出した。
うむ、オッパイも良いが、尻も良いかも知れない。
オッパイは縦に優雅に揺れるのである、こう、ポヨンポヨンとか、ゆさゆさって感じなのである。
尻は左右に揺れるのである、例えればプリンプリンと言う感じで躍動的なのである。うむ、俺もとうとう尻の良さに気がついてしまった。ふっ・俺も成長したもんだぜ。なんせレベル41だしな。
「着いた、ごぶ。」
そう、1回の戦闘も無く2階層への階段にたどり着いてしまった。皆で散歩しただけである。でもまあゴブリン達も忙しくて俺達の所まで来れないんだと思ってた。
「おい!やっぱりオカシイだろ変だろ!」
「何が、変ゴブか?」
「何で、5階層まで来て戦闘ゼロなんだ?ゴブリン出て来ないじゃん。」
「何か魔法でも使ってるのかゴブ吉?」
「使ってないゴブよ。」
「主殿、ゴブリンが我々を襲わないのは当然で御座いますよ。」
「そうですわ、マスターを襲うゴブリンはこの世にいませんわ。マスターはゴブリンの神ですから!」
え・・そうなの?いつの間にそんなことになってんの?ステータスを確認したがそんなことは無かった。
そのままドンドン進んでいたら、ゴブリン発見。こっちに手を振っている、非常に友好的だ。そういえば俺の仲間ゴブリンだわ。途中で寄って来たゴブリンを餌付けしたりからかったりしながら、10階にたどり着いた。まだ昼飯前なのに。
「よし!次は階層主の部屋だ!気合いれていくぞ!」
「平気っすよ、ごぶごぶ。」
俺達4人が中に入った途端に入口がしまった。前方にゴブリンが5体、土下座している。
「えっ!何で土下座。」
5人のリーダー格のホブゴブリンが俺に何やら魔石を差し出している。
「どうぞゴブ!」
「えっ、あっ悪いね。気を使わせて。」
ゴブリンは俺達と争う気は全然ない様だ、さっきの魔石は鍵魔石で次の扉を開くための石だそうだ。親切な階層主に教えてもらった。時間も食料も余っていたので、こいつら階層主達と一緒に昼飯にした。俺としては重かった荷物を減らしたかっただけなのだが。階層主達は大層喜んでいた。
「そんじゃ、お前ら頑張れよ!人間なんかに負けるなよ。」
「アリガト・ごぶ。タイショウ・キオツケテ」
階層主達は俺達を見送ってくれている。そうもうすっかりマブダチである。
11階層に降りるとオークがいきなり襲い掛かってくる。
「ぶも~!!!!」
どん!どん!
オークはゴブ吉のファイアボムを両耳にくらって、頭を吹き飛ばされて絶命である。いくら来てもゴブ吉の10メートル以内に入った瞬間、頭を吹き飛ばされて死んでゆく。
「ふっ、つまらぬ物を吹き飛ばした・ごぶ!」
こうして、俺達はドンドン進んで行く。
「やっぱ、変だろ!オーク大杉!」
そうなのだ、ゴブリン階層で襲れなかった分、余計にオークが襲って来るのだ。階層中のオークが俺達に襲い掛かって来る。他のパーティーを襲っていたオークも俺達を見つけると俺達に襲い掛かって来るのだ。
「ちっと、疲れたごぶ!魔力が切れそうゴブ!」
ここまで100匹近いオークの頭を吹き飛ばばしたゴブ吉は、ヘロヘロになっていた。魔力切れらしい。初めてゴブ吉の魔力切れを見た俺は、大体ゴブ吉は200発程ファイアボムを撃てる事に気が付いた。結構な魔力量だった訳だ。
「ゴブ吉、下がって休め。アーサー、バーバラ後は任せた!」
ゴブ吉に水を飲ませ休ませる。次はアーサーとバーバラの番だ。そして俺は応援だ。
何時もの様に、近づいて来たオークにバーバラのハイライト魔法がさく裂し視力を奪い、剣豪のアーサーがサクサク首を落としてゆく。うん、俺達無敵。
一番困ったのはオークの魔石が重くなって来た事だった。階層中のオークの魔石を狩ってるので嵩張って重いのだ。16階層で俺の限界がやって来た。もう魔石が持てなくなったのだ。
「お前ら、休憩するぞ~!」
ダンジョンの6の付く階層には安全地帯が有る、モンスターの出ない部屋だ。泊まりの場合はここをにテントを張って泊まるのだ。安全地帯に入った俺達は先客のパーティー2組から離れた所にテントを張って泊まる準備をした。ゴブ吉は魔力切れでフラフラしている、杖を突きながら歩いている、アーサーとバーバラは元気だが、アーサーは返り血で酷い見た目だ。俺は魔石の重さで嫌気がさして来た所だ。でも貧乏性なので全部拾って持って来ている。
「さあ!腹一杯食ってくれ。」
街で買った食い物を少し残して、全部晩飯にした。背嚢を軽くする為だ。アーサーも水浴びさせて水を減らした。やっと背嚢が軽くなる、明日も今日位魔石が貯まると困ったことになる。重いから。こういう場合ゴーレムとか荷物を持ってくれる召喚獣がいれば楽なのだが、俺は召喚出来ないから不利だ。というか俺はゴブ吉以外召喚してないのだ。出来ないし。今度来るときは、荷運び用の山羊かポーターを雇わないと無理だな~とか考えてた。
ダンジョン内では冒険者同士は原則不干渉だ。中には魔石や装備を狙う悪人が居るからだ、不用意に近づくと攻撃されるので、出来るだけ離れてキャンプする。俺にとっては有難い。もう1年近くゴブリン達と暮らしているので何だか人間は苦手なのだ。
次の日は他の冒険者が起きだす前に出発する。俺達は目立ちすぎるから。
「今日は出来るだけ早く移動するぞ!オークの魔石が重すぎるからもう要らん!」
「了解ごぶ!」
「わかりましたわ。」
「主がそうおっしゃるなら仕方無いでござるな。」
オークが襲ってきたらバーバラのハイライトで目つぶしして、その場から逃げる事にする。どうしても逃げ切れない時だけオークを倒す作戦だ。こうしないと魔石が重すぎて俺が倒れてしまう。いまでも40キロ位の重さがあるのだ。
それからの俺達は凄い速度でダンジョンを移動した、攻略本で罠を回避し、オークが襲ってきたらバーバラの目つぶしで動きが止まったオークを尻目に次の階層を目指して走り回った。そして午前中の早い時間にに20階層にたどり着いた。ゴブ吉の魔力は満タンである。バーバラの魔力もハイライトしか使ってないのでまだ十分に余力が有る。オークが来ないうちに俺達は階層主の居る20階に走りこんだ。
「ぜ~!ぜ~!・・・ごぶ・・やれ!」
「分かった・・ぜは~!・・ごぶ!」
真ん中に2メートル超えの大型ハイオーク、左右にオークソルジャーとオークメイジがいたが、走りすぎて息が切れてる俺達には見てる余裕はない。先制攻撃あるのみである。
「バーバラ!ハイライト撃て!」
「アーサー迎撃!」
息が切れてファイアボムを撃てない様なので、バーバラとアーサーに任せる。二人はゴブ吉よりクラスが上なのでまだ体力に余裕があるようだ。
「ハイライト!」
「身体強化!スキル斬撃!みだれ桜!」
ゴブ吉と俺が息を切らせてゼ~ゼ~言ってるうちにバーバラのハイライトで動きの止まったオークにアーサーがスキルを発動させた。両手に持った2刀から無数の真空刃がオークに飛んでいく。5体同時攻撃だ。いつの間に覚えてたのかさっぱりだ。5体は同時にバラバラになり魔石に変わった。アーサーが強すぎてオークの実力が全く分からなかった。
「ゴブ吉、今度一緒に走り込みだな。」
「面目ない・ごぶ」
5個の魔石を拾い、転送陣でダンジョンから出る。そのままギルドに行って魔石を買い取ってもらった、オーク層での最高記録だそうで470個も有った。重いはずだ、俺がへ垂れるのも無理ないな。ゴブ吉が息切れしてたのもしょうがない、だってゴブリンだもの、アーサーやバーバラが異常なだけだ。
宿に帰って晩飯を食べる、金は今は幾らでも有るのでジャンジャン美味そうな物注文する。今日だけで500万ゴールド近い稼ぎなのだ。それから温水シャワーを浴びて反省会だ。アーサーとバーバラは反省点が無いので自由時間にした。小遣いを10万づづ渡して遊びに行かせた。
「おい!ごぶ、このままではお前はシャワー係になるぞ!」
「分ってるごぶよ!おのれ~俺の子分のくせに生意気ごぶ!破門にするごぶ!」
「馬鹿!俺達が破門されそうジャン!」
「なさけね~ゴブ。」
「兎に角お前、クラスチェンジしてあいつらと同じランクになれ、高い魔導士用杖買えば何とかなるかもしれん。」
こうして俺とゴブの作戦会議は終わった。俺はポーターの事について考えていた。ゴブ吉に高い杖を買ってやるためには、沢山の魔石を運ばなければならないのだ。次のオーガの魔石はオークよりも大きくて重いだろうから絶対に荷物を運ぶ奴が居るのだ。
「ただいま、マスター」
「おう、お帰りバーバラ。買い物したのか?」
「はい、服を買ってきました。見て下さいまし。」
買って来た服を嬉しそうに着替えている、うむ、凄いナイスボディーだ。まだ隠れて着替える事は学習してない様で大変にけしからん。やっぱり、3人部屋と1人部屋に分けないと色々まずいな。俺の理性が崩壊する。
「どうですか?マスター」
「うん、良く似合ってる。チョット服が小さい様だが?」
「これが今の流行りらしいですわ。」
う~ん凄い流行りだ。胸を強調して太腿は偉く露出して太腿の奥の魔境が見えそうだ。俺は嬉しいが他の男に見せるのはけしからん。
「バーバラ、その服外で着るの禁止な。」
「当たり前です、こんな服外じゃきれませんよ。男の目がウットオシイですからね。」
なんだバーバラは分かってやってたのか、知能が上がり過ぎだろう、もう人間の女と変わらない位頭が良くなってる様だ、クラスチェンジってスゲーな。次クラスチェンジしたら俺より賢くなりそうだ。捨てられない様に頑張らないとな。
「え~、バーバラ君、今日は寒いから一緒に寝ようか?」
いつ捨てられても良い様に今の内に、触りまくろうと思ってバーバラに言った。
「ふふふ、マスターを温めてあげますよ。私の体で・」
その日俺はバーバラの胸の中で寝た、でっかい胸にも沢山触ったし、もんだ、すいつくような肌触りで柔らかかった、その後胸に顔を埋めて寝ると物凄く落ち着いた気分になった。よし、もう捨てられても平気だ、でもバーバラも何故か喜んでいた。
ゴブ吉やアーサーはいびきをかいて寝ていた、やっぱり疲れていたようだ。
明日はポーターを探して、ダンジョンだ。今日より厳しい戦いになるだろう、俺達の力がオーガに通じるかどうかはまだ分からないが、オークとは比べ物にならない位強い魔物らしい。その代り魔石が1個3万もする。それに経験値が美味しそうだ、オークでは俺達に経験値が殆ど入らなくなってきていたので、明日からはレベルアップが狙えるのだ。ゴブ吉のクラスチェンジをしないと、路頭に迷いそうだ。既にアーサーやバーバラは自力で生きていけそうだからな。