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ゴブリン召喚士  作者: ピッピ
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第28章 海賊退治


 護衛を船に乗せる事にしたので一安心だが、万が一の事が有るので早急に海賊を退治しないといけない。そこで俺は人魚達の所に行った。別に人魚に守ってもらうとか戦ってもらうつもりは無い。彼女達は銛しか持っていないので海賊相手じゃ分が悪いのだ。海中なら強そうだが。


 「人魚さん、頼みが有るんだ。」


 「どうしたのです、男爵?」


 「俺達の船が悪い奴に襲われているんだ、助けて欲しい。」


 「その件については聞きました、助けたいのですが私たちは弱いから無理です。」


 「戦わなくて良いんだ、海賊の帰る場所を教えてくれないか?俺達が戦うから。」


 「成程、それなら私達にも出来そうですね。海の中から海賊の船をつければ良いだけですから。」


 「頼むよ、お礼はするから。」


 「お礼なんか要りません。いつも良くして貰ってますから恩返しです。皆に伝えますね。」


 人魚さんは仲間の所に帰って行った。これでうまくいけば海賊のアジトが分かるはずだ、場所さえ分かればゴブリン部隊の出番だ。陸上ならゴブリン隊で殲滅。万が一船の上で生活していた場合は泳げる俺とゴブ吉で攻撃して、最低でも敵の船は全部沈めるつもりだ。


 「船長具合はどうだ?」


 「ああ、3日も休んだからもう大丈夫だ。」


 「海賊って何処から来てるんだと思う?」


 「あの船のサイズからして、かなり近いと思う。元は漁師だろうな。」


 「漁師なら魚取ってれば良いのにな。」


 「そうなんだが、何処にでも楽して金を欲しがる奴が居るからな~。一度でも成功すると失敗するまでや  めね~んだ。」


 「失敗すると終わりなんだがな。」


 「あの手の奴らは、自分だけは上手く行くって何故か思ってるんだ。」


 船長に話を聞いた俺は今度は造船所に向かった。


 「どうだ、出来たか?」


 「おう男爵、出来てるぜ。何時でも船に装備出来るぜ。こいつで海賊をギャフンと言わせてやる。」


 船用の大型バリスタを船に装備することにした、前回は普通の矢だから良かったが、火矢だったら船が燃えるかも知れないので、近づく前に攻撃するのだ。大型なので100メートル程飛び大型の矢は船体に突き刺さるはずだ、人間に当たるとひとたまりも無いので、接近して来ないと思うのだがどうだろう。

 これを船の前後に2基据え付ける様にした。


 「でもどうなんだ?人間相手に戦えるのか?」


 「漁師は元々血の気が多いんだ、海賊相手なら容赦しねえよ。」


 後は、人間の船員が本当に戦えるのかどうかが問題だった、俺やゴブリン達は相手が誰でも戦うが、兵士でも無い船員が本当に戦えるのだろうか?


 「うちの護衛5人乗せるから宜しく頼むよ。あいつらゴブリンだから水の上は苦手なんだ。」


 「へえ、あいつら海駄目なのか、凄く強いのにな。」


 こうして武装と護衛を乗せた俺達の船は再び交易に就いた。何度か襲われたが、バリスタで攻撃すると海賊たちは逃げて行った。そんな事を繰り返していた時に人魚から情報が入って来た。


 「男爵様、悪い人達の住処を見つけました。」


 「ありがとう、場所を教えてくれ。」


 人魚達に場所を聞いたが良く分からない。何処かの島らしいが海には目印が無いのだ。そこで人魚に先導してもらうことに成った。俺達の船なら半日位で着く距離らしい。


 「アーサー、戦闘員を集めろ。夜中に出撃する。」


 「分かり申した、主殿。」


 「夜に行くゴブか?暗いゴブ。」


 「マスターには何かお考えが有るのですよ。」


 俺の作戦は夜相手のアジトに近づいて、明け方に攻撃を仕掛けるという単純なものだ。ゴブリンは夜目が効くから野戦でも有利に戦えるのだが、やはり野戦は同士討ちが怖い。それにあいつらを一人でも逃がすと後が厄介なので、明るくなってから襲撃する事にしたのだ。勿論俺達4人が全員行くので負ける事はない。

 人の船は交易に行かせてるので、今回は俺達ゴブリン船だけで出撃する。オールの軸には布を巻いて音を立てない様にしている。後は人魚に先導してもらうだけだ。


 「人魚さん、海賊の島まで案内たのむよ。」


 「任せて、男爵様。」


 水面から顔だけを出した人魚達が、船を案内してくれる。人魚が本気で泳ぐと物凄く早いので俺達に会わせてゆっくり泳いでいる。彼女達は潜るのも凄くて人間ではとても潜れないほどの深さまで行けるのだ。良く俺に深いところで捕れた貝を持って来てくれた。

 こんなに凄くて優しい彼女達なのだが、襲う人間がいるのだそうだ、何でも見世物にしたり殺して不老長寿の薬にするのだそうだ。それで、危険な場所から俺の領地へと大勢集まって来ていた。俺の領地の人間やゴブリンは人魚を襲わないから。


 何時間か船を進めていると、島が幾つか見えてきた。暗いのでハッキリと見える訳ではないが、点々と島がある海域の様だ。


 「いっぱい島が有るゴブね~。」


 「有るな、もう俺は帰りの方向が全然分からないぞ。」


 「大丈夫です、主殿。拙者も分かりません。」


 「マスター、海の上は落ち着きませんわ。」


 やはり海の上は怖い、特に夜の海は凄く怖いのだ。もし船から落ちたらどうしようかと考えてしまう。海に落ちても泳げるから平気なのだが、どこまで泳げば陸に着くか分からないから怖いのだ。今度から海に落ちても良い様に、板切れでも積んでおこうと思った。


 「男爵様、男爵様。」


 「どうしたんだい、人魚さん?」


 海面から顔を出している人魚に向かって、俺は恐る恐る船べりから顔を出して聞いた。


 「もう直ぐですよ、男爵様。」


 「どの島だい?」


 「あっちの島です。向こうに入江がありますよ。」


 一体どうやってこの暗いなかで分かるのか知らないが、向こうの島らしい。俺には全然見分けがつかないが彼女達には分かるのだろう。きっと俺達が森の中で道が分かるのと同じようなものなんだろう。


 「よし、向こうの入江からゆっくり入るぞ。」


 「へい、男爵。」


 「おい、お前ら静かに漕げ。」


 この船の船長である、ジェネラルウォーゴブリンに指示をだす。身体がデカいので声も大きいから冷や冷やする。ウォーゴブリンは力が強く体が大きいのが特徴のゴブリンだ。ゴブリンは普通小さいのだが、ウォーゴブリンは、150センチ位で筋肉質なのだ、ハイウォーゴブリンになると170~180センチでオークと同じぐらい力がある、ジェネラルウォーは2メートル位有りオーガ級の力を持っている。ただし頭は余り良くないのが特徴のゴブリンだ。そして全ゴブリンの中で一番好戦的なのだ。


 「日の出と共に、入り江に突入する。いいか、船長。」


 「へい、任せてくだせい。」


 「野郎ども、男爵様のお役にたつぞ!」


 「「「おう!!!!」」」


 「頼むから、静かにしてくれ、俺達が居るのがバレてしまう。」


 「へい、すいやせん。」


 俺達の船は入り江の少し沖で静かにたたずんでいた。日が出れば一気に突入して上陸する手はずだ。皆手元に武器を用意している。



 「なんか、緊張するゴブな。」


 「ああ、ゴブ吉は海賊の船を全部しずめろよ。」


 「近くに行ければ簡単ゴブよ。」


 「アーサーは向かってくる海賊を倒せ。」


 「お任せを、主殿。」


 「バーバラは怪我をした仲間の治療を頼む。」


 「はい、それとマスターを守りますね。」


 「うん、頼むよ。」


 情けないが俺はレベルアップしてもチットモ強くならないからしょうがない。バーバラはヒーラーだが俺より遥かに強いのだ。大体俺はオークになら1対1で勝てるが、オーガには負ける位の力しか無いのだ。


 日の出だ。辺りが段々明るくなってゆく、丁度太陽を背に入江に突入出来る位置だ。入り江の奥に桟橋が見える、海賊船が5隻つながれている。


 「人魚さん、海に逃げ込んだ海賊を頼むよ。それと海に俺達の仲間が落ちたら助けてくれ。」


 「任せて下さい、男爵様」


 「船長、行くぞ!」


 「野郎ども!力いっぱい漕げい!」


 20匹のハイウォーゴブリンの漕ぐ船はどんどんスピードを増してゆく。桟橋に向けて一直線に突き進む。見張りらしきヤツが大急ぎで村の様な建物に向かって走っていくがもう遅い。もう直ぐ俺達の船は浜辺に乗り上げるのだ。


 船体が浜辺に乗り上げ大きく揺れた。そのまま揺れが収まるのを待って全員が船から飛び降りる。何だかまだ船の上にいるような感じで、体が揺れてる様な感じがする。


 「アーサー、行け!」


 「ゴブ吉、桟橋へ行け!船を沈めろ!」


 「船長、全員を横一列の隊形にしろ!」


 俺達はジェネラルウォーゴブリンを中心にした、横一列の隊形で海賊の住処にゆっくりと歩いている。アーサーは既に、家から出て来た海賊たちをバサバサ切り捨てていた。


 「全員、突撃!」


 ゴブ吉は桟橋で船をファイアボムで穴だらけにして沈めだした。これで海賊は逃げられない。


 「マスター、あれを。」


 「どうしたバーバラ?」


 家の中から女や子供が走り出て来た。なんで女や子供がいるんだ?


 「主殿、いかがしましょう?」


 「女、子供は殺すな!」


 向かって来た海賊15名を返り討ちにし、降伏した海賊8名は手足を縛って転がしている。女が5人と子供が4人いたので、事情を聴いた所、浜辺の村からさらわれて来たそうだ。ここで海賊の慰み者にされていたそうだ。元の村まで送って行こうかと言ったのだが、海賊の慰み者になっていたのでもう村には帰れないそうだ。


 「じゃあ、俺の村に来ると良い。」


 「でも私たちは・・・・」


 「大丈夫、ゴブリン達は誰にも言わないよ。勿論俺もだ。」


 「いいんですか?」


 「良いに決まってるゴブよ。」


 「マスターに任せておけば、大丈夫ですよ。」


 縛っていた海賊を更に縄でぐるぐる巻きにして浜辺に捨てて俺達は村に向かった。悪運が強ければ助かるだろう。死ぬなら自分たちのしてきた事を後悔して死んでいくと良いと思った。


 こうして海賊騒動は終わりを告げた。




 



 


 

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