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ゴブリン召喚士  作者: ピッピ
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第6層 無双



 ブモ~!!オークが雄たけびを上げる!5匹のオークが俺達に襲いかかってきた。そして俺とゴブ吉は何時もの定位置に移動する。そうパーティーの後ろの安全地帯だ。前衛のアーサーがあっという間に3匹のオークを切り伏せる。そしてバーバラは光魔法で残り2体のオークの目を眩ませけん制している。そして俺達は前衛二人の応援だ。クラスチェンジした二人はそれはそれは強かった、俺たちが必要ないほどに。


 5匹のオークを危なげなく倒した二人は魔石を持って俺の所にやって来た。


 「マスターマセキデス・ドウゾ」


 バーバラが胸を揺らせながら俺の所に持ってくる。アーサーは周りを警戒している。流石剣士だ。だらけきった俺とゴブ吉とは全然違う。


 「おお、ありがとう。バーバラ。」


 「モウスコシ・オークカル・ヨイ?」


 「良いぞ!どんどんオークを狩って、レベルを上げてくれ。アーサー。」


 そしてオーク狩に行った二人とは別に、俺とゴブ吉は食事の支度だ。


 「ゴブ吉、魚取りに行こうか?」


 「ウン・ごぶ」


 完全に戦力外になった俺とゴブ吉は川にトボトボと歩いて行く。この3か月間全くレベルアップしてない、というか戦ってない。俺達は魚を取る技術だけが上がっていく、もうすぐスキル魚取り名人が付きそうだ。


 「ゴブ吉取れたか?俺は5匹取ったぞ。」


 「サン・トッタごぶ」


 「うん?何だ今の?」


 ゴブ吉の魚の取り方が変だった、道具を使ってないのだ。


 「ゴブ吉、もう一回魚とってみて。」


 「ウン・ごぶ」


 ボコん!水面が少し盛り上がった、そして魚が浮いて来る。


 「ゴブ吉、今の魔法か?」


 「ソウ・ファイアボム・ごぶ」


 何度かやってもらったが、水中の魚の頭のすぐそばでファイアボムを爆発させると魚が気絶して浮いて来るのだと言う。


 「ゴブ吉、これは使えるかもしれんぞ!俺たちが一軍に復帰出来るかも・・」


 「!!!ナンデモ・ヤル!ゴブキチ・デキルオトコニナル!ごぶ」


 ゴブ吉が興奮している、今までで一番長く喋った事からも興奮の程度がわかる。


 それから俺はゴブ吉のプチファイアボムが使えるかどうか実験した。まずどの程度先まで爆発できるか実験する。ゴブ吉から1歩づつ離れて俺の足元にファイアボムを撃ってもらう。最高10メートル程届く様だ。

次に一番大事な実験だ。


 「ゴブ吉、水の中じゃなくて木の中に打てるか?」


 色々やった結果、生きてる者の中でファイアボムは発生しなかった。だが、これは使える!


 「ゴブ吉、俺達に時代が来たようだ。」


 「ホントウごぶカ?」


 「魚食ったら、使い方を教えるからな。期待していろ。」


 そうして4人で魚を食ってる間中俺はニヤニヤしていた。


 「アーサー、バーバラー、昼から俺達も一緒に行くぞ。ゴブ吉の必殺技の訓練だ!」


 「アルジノ・ミココロノママごぶ」


 「ウレシイ・イッショごぶ」


 それから俺達は4人でオーク狩に行く。3匹のオークを見つけた俺達は2匹をアーサーが瞬殺、残る1匹にバーバラの目つぶしを食らわせる。目が見えなくなったオークが腕を無茶苦茶に振り回し暴れている。


 「ゴブ吉、オークの耳の中にファイアボムを撃て!」


 「ごぶ!」


 オークの頭の位置をじっと見ていたゴブ吉が魔法を発動させる。


 ぱん!という乾いた音がオークの耳から聞こえた。オークは棒立ちになって耳から煙が出ている。


 「パン!」


 今度は反対側の耳の中から破裂音がした。そして耳から血を噴き出したオークはその場にぶっ倒れた。


 「今だ、ゴブ吉!」


 ゴブ吉が倒れたオークの喉をナイフで切り裂き止めをさした。


 「ふっふっふ、お主も悪よの~。」


 実際えぐい狩り方だった。が、ゴブ吉はニコニコしていた、自分が再び一軍に帰って来たからだ。これからは食事当番とは言わせないつもりだった。自分がシショウの一番弟子なのだ。


 それからゴブ吉の無双が始まった、今までの鬱憤をはらすかの如く朝早起きして単独でオーク狩に行った。昼飯時に10個以上の魔石を持って帰ってくる。昼飯を食ったらまた晩飯までオークを狩りに毎日出かけるのだ。そして又10個以上の魔石を持って帰っていた。

 ゴブ吉の通った後にはオークが居なくなるので、アーサー達はゴブ吉の反対方向の森の奥に入っていた。

アーサー達も毎日10個以上の魔石を持って帰ってくるのだ。

 そして俺は毎日、食事当番だ。3人の為に美味しいご飯を作る為に俺は存在する。ゴブ吉が経験値を稼いでいるので俺も何故かレベルアップしていた。魚取ってるだけだけどな。


 毎週ギルドで200万ゴールド以上稼いでいたら、ギルドマスターに呼ばれた。


 「随分と稼いでるじゃないか。Eランク冒険者で毎月1000万稼ぐやつなんて聞いた事がないぞ!」


 「はあ・・・・・」


 人間嫌いの立派な引きこもりになっていた俺は、人間と話をするのが心底嫌になっていた。だからこのオッサンにも気のない返事をしていた。


 「オークを狩るのが得意みたいだから、特別クエストをお前に任せたい。」


 「はあ・・・・」


 なんでもオークが異常発生している森が有り周囲の森に被害が出始めている処があるらしいので、俺に討伐に行って貰いたいらしい。成功すればギルドランクを上げてくれるそうだ。

 ギルドランクなんてハッキリ言ってどうでも良かった。森の中ではそんなもの何の意味もない、またランクもEだが月1000万ゴールド稼いでいるのだ。Bランクのパーティー並みの稼ぎなのだ。断ろうと思ったが、オッサンがしつこいので早く森に帰りたくて承諾した。


 「あ~めんどくせ~、人間助けに行くのだり~、つうか、話したくない。」


 森に帰った俺は、3人に愚痴をこぼしまくっていた。


 「デモシショウ・ココ・モウ・オークナイ」


 そうなのだ、オークを狩りすぎてこの森にはオークがほとんど居ないのである。絶滅寸前状態なのだ。


 「アルジガ・レベルアガル・ブカノホマレ」


 「シモジモ・タスケル・エイユウのサダメ」


 3人が乗り気みたいなので渋々おれも納得してその場所に行く事にする。馬車で5日ほどの所だそうだ。ギルドが馬車と御者を用意すると言ったが俺は断った。知らない人間と5日も一緒居るのは嫌だからだ。そこで次の日俺は中古の馬車を買った。ついでに武器屋で一番高い剣と二番目に高い剣を買い、アーサーの両方の腰に装備させた、ゴブ吉とバーバラにも一番高い杖を装備させてやった。それでもまだ金が余ったので俺様に最高級の調理器具を買った。


 「さて、行くか。」


 一頭だての馬車でのんびり村に向かった。


 途中で盗賊に襲われる事もなく5日後村に到着してしまった。盗賊なんて滅多に居ない、冒険者だらけのこの世界で盗賊が出来るなら魔物狩ってる方が金になるからだ。盗賊には通常賞金がかけられるので、冒険者に死ぬまで追われるのだ。


 さびれた小さな村に馬車で入っていくと入口を守っていた、若い男に声を掛けられた。


 「止まれ!、この村に何の用だ!」


 何だか喧嘩腰である、俺が若いのでなめてるのだろう。3人はゴブリンだから小柄だしね。


 「村をオークから守りに来たんだが、要らないなら帰るわ。」


 最初から来たくなかったので俺は生意気な門番の男に言った。


 「まっ待ってくれ!村長に会ってくれ!」


 若者は青い顔をして俺達の馬車を追いかけてきた。 


 「めんどくさいな~」


 悪態をつきながら村長の家とやらに案内された。そこに小柄な爺さんがいた、多分村長だろう。


 「え~、ギルドマスターからこの村を救えって言われたから来ました。」


 「かなりお若い様ですが、相手はオークですが大丈夫ですか?」


 村人では5人がかりで1匹のオークを追い返すので精一杯だという、またオークに畑や人間が襲われて大変困っているらしい。


 「オークは毎日50匹位狩ってるから大丈夫です。」


 俺達小柄な若造が嘘をついてると思ったらしい。村長や周りの村人の顔にモロに出ていた。


 この村などどうでも良かったが、説明するのも面倒なので馬車の馬の世話だけ任せて、俺達は直ぐに近くの森に入った。


 「は~、やっぱ俺人間嫌いだわ。人を疑ってばかりだもんな。」


 俺はまたまた3人に愚痴をこぼす。人間と居るよりコイツラと居るのが楽なのだ。こいつらは嘘をつかないし人を疑うことも無いのだ。毎日安心して話せるし生活できるのだ。


 「アイツラ・シツレイごぶ!」


 「アルジをウタガウトハ・オロカ」


 「フフフ・ゴミドモニハ・マスターのイダイサはワカラナイ」


 多分俺が命じれば喜んであの村を滅ぼしそうな3人は、俺が馬鹿にされた事を怒っていた。オーク程度に怯えている村人にコイツラの強さが分かったらびっくりするだろうな~等と考えていたらヤッパリ見かけだけで判断する人間がもっと嫌いになった。


 「さあ早いとこオークをせん滅して、俺達の森に帰るぞ。こんな所に長く居たくない。」


 森の中にどんどん入って行く、普通の冒険者には無理な速度だが、俺達は森に棲んでるオークハンターなのだ俺達にとってオークなどただの魔石の元なのだ。全く恐れもせずに10キロ程入った所でオークの村を発見した。家を作り集団で生活してる様だ、オークの上位種が生まれると村等をつくり組織だって人間を襲うと聞いた事が有る。きっとこれがそれだろう。

 200匹程のオークが居るようだが俺達はそのまま村の中に入っていった。


 油断しきっていたオークの内の何匹かが俺達に気が付き警戒の声を上げた。


 「ぶも~!!!!」


 村中のオークが俺達に襲い掛かってくる。


 「うんじゃ、やるか!」


 向かってくるオークの目の前にバーバラのハイライト魔法がさく裂する。これは光魔法の上位魔法で物凄くまぶしいのだ、目をつぶっていても瞼を通して光がチカチカする位の光量がある。


 目が見えなくなってウロウロしているオークに、アーサーが突っ込んでどんどん首を落としていく。2刀を使いだして益々早くなったアーサーは1分間に20匹位首を狩っている。ゴブ吉は周りのゴブリンにファイアボムをどんどん撃っていく、ゴブ吉の周りは耳から血を流し倒れているオークだらけだ、そこに俺が乱入してオークの首をナイフで切り裂く。

 戦いでも何でもないただの虐殺だ、オーク如きでは俺達に勝てる訳ないのだ。


 3分程で100匹程のオークを倒した所で、村の一番奥からひと際大きなオークが出てきた。多分これが上位種だろう、2メートルを軽く超える大型オークが俺達に向かって来た、配下を殺されて怒り狂ってる。

10メートル位近づいた所でハイライトがさく裂し、オークの視力を奪った、続いてゴブ吉のファイアボムが両耳でさく裂、白目をむいて倒れた所にアーサーが行きあっけなく首を落とした。上位種が指一本触れられ無いで死んだので、残りのオークは狂ったように逃げ出した。


 「オイマスカ?マスター?」


 「面倒くさいから、もう帰ろう。」


 オークの血で真っ赤の染まって気持ち悪いので帰る事にする。あれだけ怖がっていたら当分森の外には出ないだろう。


 「シショウ・オレ・クラスチェンジごぶ。」


 「アルジ・セッシャモ」


 「マスター・ワタシモ」


 今の戦いで大量の経験値を得たらしい、あのオーク達は結構レベルに高いオークだったのかな?


 「それじゃあ、まず村に帰って飯食ってからクラスチェンジだ。オークの血だらけでクラスチェンジするのも嫌だからな。」


 そうしてオークの村中に落ちていた魔石を拾い集め、俺達は村に帰っていった。村に帰り、水浴びして体を綺麗にする。バーバラの体は見納めになるので、背中を拭いてやろうとか言って、ちらちらCカップ位の胸を盗み見した。実は少し不細工顔だがおっぱいが大きなバーバラを俺は結構気に入っていたのだ。遠慮せずに触っとけば良かったな~と思いながら服を着替えた。


 広場で飯の支度をしていると、村長がやってきた。


 「今日の探索は、終わりですか?」


 「オークなら、オークの村を見つけたからせん滅したぞ!」


 「ななんと!・・まさか、・・・」


 村長は信じられない様だ。僅か半日でオークをせん滅出来る者が居るなど聞いた事が無い。しかも、

目の前のは4人の小柄な若造達だ。


 「疑ってるんだろう?爺さん。」


 「当たり前だ!お前らが、ガキがオークの村をせん滅出来る訳ね~だろ!」


 門番をしてた、若者がわめいている。


 「しかし、村に帰って来た時にオークの血で4人共血まみれだったし・・・」


 面倒になった俺はオークの魔石をみせてやった。背嚢から100個以上のオークの魔石が零れ落ちる、そしてひと際大きな上位種の魔石を村長に見せる。


 「これが上位種の魔石だ!そして取り巻き共の魔石だ!」


 「・・・・・・・」


 どうやら、今度は信じた様だ。村人たちは青い顔をして家に帰って行った。オークが居なくなったのだから喜べば良いのに。オークなんかよりもっと恐ろしい者達が村の中に居るのに気づいたのかもしれない。

何となく居心地が悪くなったので、晩飯を食ってそのまま村を出てギルドに向かう、ゴブリン達は夜目が利くので夜でも平気だ。


 「人間相手はめんどくせ~」ゴブリン達になだめられながら俺達は帰る。




 



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