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ゴブリン召喚士  作者: ピッピ
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第3章 ミニチュアゴブリン



 朝早く起きて広場で朝食を済ませた俺達は又森に来ていた。昨日と同様ゴブリン狩のためだ。金と経験値を稼げるので凄く割が良いのだ。それにレベルアップすればするほど強くなるので益々楽に戦える様になる・・

俺以外は・・・。


森の中でゴブリン狩りに励んていたが、俺はレベルアップしても意味が無いのでゴブ吉に経験値をあげることにした。あっゴブ吉ってのは、昨日召喚したミニチュアゴブリンの事。物凄いゴージャスな名前も考えたけど単純に呼びにくいのでやめた。

 スライムを半殺しにしてゴブ吉に止めをささせていたら、レベルアップしたみたいだ、元々が弱いので大したこと無いが俺よりはましみたいで、平均2づつ能力が上昇していた。その後もゴブリンの止めをささしていたら又レベルが上がった。このミニチュアゴブリンはレベルアップし易い魔獣の様だ、でもレベルアップし易いのは弱い証拠なんだ、多分ミニチュアゴブリンはは普通のゴブリンの劣等種。だからゴブリン倒しただけでレベルが上がるんだと思う。


 「ゴブ吉、またレベル上がったじゃん!」


 「ゴ~ブ~!!!」何だか変なポーズをとっている。


 このゴブ吉、スライム倒しただけでレベルが上がるお得なゴブリンだ。まあ元の能力が低いので物凄く沢山レベルアップしないと役に立たないんだけどね。どうせ見ても大したことが無いので既にステータス確認をしなくなった。後の二人は上がるたびに嬉しそうにしてるが、俺には関係ない話だ。リア充爆発しろ!仲間の成長を始めは直に喜んでいたが、今は全然嬉しくない、自分が駄目人間なのを自覚してどんどんヤサグレていっているのが分かる。まさか自分がこんなに狭量な人間だったとは・・・今や自己嫌悪の塊である。一緒に狩りをするのも面倒くさくなってきたので、ゴブ吉を連れて狩りをする様になった。


 「ダイ君どうしたの元気ないよ?」


 「自分が強くなれないからって、不機嫌な顔するのはやめなさいよ!」


 「・・・・・・」ハッキリいってエルザは正しい、正論だ。正論だからこそ一番傷つくのだ。


 「よし、ここでこのパーティーは解散しよう。お前らはスキル持ちを募集しているパーティーに入れ。俺はこれから別行動をとる。」


 「ダイ君そんなの駄目だよ、力を合わせて頑張ろうよ?」

 まだ子供のケンタは慌てて言った。


 「そっちの方が私には都合が良いわ、良いパーティーに入れれば、楽して稼げるしレベルアップもしやすくなるしね。」

 

 エルザはこういうやつだ、最初から分かっていた。自分の利益だけを考えるやつだ。金を持ち逃げされる 前に別れようと最初から思ってたんだ、都合が良いから今言い出しただけだ。


 「ケンタも剣士のスキルもちだから条件の良いパーティーをギルドで紹介してもらえ。剣をもらえるパーティーに入れば良い。そして剣術を教えて貰うのがベストの方法だ。」


 ケンタは悪い人間じゃないので最善の方法を教えてやる。やるかどうかはケンタ次第だ。


 「じゃあね!バイバイ!」あっさりそう言うとエルザは街に帰っていった。


 「ダイ君、僕はどうすればいい?」


 「さっき言った通りにしろ。それが最速で強くなる方法だ。」


 俺が一度言い出したら聞かない事を知っているケンタは寂しそうに街に帰っていった。


 こうして孤児院出身者3人のパーティーはあっけなく消滅した。


 そうして俺は立派な引きこもりになった。まあ部屋じゃなくて森に引き篭もったんだけどね。そして一週間に一度魔石を金に換えに街に行く生活が始まった。ゴブリンを狩りまくっているので週の稼ぎは4万位になる、街では塩や調味料やパン等を買うだけなので結構余裕のある生活だ。

 魚や兎を自分が食べる分だけ狩るのは簡単だった。今まで他の人間の分まで狩ってたのが馬鹿らしくなる生活だ。自分の為だけに生きる自由を満喫し、ゴブ吉を育てて遊んでいた。


 「ゴブゴブ!」ゴブ吉が凄く喧しい。

 いつも以上に手足を振り回しながら何か言ってる。


 「ゴブゴブゴブ!」

 残念ながら何を言ってるか分からないが、何か伝えたい事があるのは分かった。


 「どうしたんだゴブ吉?」

 考えても全然分からないので、俺はゴブ吉のステータスを見てみた、状態異常なら表示されるからだ。


名前 ゴブ吉

種族 ミニチュアゴブリン

レベル 20

HP  90

MP  35

力   90

体力  80

速さ  90

知力  90

スキル カクレンボ・レベル1 


 「へ~凄いじゃんゴブ吉、人間並みの強さになってるぞ。良かったな。」俺の努力が実ってゴブ吉は人間よりチョット弱い程度のゴブリンに成長した。でもまだ何か騒いでる、ステータス自慢したいわけじゃないようだ。


 そして小さな手で俺の足をピシピシ叩いている。何か俺に関係している様だ。言葉が分からないのは本当に厄介だなあ~、と思いながらも自分のステータスを開いてみる、


 「なんだこれ?」何かステータス上に光るものが有るのだ。


 「進化させますか?YES OR NOだと。つまりゴブ吉が進化するって事か?」

 

 「え~と進化先は、メイジとウオーリアーだな。」


 「おいゴブ吉、メイジとウオーリアーどっちが良い?」

 何か棒持ってかっこつけてるな、何かわからないけど多分メイジだろうな、ミニチュアサイズだからウオーリアーになっても役に立たないよな。


 「それ、ポチットな。」

 

 魔法陣がゴブ吉の足元に浮かび上がり発光する。何かゴブ吉のくせにカッコよい。発光が収まるとそこには少し大きくなったゴブ吉がいた。


 「お~やったなゴブ吉!大きくなったぞ!」

 そう、50センチ位しかなかったのが今では80センチ位になった。まあ、大して変わらんけど・・・


 「アリガト・・ゴブ」


 「・・・・・・喋った?おいゴブもう一度言ってみろ」


 「オヤブン・・アリガトごぶ」


 とうとう俺のゴブリンが喋る様に進化した。もしくは俺がゴブリンの言葉が分かるようになったかだ。

まず、ゴブリンのステータスを再度チェックする。


 名前 ゴブ吉

 種族 ミニチュア・メイジゴブリン

 レベル  1

 HP  90

 MP  90

 力   90

 体力  80

 速さ  90

 知力 100

 スキル プチ・ファイアー


 「お~魔法が使える様になってる、すげー。」


 ゴブ吉に魔法を使って貰うと、指から小さな火が出た、たき火の種火位にはなりそうだ。今からこいつをたき火当番にすることにした。俺の弓を渡して魚を取らせてたき火をさせれば完璧だ。毎日楽して魚が食えるようになる。

 久しぶりに自分のステータスを見てみる。

 名前 ダイ

 種族 人族

 レベル 15

 HP  110

 MP  110

 力   100

 体力  100

 速さ  100

 知力  120

 スキル 召喚魔法ゴブリンのみ ゴブリン育成 ゴブリン語理解


 レベルを10上げたのでHPとMPが10上がってた、まあ誤差の範囲だな。毎日走り回っってたら流石に成長するからな。問題なのはスキルだ。ゴブリン育成はゴブ吉を育ててたから習得したんだろうな。ゴブリン語理解はさっきゴブ吉の言葉が分かるようになったから習得した事になったんだろう。


 それからは俺は半日かけて弓での魚の取り方とたき火の仕方を教えた。進化して知能が人間並みになったせいかゴブ吉はすぐにやり方を覚えた。ゴブ吉の魔法のおかげでたき火をするのが物凄く楽になった。そりゃそうだ火魔法を使える人間は大きな街にも滅多にいないくらい珍しいのだ。魔物を倒す役には全然立たないけど・・・・。

 因みに魔物を魔法で倒せる魔法使いは王国の魔術師かAランク以上の冒険者位しかいない。というか見た事が無いので分からない。普通は鍛冶屋や厨房などで火を起こして代金を貰って生活してる者が多い様だ。


 ゴブ吉を使って火起こしをすれば10軒位と契約して1万ゴールド位になるな~等と考えていたが、どうも俺は街に行きたくない。と言うか人間の顔が見たくないのだ。仲間の一件で人間不信になったらしい。しょうがないので気楽な森の生活を続けることにした。


 「ケンタ、デキタ」

 

 ゴブ吉が魚を取ってきて焼いてくれた。ナイフの使い方を教えたら、ちゃんと木を削って魚の串焼きを作り塩までふりかけるようになった。ゴブ吉有能!


 「ケンタ出来たじゃね~!魚焼けた、だ!」


 俺は自堕落になりゴブ吉に食わせてもらうようになった。たまにゴブ吉のレベルアップの為にゴブリンを狩りに行くくらいだ。自分のレベルアップやステータスには全く興味がわかなくなっていた。まあ人間なんてこんなものだ、だって人間だもの。


 そうやってグ~タラやって1ヶ月程たったら塩等の生活用品が無くなった。しょうが無いのでおれはため込んでいた魔石を持って街に買い出しに行った。

 ギルドで魔石を交換したら4万3千ゴールドだった。一月でこれだからどの位サボってたかわかるだろう。適当な店で塩や調味料を買いゴブ吉の腰布にでもする予定で布切れや紐なんかを買って街中をフラフラしていたら嫌な奴にあった。


 「あら、ダイじゃない。」


 「なんだ、エルザか。」


 「随分みすぼらしい恰好してるわね。」


 「余計なお世話だ!」


 なかなか羽振りが良さそうだ。革の軽鎧を着てナイフを2本胸に刺していた。総額80万ゴールドってところか。良いパーティーに入った様だ。


 「まだ、最低ランクなのね、私は上のランクに上がったわよ。ケンタもこの間上に上がったわよ。」


 エルザは自慢げにランクタグを見せていた。


 「それはおめでとう。俺の分まで頑張ってくれ。」

 こいつと話しても不愉快になるだけなので俺はその場を立ち去った。


 「ハハハハハ、ゴブリンと仲良くね~!」


 クソ女は大笑いしながら俺に言った。


 くそ絶対見返してやる!一生恨んでやるぞ!エルザ!お前が困っている時に大笑いして踊ってやる!

 俺はそう誓った。でも口には出さなかった。


 俺は大急ぎで森に帰りゴブ吉に言った。


 「ゴブ吉!明日からは特訓だ!お前を強くしてやる!」


 いくらレベルアップしても俺は強くなれないので、ゴブ吉を強くすることにした。


 「シ・シショウ」


 どこで覚えたか知らないが、ゴブ吉は賢くなっていた。


 「明日からはきついぞゴブ吉!頑張れよ!」


 そう言って俺は今日買って来た、干し肉やパンをゴブ吉に腹いっぱい食わせた。そして腰布を作ってやった。


 「シ・シショウ・・イッショウ・・ツイテイク」

 初めて干し肉と腰布を貰ったゴブ吉はチョロかった。まあ、ゴブリンだからね。


 






  




 



 





 


 


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