第1話
第0話です。序章とも言います。
――とある少女のお話。
ある日の夕暮れ、たまたま目の前を通った猫をつけて入った路地でふと気づくと不思議な古本屋の前にいた。
吸い込まれるようにその古本屋の中に入っていくと年季の入った数々の本。その中の一冊を何気なしに手に取る。
不思議な絵本。騎士がお姫様を助けるお話。つい読み込んでしまう。
絵本から何か飛び出した気がした。
目で追うがやはり何もない。ただの錯覚。
古い窓枠から見える外の様子は既に暗かった。
裸の電球が淡く照らす古本屋を後にする。年季の入った扉が軋む音を立てちりんちりんとベルが鳴った。
風が吹き荒れ、髪が乱れる。
少女は目を疑った。ぱちくりぱちくり、ごしごし。また、ぱちくりぱちくり。
そこは猫を追って入った路地ではなく、木々が生い茂る森の中。肌寒い風が頬をかすめる。風の勢いか古本屋の年季の入った扉が勢いよく閉まる。状況が理解できない。
少女は古本屋に戻ろうと踵を返す。
再び扉を開けようとした時に淡く照らされた扉にかかる一枚の木の板。
closedの文字。
本日は終了しました。
あらすじに書いたことが書いてありましたね。