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ゴブリン召喚士  作者: ピッピ
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第27章 男爵と仲間


結局俺達は船を6隻造る事に成った。そこで船を造る専用の施設を海岸に作り一度に2隻造れるようにしたのだ。常時作業している人間は80名で、ゴブリン達が木材を運んでくるのだ。そして彼らの食事や雑用する者が20名程いて結構活気のある工房になった。村の人間のうち100名分の仕事が出来たわけだ。そして大体村の家族の一人か二人はここで働くので、家族単位の収入は凄く良くなった。


 「あれ?なんで俺はこんなに皆の為に頑張ってるんだ?」


 「領主だからじゃないゴブかね?」


 「そうか、領主ってめんどくさいな。ゴブ吉。」


 「それもそうゴブね。昔は毎日苦労したけど楽しかったゴブな。」


 「そうだな、毎日4人で頑張ってたな。最近は4人で居る事も少なくなったな。」


 「男爵様は働きすぎなのです。疲れているのです。」


 「そうかも知れんな。」


 男爵になってから、何時も誰かに見られている気がする。そして常に誰かの為に何かしてるような気がする。俺は金も名誉も要らないのに向こうから追いかけて来るのだ。毎日ご飯が食べられればそれで結構幸せなんだが、それではいけないのだろうか。


 「ゴブ吉、明日は4人で何処かに行こうか?」


 「それは楽しみゴブね」


 折角ダンジョンの街の喧騒から逃げ出して来たのに、また辺境の地でそれ以上の負担を負うとは思わなかった。多分俺は疲れているのだ。そして俺は4人の時が一番落ち着くのだ。


 翌日俺達4人は森に向かった。何をするでもなくブラブラして森のキノコや木の実等を採りながら森の中を歩く、疲れると皆で休んで話をする。そしてまた森を見て回るのだ。昼飯は久しぶりに俺が川で魚を取りアーサーが兎を狩って来る。そしてゴブ吉が起こした火にバーバラが調理した串焼き肉や魚を食べる。何だかとても充実していた。


 「何だかほっとするなゴブ吉。」


 「そうゴブな~。」


 「そうですな主殿。何だか最近モヤモヤした気分になっていたのでござるよ。拙者は主を守るのが本来 の仕事なのを忘れかけていたようでござる。」


 「そうですわね、私もマスターの世話をするのが大好きなのに我慢して他の事をしてました。何故そん 事していたのか不思議ですわ。」


 「やっぱあれかな?俺もお前らも責任感が強すぎるのかも知れないな。頼られると助けてやりたくなる んだよな。」


 「おお主どの、それですぞ!」


 「それは有るごぶね~」


 「流石マスター。そんな感じです。」


 そして皆で色々話して、もっと気楽にやる事にする。俺達は2年前には4人で森の中で魚や兎を採って生活してたのだ。男爵とか言われて無理してた様だ、ゴブリン達も今では凄まじい力が有るが2年前は醜い子鬼だったのだ、領主なので領民の安全を守るのを第一にして、後は程々にやろうと言う事に成った。


 「それじゃあ村に帰るとするか。」


 「マスターまた遊びに来ましょうね。」


 「ああ、今度は4人でダンジョンにでも行ってみるか。」


 俺達はその後、村に帰ってのんびり生活していた。オオイタ村は村長に、クニサキ町は町長にそして造船は船大工の棟梁に任せる事にした。俺はベップ温泉の担当になった。ここはゴブリンと村人、そして外部の人間が入って来るので一番調整が難しいのだ。特に外部の人間に対しては男爵という肩書が役に立つので俺はここの担当なのだ。


 「お~、またデカくなってる!」


 「ゴブリン達やりすぎゴブ!」


 最初はただの露天風呂が一つだったのに、今では巨大な露天風呂が5個出来ていた。そして温泉宿が4棟建っていた、何れも2階建の立派な物だ。そして食事処が3件もあった。

 ベップ温泉を掘りまくっているゴブリンの長に会いに行った。ここのゴブリンの長はハイゴブリンだ、戦闘スキルを持たない普通のゴブリンだった。俺の領地には2000匹のゴブリンが住んでいるが、戦闘スキル持ちは先日の戦いに参加した者達をいれて400匹で後は普通のゴブリンだった。普通のゴブリンでは知性も低く体力もないので、ダンジョンで無理やりクラスチェンジを繰り返し上級ゴブリンのハイゴブリンまで持ってきていたのだ。ただし、戦闘スキルが無いのでこれ以上上げるのは難しかった。ここら辺は人間と同じでスキルもちがダンジョンで成長するのに対して、スキルが無い人間は成長するのが難しい事によく似ていた。


 「随分と大きくしたな。長よ。」


 「客増えた、温泉いる。」


 「そんなに増えたのか?」


 「人間、俺達に温泉たのむ、俺達ほる。」


 どうやら人間に頼まれて温泉を掘りまくってる様だ。旅館も造船用に木を加工しまくっているから、そこに頼んで分けて貰ったのだろう。


 「そうか、あんまり無理するなよ。」


 「ありがと男爵、でも、あなほりたのしい。」


 ごぶ吉に聞いてみたら、穴掘りが好きなゴブリン達が土メイジのゴブリンと温泉掘って、露天風呂を造っているのだそうだ。森には木を切ったり加工するのが好きなゴブリン達が入っているらしい。土いじりが好きなゴブリンは畑仕事をやってるそうだ。勿論元は森の住民なので狩りをしたり、木の実をとりに行く者達も大勢いた。

 次にベップ温泉の人間の代表に会いに行った。


 「あ、男爵様。いらっしゃい!」


 「随分大きくなったな。」


 「最近お客さんが増えたんですよ。造船の連中が毎日温泉に入って飯食って行くし、クニサキやナルト  からもお客さんが沢山来るんですよ。」


 「へ~、そんな事になってたのか。」


 「それに、温泉って一つ一つ違うんですよ!」


 「何が違うんだ?温泉だろう?」


 「それが一つずつ温度が違ったり、色や匂いが違うんですよ。だから皆全部に入りたがるんですよ。」


 「へ~、そりゃ俺も全部に入ってみるか。」


 「食事処は、造船の連中は塩辛くて肉ばっかり頼むからそれ用の店を作りました。後は他所のお客さん  用の店も造ってみました。今では村の女が30人働いていますよ男爵。」


 「ほ~30人なら、若い女全部だな。」


 「男爵もたまには温泉に入りに来て下さいよ。皆喜びますから。」


 「ありがとう、無理はするなよ。」


 「何言ってるんですか男爵、毎日楽しいですよ。」


 ここはこの女性ツルミさんに任せておけば大丈夫の様だ。元は食堂の店員として雇ったのだが、外交的で明るい性格で皆をまとめている様だ。俺と違って社交的な性格なので仕事も楽しんでやってる様なので安心した。


 「お~、ゴブ吉、ここの温泉白いぞ!」


 「本当に白いゴブな~。」


 「不思議ですな主どの。」


 「何でもお湯の中に他の温泉とは違う物が混ざってるって話だ。それで匂いが違うらしい。」


 「温泉も奥が深いものですな。」


 「でもどれも、上がった後でも中々身体が冷えないのは一緒ですわね。」


 バーバラは一人で女風呂に入るのが嫌なので、体にタオルを巻いて一緒に入っていた。二人の時はタオルなしだが、二人に裸を見せるのは流石に恥ずかしいそうだ。何故か俺には見られても平気らしい。


 風呂からあがって名物の魚料理を食べていると、港から人がやって来た。


 「男爵様、大変です!船が襲われました!」


 「なんだって!船が!」


 大急ぎで港に向かってみるとそこには船体に多数の矢を突き立てられた船が停泊していた。


 「船長はどこだ、詳しい事情を話せ!」


 「船長は怪我をして村の診療所に運ばれていきました。男爵様。」


 今度は診療所に走ってゆく。折角温泉に入ったのにもう台無しだ。俺は船を襲ったやつに心底頭に来ていた。


 「船長大丈夫か?」


 「ああ、男爵。俺はだいじょうぶです。エリカさんに治してもらいましたから。」


 「エリカありがとう、でどんな状態だったんだ。」


 「足に矢が刺さってたんですよ、毒は縫ってなかったですが、出血が酷かったので安静が必要です。」


 「そうか、大変な目にあったな船長。」


 それから詳しい話を船長に聞いた。何時もの様にナルトから船で帰って来ていたら、いきなり4隻の船が近づいてきて矢を射かけだしたそうだ。船に武器を積んでいないので兎に角全員で船を漕いで逃げ出したそうだ。幸いこっちの船の方が早かったから助かったそうだ。お客さんは船の中に隠れさせたから全員無事だったのだが、船長は船の上で指揮していたので矢に当たったそうだ。


 「そうか、ご苦労だった船長。ゆっくり休んでいてくれ。」


 さて困った、海の上では手が出せない。俺達の船は武装していないのだ。船員に武器を持たせてもスキル持ちがいたらやられるだけだ。ゴブリン達なら武器を持たせればいい勝負をするだろうが、海の上ではゴブリン達は怯えて本来の力が出せないのだ。それにこんなことが続けば商売も出来ないし、今造ってる船にも影響が出るだろう。


 「厄介な事になったなゴブ吉。」


 「取りあえず護衛を付けるしか、無いゴブね。」


 「ジェネラルソードを各船に乗せましょう、彼らなら負ける事はないでしょう。」


 「けが人が出るかも知れませんから、ヒーラーも乗せましょう。」


 「そうだな、船が有れば護衛出来るんだが、今は2隻しか無いから無理だな。」


 村には漁船が3隻有るのだが、俺達の船は速いのでついて行けないのだ。いっそ船足を落として漁船に戦闘員を載せて護衛する方が良いのだろうか。速さより安全の方が大事だからな。特にゴブ吉やアーサーなら海賊に遅れをとる事はないだろう。


 「よし、港に行くぞ。」


 そこで船乗りたちと今後の事について話し合った。船に護衛を載せるのは良い考えだが、漁船で護衛するのは危ないらしい。漁船は小さいので高波や急な方向転換などで簡単にひっくり返る事が有るのだそうだ、戦闘中は助けにいけないので小型船は居ない方が安心して逃げられるそうだ。それで今回は漁船による護衛は諦めて、船に5人の護衛を載せる事にした。船員には戦闘より逃走することに専念してもらう事にする。


 「アーサー、海の上での戦闘訓練をしないといけなくなったな。」


 「そうですな、不安定な場所ですから。鍛えないといけませんな。」


 「なあ、ごぶ吉。海の上まで盗賊が居るとはな~。あいつらどれだけ盗みが好きなんだろうな~。」


 「本当ゴブね、船があるなら魚でも捕って漁師をすれば良いと思うゴブよ。」


 「そんなに海賊って儲かるのかな?」


 「死んだら儲けとか関係ないと思うゴブ。」


 「マスター。きっと生まれ持った性なんですよ。真面目に働く気が無い連中なんですよ。」


 魚を取って暮らしていた俺には全く理解出来ない連中だった。冒険者で薬草採取してても暮らせるのに何でわざわざ泥棒なんてするんだろう?海賊は捕まれば問答無用で死罪なのにな。





 

 



 


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